ただの罰則の過去問まとめです。
平成11年以降。
罰則規定はどの程度押さえる?
・択一→出題回数が多い労基・安衛で、平成11年~令和元年にかけて23肢。1科目につき1年で1肢、出るかどうか。
・論点は「罰則があるかないか」という問題が主。数字自体を引っ掛けてくることは稀。
・選択→平成24年社労士法で一選択肢。
・結論→①社会保険労務士法の罰則、②労働基準法の両罰規定、③各法律の最も重いもの。
労働基準法
罰則がないもの
正しい。
労働基準法では、労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守しなければならないと規定されているが、この規定違反には罰則は設けられていない。
労働基準法では、労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守しなければならないと規定されているが、この規定違反には罰則は設けられていない。
誤り。 法第15条第2項の規定により、労働契約の締結の際に明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができることとされるが、本条項違反については、罰則は課せられない。
労働基準法第15条は、使用者が労働契約の締結に際し労働者に明示した労働条件が実際の労働条件と相違することを、同法第120条に定める罰則付きで禁止している。
労働基準法第15条は、使用者が労働契約の締結に際し労働者に明示した労働条件が実際の労働条件と相違することを、同法第120条に定める罰則付きで禁止している。
誤り。 法附則136条は「してはならない」ではなく「賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」である。
労働基準法附則第136条の規定において、使用者は、同法第39条の規定による年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてはならないことが罰則付きで定められている。
労働基準法附則第136条の規定において、使用者は、同法第39条の規定による年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてはならないことが罰則付きで定められている。
また不利益取扱いに関する法附則136条違反についての罰則はない。
誤り。 本肢の規定が定められているのは、「労働契約法」であり、また、本肢の規定違反については、罰則は定められていない。
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇をした使用者は、労働基準法に基づき、罰則に処される。
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇をした使用者は、労働基準法に基づき、罰則に処される。
最も重い罰則
正しい。 本肢の規定に違反した者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処せられる。
労働基準法第5条が禁止する労働者の意思に反する強制労働については、労働基準法上最も重い罰則が定められている。
労働基準法第5条が禁止する労働者の意思に反する強制労働については、労働基準法上最も重い罰則が定められている。
正しい。
労働基準法第5条に定める強制労働の禁止に違反した使用者は、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」に処せられるが、これは労働基準法で最も重い刑罰を規定している。
使用者以外の者を処罰するもの
正しい。 社労士も処罰の対象になりうる。
労働基準法及びそれに基づく命令の規定により事業主に申請等が義務づけられている場合において、当該申請等について事務代理の委託を受けた社会保険労務士がその懈怠により当該申請等を行わなかった場合には、その社会保険労務士は、同法第10条にいう「使用者」に該当するものであるので、その社会保険労務士を、当該申請等の義務違反の行為者として、同法の罰則規定に基づきその責任を問うことができる。
労働基準法及びそれに基づく命令の規定により事業主に申請等が義務づけられている場合において、当該申請等について事務代理の委託を受けた社会保険労務士がその懈怠により当該申請等を行わなかった場合には、その社会保険労務士は、同法第10条にいう「使用者」に該当するものであるので、その社会保険労務士を、当該申請等の義務違反の行為者として、同法の罰則規定に基づきその責任を問うことができる。
誤り。 法6条違反行為の主体は、本条の適用を受ける事業主に限定されず、個人、団体又は公人、私人を問わないので、処罰の対象となるのも、本肢の者に限定されない。
労働基準法第6条は、業として他人の就業に介入して利益を得ることを禁止しており、その規制対象は、使用者であるか否かを問わないが、処罰対象は、業として利益を得た法人又は当該法人のために実際の介入行為を行った行為者たる従業員に限定される。
