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情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラインの全文です。

1 趣旨

労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務(以下「テレワーク」という。)は、業務を行う場所に応じて、労働者の自宅で業務を行う在宅勤務、労働者の属するメインのオフィス以外に設けられたオフィスを利用するサテライトオフィス勤務、ノートパソコンや携帯電話等を活用して臨機応変に選択した場所で業務を行うモバイル勤務といった分類がされる。

いずれも、労働者が所属する事業場での勤務に比べて、働く時間や場所を柔軟に活用することが可能であり、通勤時間の短縮及びこれに伴う精神的・身体的負担の軽減、仕事に集中できる環境での就労による業務効率化及びこれに伴う時間外労働の削減、育児や介護と仕事の両立の一助となる等、労働者にとって仕事と生活の調和を図ることが可能となるといったメリットを有する。

また、使用者にとっても、業務効率化による生産性の向上、育児・介護等を理由とした労働者の離職の防止や、遠隔地の優秀な人材の確保、オフィスコストの削減等のメリットを有している。

上記のテレワークの形態ごとの特徴を例示すると以下のような点が挙げられる。

①在宅勤務

通勤を要しないことから、事業場での勤務の場合に通勤に要する時間を有効に活用できる。

また、例えば育児休業明けの労働者が短時間勤務等と組み合わせて勤務することが可能となること、保育所の近くで働くことが可能となること等から、仕事と家庭生活との両立に資する働き方である。

②サテライトオフィス勤務

自宅の近くや通勤途中の場所等に設けられたサテライトオフィスでの勤務は、通勤時間を短縮しつつ、在宅勤務やモバイル勤務以上に作業環境の整った場所で就労可能な働き方である。

③モバイル勤務

労働者が自由に働く場所を選択できる、外勤における移動時間を利用できる等、働く場所を柔軟に運用することで、業務の効率化を図ることが可能な働き方である。

さらに、平成27年に独立行政法人労働政策研究・研修機構において実施した「情報通信機器を利用した多様な働き方の実態に関する調査」においても、テレワークの実施の効果について、企業側は「従業員の移動時間の短縮・効率化」、「定型的業務の効率・生産性の向上」等の点を、労働者側は「仕事の生産性・効率性が向上する」(54.4%)、「通勤による負担が少ない」(17.4%)等の点をそれぞれ挙げている。

その一方で、同調査においては、テレワークを行う上での問題や課題等についても挙げており、企業側は「労働時間の管理が難しい」、「情報セキュリティの確保に問題がある」等の点を、労働者側は「仕事と仕事以外の切り分けが難しい」(38.3%)、「長時間労働になりやすい」(21.1%)等の点をそれぞれ挙げている。

特に労働時間の管理や長時間労働の問題については、働き方改革実行計画(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)においても、テレワークが長時間労働につながるおそれがあることが指摘されている。

こうしたことから、テレワークにおける適切な労務管理の実施は、テレワークの普及の前提となる重要な要素であるため、本ガイドラインにおいてその留意すべき点を明らかにしたものである。

2 労働基準関係法令の適用及び留意点等

(1)労働基準関係法令の適用

労働基準法上の労働者については、テレワークを行う場合においても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されることとなる。

(2)労働基準法の適用に関する留意点

ア 労働条件の明示

使用者は、労働契約を締結する際、労働者に対し、賃金や労働時間のほかに、就業の場所に関する事項等を明示しなければならない(労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条第1項第1の3号)。その際、労働者に対し就労の開始時にテレワークを行わせることとする場合には、就業の場所としてテレワークを行う場所を明示しなければならない。また、労働者がテレワークを行うことを予定している場合においては、自宅やサテライトオフィス等、テレワークを行うことが可能である就業の場所を明示することが望ましい。

なお、労働者が専らモバイル勤務をする場合等、業務内容や労働者の都合に合わせて働く場所を柔軟に運用する場合は、就業の場所についての許可基準を示した上で、「使用者が許可する場所」といった形で明示することも可能である。

また、テレワークの実施とあわせて、始業及び終業の時刻の変更等を行うことを可能とする場合は、就業規則に記載するとともに、その旨を明示しなければならない(労働基準法施行規則第5条第1項第2号)。

イ 労働時間制度の適用と留意点

使用者は、原則として労働時間を適正に把握する等労働時間を適切に管理する責務を有していることから、下記に掲げる各労働時間制度の留意点を踏まえた上で、労働時間の適正な管理を行う必要がある。

