みなさんこんにちは。
金沢博憲(社労士24)です。
今回は、社労士試験の勉強していく上でチラチラ視野にはいってくる「社会保障・社会保険の歴史」については取り上げます。
- 歴史を学ぶ必要があるのか
- 歴史の何を学ぶのか
- 歴史をどうやって学ぶのか
といったところを紹介します。
社会保障の歴史を学ぶのは選択式の1点のため
これまでもお話してきましたが、社労士試験の勉強は、「受かるための勉強」と「落ちないための勉強」の2種類があります。
受かるための勉強は、択一式の総合点を安定的にクリアする力を身につけるための勉強です。
択一の過去問とテキストを往復し、やったこと、やった時間に比例して、この力はついてきます。
いわゆる「合格レベル」にのります。
一方で、落ちないための勉強とは、「合格レベル」にのった上で、選択式で基準点割れをすることを回避するための勉強です。
この勉強は、万が一に備えて、でる可能性より出ない可能性の方がはるかに高い内容を、浅く広く、念の為に行う勉強となります。
したがって、「受かるための勉強」がまだ途上であるという場合は、「落ちないための勉強」は最小限にすべきでしょう。「受かるための勉強」にほぼ全集中です。
一方で、択一式にはかなり自信がある(例えば前回試験で50点オーバー)という場合は、これから「落ちないための勉強」の比重を移していきましょう。
今回のテーマである、「社会保険の歴史」の勉強も、社会保険に関する一般常識の選択式で1点とるための、すなわち「落ちないための」勉強です。
逆に、択一式では出題されない可能性の方が高く、かつ、仮に出題されても70点中の1点ですから、とれなくても大勢に影響はありません。
時間と脳の容量は有限ですから、他の法令系の知識の方に重点を置いたほうが点は伸びる可能性は高いでしょう。
社会保険の歴史の覚え方
社会保険の制定年などを問うこの内容は、学生時代の歴史の年表を覚えた苦労を思い出させることになろうかと思います。
例えば、1643年、田畑永代売買禁止令(一郎よさんか、畑を売るな)など有名ですね。
え、そこは”いい国つくろう”とかじゃないの…
しかし、前述の通り、「落ちないための勉強」ですから、あまり時間をかけるべきではありませんし、その必要もありません。
過去の出題実績をみると、社会保険の歴史は「社会保険に関する一般常識の選択式」での出題が見受けられましたが、近年は、あまり出題されていません。
これは、試験委員の変更の影響もあると思われます。
直近では、平成28年に、世界初の社会保険が誕生した国と、健康保険法の制定年が問われていますが、この出題をしたと思われる試験委員の方はすでに任期を終えています。
とはいえ、今年の新任の試験委員の方(試験後に発表されます)が社会保険の歴史を専門にしている方かもわかりませんから、あまり意味のある予想ではないかも知れません(笑)
結論、合格レベルにある状態で、念の為のやっとくわけです。
なお、もし歴史をガッツリやりたい、という場合は、こちらの記事を御覧ください。
この歴史を覚えるポイントをご紹介しますと、
- 制定年を1年刻みで覚えるのではなく、昭和30年代、40年代とざっくり押さえる。(児童手当は昭和40年代など)
- 制定年と法律名とその概要の対応関係(昭和14年-船員保険-総合的な社会保険制度)
- 戦前(創生期)、戦後~高度成長期(拡充期)、安定成長期(引き締め期)と時代を分類し、時代背景とリンクさせる。(高額療養費制度はオイルショック前の昭和40年代に制定)
- 大きな流れは、医療→年金、労働者→労働者以外、の順番で制定される。
といった具合です。
最低限これだけは押さえておきたい「社会保障の歴史」
さて、最後にブログのタイトル回収をしなければいけませんので(笑)、こちらに「最低限押さえておきたい社会保険の歴史」の年表を掲載します。
~戦前の社会保障~
・世界初の社会保険はドイツで誕生(労働運動に対するビスマルクの”アメとムチ”)
・大正11年に健康保険法を制定(激化する労働運動の懐柔策。ドイツを倣って制定。直後の関東大震災で施行を昭和2年にずれ込む)
・昭和13年に国民健康保険法が制定(農村が飢饉で危機的状況に陥る)
・昭和14年に船員保険制度が創設(海上輸送を担う船員の確保。初の総合的社会保険)
・昭和16年に「労働者年金保険法(後の厚生年金保険法)」 が公布(工場生産力増強のため)
・昭和17年に英国ベヴァリッジ報告→欧米諸国の福祉国家の考えの基礎となる
~終戦からオイルショック(給付の拡充へ)~
・昭和22年に労働者災害補償保険法制定。労働基準法制定を受けて。健康保険から業務上が分離。
・昭和25年に「社会保障制度審議会」が「社会保障制度に関する勧告」(日本版”ベヴァリッジ報告”)
・昭和36年に全市町村に「国民健康保険」事業の実施を義務づけ(国民皆保険)
・昭和36年に国民年金法の実施(国民皆年金)
・昭和46年に児童手当法が制定
・昭和48年に「福祉元年」。老人医療費無料化、高額療養費、物価スライド制。
このあと、オイルショックが発生し、高度成長期は終幕を迎え、安定成長・低成長の時代に移ります。
社会保障制度も、拡充の時代から、引き締めと負担の分かち合いの時代に移ります。
たとえば、老人医療費無料化制度は、高齢者医療費の急増の要因となり、昭和57年に廃止。
その代わり、医療費の患者負担と各医療保険からの拠出を求める老人保健法が制定される。
老人保健法は、その後平成20年から施行される高齢者医療確保法と前身となる。
動画版もあわせて御覧ください。
時代背景を含めて解説しています。
執筆/資格の大原 社会保険労務士講座
「時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格コース」を担当致しております。
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