労働基準法第6条は、業として他人の就業に介入して利益を得ることを禁止しており、その規制対象は、使用者であるか否かを問わないが、処罰対象は、業として利益を得た法人又は当該法人のために実際の介入行為を行った行為者たる従業員に限定される。
両罰規定
誤り。 本肢の場合、両罰規定により、法人のみならず、その代表者に対しても罰則が適用される。
ある法人企業の代表者が労働基準法第24条の規定に違反して賃金を支払わなかった場合には、法人の代表者の行為は法人の行為として評価されるから、当該賃金不払いについては、当該法人企業に対してのみ罰則が科される。
ある法人企業の代表者が労働基準法第24条の規定に違反して賃金を支払わなかった場合には、法人の代表者の行為は法人の行為として評価されるから、当該賃金不払いについては、当該法人企業に対してのみ罰則が科される。
正しい。 【両罰規定】
労働基準法は、同法が定める規定に違反する行為をした者に対して罰則を定めているだけでなく、その事業主に対しても罰金刑を科すものとしているが、事業主が違反の防止に必要な措置をした場合においては、当該事業主に対しては罰金刑を科さないものとしている。
労働基準法は、同法が定める規定に違反する行為をした者に対して罰則を定めているだけでなく、その事業主に対しても罰金刑を科すものとしているが、事業主が違反の防止に必要な措置をした場合においては、当該事業主に対しては罰金刑を科さないものとしている。
・原則→事業主に罰金刑あり
・違反の防止に必要な措置講じた→事業主に処罰なし
・違反の計画を知りその防止に必要な措置を講じなかった→事業主を行為者として処罰(罰金刑又は懲役刑あり)
・違反行為を知りその是正に必要な措置を講じなかった→事業主を行為者として処罰(罰金刑又は懲役刑あり)
・違反を教唆した場合→事業主を行為者として処罰(罰金刑又は懲役刑あり)
その他の罰則問題
正しい。 なお、男女雇用機会均等法では、賃金以外の差別の禁止。ただし、民事的な効力であるため、罰則はない。
労働基準法第4条は、性別による差別のうち、特に顕著な弊害が認められた賃金について、罰則をもって、その差別的取扱いを禁止したものである。
労働基準法第4条は、性別による差別のうち、特に顕著な弊害が認められた賃金について、罰則をもって、その差別的取扱いを禁止したものである。
正しい。 法24条(賃金支払)に違反した場合、30万円以下の罰金に処せられるが、法39条(年次有給休暇期間中の賃金)に違反した場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。
使用者は、労働基準法第39条の年次有給休暇の期間については、同条第6項の規定の定めるところに従い、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又は健康保険法第99条に定める標準報酬日額に相当する金額を支払わなければならないが、これに違反した場合の罰則は、通常の賃金支払いに関する労働基準法第24条違反の罰則よりは重いものが規定されている。
正しい。 法104条に違反した者は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。
労働基準法第104条では、事業場に、同法又は同法に基づいて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができ、使用者は、そのような申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならないこととされており、それに違反した使用者に対しては罰則が規定されている。
労働基準法第104条では、事業場に、同法又は同法に基づいて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができ、使用者は、そのような申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならないこととされており、それに違反した使用者に対しては罰則が規定されている。
誤り。 労働基準法法106条に定める就業規則の周知義務は取締規定。これに違反した者は、30万円以下の罰金に処する。
労働基準法第106条に定める就業規則の周知義務については、労働契約の効力にかかわる民事的な定めであり、それに違反しても罰則が科されることはない。
労働基準法第106条に定める就業規則の周知義務については、労働契約の効力にかかわる民事的な定めであり、それに違反しても罰則が科されることはない。
・労働基準法上の周知義務(刑事)→処罰あり
・労働契約法上の周知義務(民事)→処罰なし
労働安全衛生法
罰則がないもの
誤り。 本肢の規定の違反には、罰則が付いていない。
労働安全衛生法第29条第2項には、元方事業者の講ずべき措置等として、「元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行わなければならない。」との規定が置かれており、この規定の違反には、罰則が付いている。