(ア)通常の労働時間制度における留意点

(ⅰ)労働時間の適正な把握

通常の労働時間制度に基づきテレワークを行う場合についても、使用者は、その労働者の労働時間について適正に把握する責務を有し、みなし労働時間制が適用される労働者や労働基準法第41条に規定する労働者を除き、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)に基づき、適切に労働時間管理を行わなければならない。

同ガイドラインにおいては、労働時間を記録する原則的な方法として、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録によること等が挙げられている。

また、やむを得ず自己申告制によって労働時間の把握を行う場合においても、同ガイドラインを踏まえた措置を講ずる必要がある。

(ⅱ)テレワークに際して生じやすい事象

テレワークについては、以下のような特有の事象に留意する必要がある。

①いわゆる中抜け時間について

在宅勤務等のテレワークに際しては、一定程度労働者が業務から離れる時間が生じやすいと考えられる。

そのような時間について、使用者が業務の指示をしないこととし、労働者が労働から離れ、自由に利用することが保障されている場合には、その開始と終了の時間を報告させる等により、休憩時間として扱い、労働者のニーズに応じ、始業時刻を繰り上げる、又は終業時刻を繰り下げることや、その時間を休憩時間ではなく時間単位の年次有給休暇として取り扱うことが考えられる。

なお、始業や終業の時刻の変更が行われることがある場合には、その旨を就業規則に記載しておかなければならない。また、時間単位の年次有給休暇を与える場合には、労使協定の締結が必要である。

②通勤時間や出張旅行中の移動時間中のテレワークについて

テレワークの性質上、通勤時間や出張旅行中の移動時間に情報通信機器を用いて業務を行うことが可能である。

これらの時間について、使用者の明示又は黙示の指揮命令下で行われるものについては労働時間に該当する。

③勤務時間の一部でテレワークを行う際の移動時間について

午前中だけ自宅やサテライトオフィスで勤務をしたのち、午後からオフィスに出勤する場合等、勤務時間の一部でテレワークを行う場合がある。

こうした場合の就業場所間の移動時間が労働時間に該当するのか否かについては、使用者の指揮命令下に置かれている時間であるか否かにより、個別具体的に判断されることになる。

使用者が移動することを労働者に命ずることなく、単に労働者自らの都合により就業場所間を移動し、その自由利用が保障されているような時間については、休憩時間として取り扱うことが考えられる。

ただし、その場合であっても、使用者の指示を受けてモバイル勤務等に従事した場合には、その時間は労働時間に該当する。

一方で、使用者が労働者に対し業務に従事するために必要な就業場所間の移動を命じており、その間の自由利用が保障されていない場合の移動時間は、労働時間と考えられる。例えば、テレワーク中の労働者に対して、使用者が具体的な業務のために急きょ至急の出社を求めたような場合は、当該移動時間は労働時間に当たる。

なお、テレワークの制度の導入に当たっては、いわゆる中抜け時間や部分的テレワークの移動時間の取扱いについて、上記の考え方に基づき、労働者と使用者との間でその取扱いについて合意を得ておくことが望ましい。

(ⅲ)フレックスタイム制

フレックスタイム制は、清算期間やその期間における総労働時間等を労使協定において定め、清算期間を平均し、1週当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、労働者が始業及び終業の時刻を決定し、生活と仕事との調和を図りながら効率的に働くことのできる制度であり、テレワークにおいても、本制度を活用することが可能である。

例えば、労働者の都合に合わせて、始業や終業の時刻を調整することや、オフィス勤務の日は労働時間を長く、一方で在宅勤務の日の労働時間を短くして家庭生活に充てる時間を増やす、といった運用が可能である。

(ア)(ⅱ)①のような時間についても、労働者自らの判断により、その時間分その日の終業時刻を遅くしたり、清算期間の範囲内で他の労働日において労働時間を調整したりすることが可能である。

ただし、フレックスタイム制は、あくまで始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる制度であるため、(ア)(ⅰ)に示すとおり、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づき、使用者は各労働者の労働時間の把握を適切に行わなければならない。

なお、フレックスタイム制の導入に当たっては、労働基準法第32条の3に基づき、就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねる旨定めるとともに、労使協定において、対象労働者の範囲、清算期間、清算期間における総労働時間、標準となる1日の労働時間等を定めることが必要である。

