【法律用語】「及び」「並びに」「又は」「若しくは」の使い分け

皆さん、こんにちは。
金沢博憲(社労士24)です。

今回は、「及び」「並びに」「又は」「若しくは」の使い分けについて解説致します。

だるま汗

「若しく」は「又は」の大人びた表現くらいに思ってたんだるま…

金沢 博憲金沢 博憲

日常会話では意識して使い分けすることないからね。でも法律ではしっかりと使い分けをしているんだよ。

例えば、お笑いコンビのタカアンドトシとテツアンドトモを紹介する文章を条文化すると、どういう表現になるでしょうか?

または、ドリンクを、コーヒー(ホット・アイス)orコーラから選ぶという文章を条文化すると、どういう表現になるでしょうか?

以下、解答編です。

 

「及び」と「並びに」の違い

まず「及び」と「並びに」の使い分けです。

「及び」と「並びに」は併合的接続詞といいます。
英語でいうと「and」の関係です。

原則は「及び」を使います。
例えば、「タカandトシ」は、「タカ及びトシ」となります。

そして、接続が多段階になる場合は、小さいandは「及び」、一番大きいandは「並びに」を使います。
例えば、「タカandトシ」と「テツandトモ」は、「タカ及びトシ【並びに】テツ及びトモ」となります。

条文で例をあげると、労働基準法20条の解雇制限があります。

「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。」

「業務上+30日間」と「産休+30日間」という条文の作りになっていることがわかります。

もうひとつ、条文の例をあげると、労災保険の遺族補償一時金の受給資格者の範囲についても「及び」「並びに」が使われています。
下記条文の三号に注目です。

 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。
配偶者
労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹

三号中の「前号に該当しない」とは、「生計を維持していなかった」という意味です。

この「生計を維持していなかった」が「子、父母、孫及び祖父母」のみにかかるようにしている条文構造です。

「兄弟姉妹」は生計維持関係の有無にかかわらず最後の順位者となりますので、「生計を維持していなかった」が係らないようにするため「並びに」を使って、段階を分けているわけです。

 

「又は」と「若しくは」の違い

「又は」「若しくは」は選択的接続詞といいます。
英語でいうと「or」の関係です。

原則は「又は」を使います。
例えば、「コーヒーかコーラ」 は、「コーヒー又はコーラ」となります。

一方、接続が多段階になる場合は、小さいorは「若しくは」、一番大きいorは「又は」を使います。

例えば、コーヒー(ホットorアイス)かコーラは、「コーヒのホット若しくはアイス【又は】コーラ」となります。

条文で例をあげると、健康保険の目的条文があります。

「この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」

「業務災害以外」が「疾病、負傷若しくは死亡」のみに係るようにした条文構造です。
「出産」の事故は、業務災害かどうかにかかわらず健康保険の保険事故とされますので、「疾病、負傷若しくは死亡」と「出産」を分離して、「業務災害以外」が「出産」に係らないようにしているのです。

 

まとめ

今回は、「及び」「並びに」「又は」「若しくは」の使い分けについて解説致しました。

条文の読む上で、これらの使い分けを知っておかないと、誤った内容で読み取ってしまうことがあります。
意味の違いをしっかりと確認しておきましょう。

・「及び」「並びに」は併合的接続詞。通常は「及び」。多段階の場合は大きい括りは「並びに」小さい括りは「及び」

・「又は」「若しくは」は併合的接続詞。通常は「又は」。多段階の場合は大きい括りは「又は」小さい括りは「若しくは」

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

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