皆さん、こんにちは。
金沢博憲(社労士24)です。
2022年を締めくくるNHK紅白歌合戦の司会や実施概要が発表されましたね。
紅白歌合戦が近づくと、歌手や特別ゲストとして登場する”年少の芸能人が夜何時まで出演できるのか”という「年齢制限」が話題になります。
まずは法的な側面からみていきましょう。
労働基準法で禁止されている深夜労働
労働基準法では、年少者(満18歳未満の者)、中学校卒業前の児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者)の深夜労働を禁止しています。
(深夜業)
第六十一条
使用者は、満18才に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。
使用者は、児童を午後8時から午前5時までの間において使用してはならない。
解説動画はこちらから。
労働基準法の規定に従うと、その出演者が17歳であれば午後10時まで、10歳であれば午後8時までの出演ということになります。
しかし、この禁止規定が適用されるのはその出演者が”労働者”である前提です。
一方で、その出演者が”労働者”ではなく”表現者”とされる場合は、労働基準法の禁止規定の適用がないため、深夜における出演も可能です。
この”労働者か表現者か”の判断基準になっているのが「芸能タレント通達」というものです。
俗に「光GENJI通達」と呼ばれます。
芸能タレント通達(光GENJI通達)とは
俗称の由来となった光GENJIとは、ローラースケートで滑りながら歌うという目新しい演出もあって、1980年代末に超絶人気を博したアイドルグループです。
当時は夜の生放送の歌番組(ベストテンやトップテン)がお茶の間に大人気で、光GENJIも度々ランキング入りし、出演していました。
しかし、メンバーの中にはまだ中学生のメンバーも含まれていたのです。
ベストテンやトップテンは夜8時台の生放送です。
中学生のメンバーは基本は出演していなかったのですが、特番などでは出演することもありました。
その出演が「労働基準法に抵触するのでは」という議論が契機となり、発出されたの”芸能タレント通達”です。
その内容は、契約形態、個人の人気度や報酬、拘束性などの判断基準に照らして、”労働者か表現者か”個別判断するというものです。
具体的には、以下の4要件を全て満たす者は、労働基準法第9条の「労働者」に該当しない、とするものです。
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この”光GENJI通達”は、社会保険労務士試験でも出題実績があります。
令和元年労働基準法・労働安全衛生法問3エです。
端的に言えば、有名で、人気があって、高額なギャラが発生している芸能人は労働者ではなく、その逆であれば労働者ということです。
テレビ局による自主規制
それでは、紅白歌合戦に出演するような有名なアイドルグループのメンバーや特別ゲストの人気子役はどうでしょう。
「芸能タレント通達」に照らすとおそらく”表現者”であり、”労働者”に該当しない可能性が高いかもしれません。
しかし明確に線引できるものではありません。
そこで現在は、後々にもめることがないように、出演してもらう側のテレビ局の自主規制で、念の為、年少の芸能人は夜遅い時間には出演させないという対応をすることが多いようです。
過去の芸能子役、Foorinはいつ出場?
過去にも、人気子役の「こども店長(当時8歳)」さん、「崖の上のポニョ(当時10歳)」さんが出演したことがありましたが、午後8時以前の出演という対応でした。
パプリカでおなじみのFoorinも8時前の出演でしたね。
今年、もしお茶の間で紅白歌合戦をご覧になる際は、そんな豆知識を披露してみるのもよいかもしれませんね。
それでは、よい年末をお過ごしください。
執筆/資格の大原 社会保険労務士講座
「時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格(旧上級)コース」を担当致しております。
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