(イ)事業場外みなし労働時間制

テレワークにより、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なときは、労働基準法第38条の2で規定する事業場外労働のみなし労働時間制(以下「事業場外みなし労働時間制」という。)が適用される。

テレワークにおいて、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難であるというためには、以下の要件をいずれも満たす必要がある。

①情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと

「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと」とは、情報通信機器を通じた使用者の指示に即応する義務がない状態であることを指す。なお、この使用者の指示には黙示の指示を含む。

また、「使用者の指示に即応する義務がない状態」とは、使用者が労働者に対して情報通信機器を用いて随時具体的指示を行うことが可能であり、かつ、使用者からの具体的な指示に備えて待機しつつ実作業を行っている状態又は手待ち状態で待機している状態にはないことを指す。
例えば、回線が接続されているだけで、労働者が自由に情報通信機器から離れることや通信可能な状態を切断することが認められている場合、会社支給の携帯電話等を所持していても、労働者の即応の義務が課されていないことが明らかである場合等は「使用者の指示に即応する義務がない」場合に当たる。

したがって、サテライトオフィス勤務等で、常時回線が接続されており、その間労働者が自由に情報通信機器から離れたり通信可能な状態を切断したりすることが認められず、また使用者の指示に対し労働者が即応する義務が課されている場合には、「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこと」とされていると考えられる。

なお、この場合の「情報通信機器」とは、使用者が支給したものか、労働者個人が所有するものか等を問わず、労働者が使用者と通信するために使用するパソコンやスマートフォン・携帯電話端末等を指す。

②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

「具体的な指示」には、例えば、当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、これら基本的事項について所要の変更の指示をすることは含まれない。

 

事業場外みなし労働時間制を適用する場合、テレワークを行う労働者は、就業規則等で定められた所定労働時間を労働したものとみなされる(労働基準法第38条の2第1項本文)。

ただし、業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間を労働したものとみなされる(労働基準法第38条の2第1項ただし書)。

この「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」は、業務の実態を最もよく分かっている労使間で、その実態を踏まえて協議した上で決めることが適当であるため、労使協定によりこれを定めることが望ましい。当該労使協定は労働基準監督署長へ届け出なければならない(労働基準法第38条の2第2項及び第3項)。

また、この場合、労働時間の一部について事業場内で業務に従事した場合には、当該事業場内の労働時間と「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」とを加えた時間が労働時間となること、このため事業場内の労働時間については、(ア)(ⅰ)に示したとおり、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づき適切に把握しなければならないことに留意が必要である。

事業場外みなし労働時間制が適用される場合、所定労働時間又は業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなすこととなるが、労働者の健康確保の観点から、勤務状況を把握し、適正な労働時間管理を行う責務を有する。

その上で、必要に応じ、実態に合ったみなし時間となっているか労使で確認し、結果に応じて、業務量を見直したり、労働時間の実態に合わせて労使協定を締結又は見直したりすること等が適当である。

なお、テレワークを行わず労働者が労働時間の全部を事業場内で業務に従事する日や、テレワークを行うが使用者の具体的な指揮監督が及び労働時間を算定することが困難でないときについては、事業場外みなし労働時間制の適用はない。

(ウ)裁量労働制の対象となる労働者のテレワークについて

専門業務型裁量労働制や企画業務型裁量労働制は、労使協定や労使委員会の決議により法定の事項を定めて労働基準監督署長に届け出た場合において、対象労働者を、業務の性質上その適切な遂行のためには遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務に就かせた場合には、決議や協定で定めた時間労働したものとみなされる制度である。

裁量労働制の要件を満たし、制度の対象となる労働者についても、テレワークを行うことが可能である。

この場合、労使協定で定めた時間又は労使委員会で決議した時間を労働時間とみなすこととなるが、労働者の健康確保の観点から、決議や協定において定めるところにより、勤務状況を把握し、適正な労働時間管理を行う責務を有する。

その上で、必要に応じ、労使協定で定める時間が当該業務の遂行に必要とされる時間となっているか、あるいは、業務量が過大もしくは期限の設定が不適切で労働者から時間配分の決定に関する裁量が事実上失われていないか労使で確認し、結果に応じて、業務量等を見直すことが適当である。