誤り。 法60条の規定の違反には、罰則が付いていない。
労働安全衛生法第60条に定める職長等の教育に関する規定には、同法第59条に定める雇入れ時の教育(同条第1項)、作業内容変更時の教育(同条第2項)及び特別の教育(同条第3項)に関する規定と同様に、その違反には罰則が付けられている。
労働安全衛生法第60条に定める職長等の教育に関する規定には、同法第59条に定める雇入れ時の教育(同条第1項)、作業内容変更時の教育(同条第2項)及び特別の教育(同条第3項)に関する規定と同様に、その違反には罰則が付けられている。
事業者以外の者を処罰するもの
誤り。 事業者の講ずべき措置規定等に違反した場合は、従業者についても罰則が適用される。
労働安全衛生法は、基本的に事業者に措置義務を課しているため、事業者から現場管理を任されている従業者が同法により事業者に課せられている措置義務に違反する行為に及んだ場合でも、事業者が違反の責めを負い、従業者は処罰の対象とならない。
労働安全衛生法は、基本的に事業者に措置義務を課しているため、事業者から現場管理を任されている従業者が同法により事業者に課せられている措置義務に違反する行為に及んだ場合でも、事業者が違反の責めを負い、従業者は処罰の対象とならない。
誤り。 労働安全衛生法第26条に違反した労働者は、50万円以下の罰金に処せられる。
労働者は、労働安全衛生法第26条により、事業者が同法の規定に基づき講ずる危険又は健康障害を防止するための措置に応じて、必要な事項を守らなければならないが、その違反に対する罰則の規定は設けられていない。
労働者は、労働安全衛生法第26条により、事業者が同法の規定に基づき講ずる危険又は健康障害を防止するための措置に応じて、必要な事項を守らなければならないが、その違反に対する罰則の規定は設けられていない。
誤り。 個人事業主であっても、資格を有しない者が本肢の就業制限業務に就いた場合には罰則が適用される。
労働安全衛生法第61条第1項に定める資格を有しない個人事業主が、当該事業場の倉庫内で、最大荷重が1トン以上のフォークリフトの運転の業務に就いた場合については、労働安全衛生法の罰則規定は適用されない。
労働安全衛生法第61条第1項に定める資格を有しない個人事業主が、当該事業場の倉庫内で、最大荷重が1トン以上のフォークリフトの運転の業務に就いた場合については、労働安全衛生法の罰則規定は適用されない。
両罰規定
正しい。
労働安全衛生法第122条のいわゆる両罰規定について、事業者が法人の場合、その法人の代表者がその法人の業務に関して同条に定められている各規定の違反行為をしたときは、当該代表者が「行為者」として罰せられるほか、その法人に対しても各本条の罰金刑が科せられる。
労働安全衛生法第122条のいわゆる両罰規定について、事業者が法人の場合、その法人の代表者がその法人の業務に関して同条に定められている各規定の違反行為をしたときは、当該代表者が「行為者」として罰せられるほか、その法人に対しても各本条の罰金刑が科せられる。
その他の罰則問題
正しい。 安全管理者の選任及びその者に所定の事項を行わせなかった事業者は、50万円以下の罰金に処せられる。
常時使用する労働者の数が50人以上である建設業の事業場の事業者が、当該事業場について安全管理者を選任しない場合には、罰金刑に処せられる。
常時使用する労働者の数が50人以上である建設業の事業場の事業者が、当該事業場について安全管理者を選任しない場合には、罰金刑に処せられる。
正しい。 作業主任者を選任すべき作業につき、作業主任者の選任及びその者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の事項を行わせなかった事業者は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。
事業者が、アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の作業について作業主任者を選任しない場合には、懲役刑又は罰金刑に処せられる。
正しい。 都道府県労働局長の許可を受けずに特定機械等を製造した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
許可を受けずに、つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーンを製造した者は、懲役刑又は罰金刑に処せられる。
許可を受けずに、つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーンを製造した者は、懲役刑又は罰金刑に処せられる。
執筆/資格の大原 社会保険労務士講座
「時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格コース」を担当致しております。
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