ウ 休憩時間の取扱いについて

労働基準法第34条第2項では、原則として休憩時間を労働者に一斉に付与することを規定しているが、テレワークを行う労働者について、労使協定により、一斉付与の原則を適用除外とすることが可能である。

なお、一斉付与の原則の適用を受けるのは、労働基準法第34条に定める休憩時間についてであり、労使の合意により、これ以外の休憩時間を任意に設定することも可能である。

また、テレワークを行う労働者について、本来休憩時間とされていた時間に使用者が出社を求める等具体的な業務のために就業場所間の移動を命じた場合、当該移動は労働時間と考えられるため、別途休憩時間を確保する必要があることに留意する必要がある。

エ 時間外・休日労働の労働時間管理について

テレワークについて、実労働時間やみなされた労働時間が法定労働時間を超える場合や、法定休日に労働を行わせる場合には、時間外・休日労働に係る三六協定の締結、届出及び割増賃金の支払が必要となり、また、現実に深夜に労働した場合には、深夜労働に係る割増賃金の支払が必要となる(労働基準法第36条及び第37条)。

このようなことから、テレワークを行う労働者は、業務に従事した時間を日報等において記録し、使用者はそれをもって当該労働者に係る労働時間の状況の適切な把握に努め、必要に応じて労働時間や業務内容等について見直すことが望ましい。

なお、労働者が時間外、深夜又は休日(以下エにおいて「時間外等」という。)に業務を行った場合であっても、少なくとも、就業規則等により時間外等に業務を行う場合には事前に申告し使用者の許可を得なければならず、かつ、時間外等に業務を行った実績について事後に使用者に報告しなければならないとされている事業場において、時間外等の労働について労働者からの事前申告がなかった場合又は事前に申告されたが許可を与えなかった場合であって、かつ、労働者から事後報告がなかった場合について、次の全てに該当する場合には、当該労働者の時間外等の労働は、使用者のいかなる関与もなしに行われたものであると評価できるため、労働基準法上の労働時間に該当しないものである。

①時間外等に労働することについて、使用者から強制されたり、義務付けられたりした事実がないこと。

②当該労働者の当日の業務量が過大である場合や期限の設定が不適切である場合等、時間外等に労働せざるを得ないような使用者からの黙示の指揮命令があったと解し得る事情がないこと。

③時間外等に当該労働者からメールが送信されていたり、時間外等に労働しなければ生み出し得ないような成果物が提出されたりしている等、時間外等に労働を行ったことが客観的に推測できるような事実がなく、使用者が時間外等の労働を知り得なかったこと。

ただし、上記の事業場における事前許可制及び事後報告制については、以下の点をいずれも満たしていなければならない。

①労働者からの事前の申告に上限時間が設けられていたり、労働者が実績どおりに申告しないよう使用者から働きかけや圧力があったりする等、当該事業場における事前許可制が実態を反映していないと解し得る事情がないこと。

②時間外等に業務を行った実績について、当該労働者からの事後の報告に上限時間が設けられていたり、労働者が実績どおりに報告しないように使用者から働きかけや圧力があったりする等、当該事業場における事後報告制が実態を反映していないと解し得る事情がないこと。

(3)長時間労働対策について

テレワークについては、業務の効率化に伴い、時間外労働の削減につながるというメリットが期待される一方で、労働者が使用者と離れた場所で勤務をするため相対的に使用者の管理の程度が弱くなるおそれがあること等から、長時間労働を招くおそれがあることも指摘されている。

テレワークにおける労働時間管理の必要性については、(2)イで示したとおりであるが、使用者は、単に労働時間を管理するだけでなく、長時間労働による健康障害防止を図ることが求められている。

テレワークにおける長時間労働等を防ぐ手法としては、以下のような手法が考えられる。

①メール送付の抑制

テレワークにおいて長時間労働が生じる要因として、時間外、休日又は深夜に業務に係る指示や報告がメール送付されることが挙げられる。

そのため、役職者等から時間外、休日又は深夜におけるメールを送付することの自粛を命ずること等が有効である。

②システムへのアクセス制限

テレワークを行う際に、企業等の社内システムに外部のパソコン等からアクセスする形態をとる場合が多いが、深夜・休日はアクセスできないよう設定することで長時間労働を防ぐことが有効である。

③テレワークを行う際の時間外・休日・深夜労働の原則禁止等

業務の効率化やワークライフバランスの実現の観点からテレワークの制度を導入する場合、その趣旨を踏まえ、時間外・休日・深夜労働を原則禁止とすることも有効である。

この場合、テレワークを行う労働者に、テレワークの趣旨を十分理解させるとともに、テレワークを行う労働者に対する時間外・休日・深夜労働の原則禁止や使用者等による許可制とすること等を、就業規則等に明記しておくことや、時間外・休日労働に関する三六協定の締結の仕方を工夫することが有効である。

④長時間労働等を行う労働者への注意喚起

テレワークにより長時間労働が生じるおそれのある労働者や、休日・深夜労働が生じた労働者に対して、注意喚起を行うことが有効である。

具体的には、管理者が労働時間の記録を踏まえて行う方法や、労務管理のシステムを活用して対象者に自動で警告を表示するような方法がある。

(4)労働安全衛生法の適用及び留意点

ア 安全衛生関係法令の適用

労働安全衛生法等の関係法令等に基づき、過重労働対策やメンタルヘルス対策を含む健康確保のための措置を講じる必要がある。

具体的には、

・必要な健康診断とその結果等を受けた措置(労働安全衛生法第66条から第66条の7まで)

・長時間労働者に対する医師による面接指導とその結果等を受けた措置(同法第66条の8及び第66条の9)及び面接指導の適切な実施のための時間外・休日労働時間の算定と産業医への情報提供(労働安全衛生規則第52条の2)

・ストレスチェックとその結果等を受けた措置(労働安全衛生法第66条の10)

等の実施により、テレワークを行う労働者の健康確保を図ることが重要である。

また、事業者は、事業場におけるメンタルヘルス対策に関する計画である「こころの健康づくり計画」を策定することとしており(労働者の心の健康の保持増進のための指針(平成18年公示第3号))、当該計画において、テレワークを行う労働者に対するメンタルヘルス対策についても衛生委員会等で調査審議の上記載し、これに基づき取り組むことが望ましい。

加えて、労働者を雇い入れたとき又は労働者の作業内容を変更したときは、必要な安全衛生教育を行う等関係法令を遵守する必要がある(労働安全衛生法第59条第1項及び第2項)。

イ 自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備の留意

テレワークを行う作業場が、自宅等の事業者が業務のために提供している作業場以外である場合には、事務所衛生基準規則、労働安全衛生規則及び「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日基発0712第3号)の衛生基準と同等の作業環境となるよう、テレワークを行う労働者に助言等を行うことが望ましい。

(5)労働災害の補償に関する留意点

テレワークを行う労働者については、事業場における勤務と同様、労働基準法に基づき、使用者が労働災害に対する補償責任を負うことから、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じたテレワークにおける災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となる。

ただし、私的行為等業務以外が原因であるものについては、業務上の災害とは認められない。

在宅勤務を行っている労働者等、テレワークを行う労働者については、この点を十分理解していない可能性もあるため、使用者はこの点を十分周知することが望ましい。

3 その他テレワークの制度を適切に導入及び実施するに当たっての注意点

(1)労使双方の共通の認識

テレワークの制度を適切に導入するに当たっては、労使で認識に齟齬のないように、あらかじめ導入の目的、対象となる業務、労働者の範囲、テレワークの方法等について、労使委員会等の場で十分に納得のいくまで協議し、文書にして保存する等の手続をすることが望ましい。

また、個々の労働者がテレワークの対象となり得る場合であっても、実際にテレワークを行うか否かは本人の意思によることとすべきである。

(2)業務の円滑な遂行

テレワークを行う労働者が業務を円滑かつ効率的に遂行するためには、業務内容や業務遂行方法等を明確にして行わせることが望ましい。

また、あらかじめ通常又は緊急時の連絡方法について、労使間で取り決めておくことが望ましい。

(3)業績評価等の取扱い

専らテレワークを行う労働者等、職場に出勤する頻度の低い労働者については、業績評価等について、評価者や労働者が懸念を抱くことのないように、評価制度及び賃金制度を明確にすることが望ましい。

特に、業績評価や人事管理に関して、テレワークを行う労働者について通常の労働者と異なる取扱いを行う場合には、あらかじめテレワークを選択しようとする労働者に対して当該取扱いの内容を説明することが望ましい。

また、いつまでに何をするといった形で、仕事の成果に重点を置いた評価を行う場合は、テレワークの場合であっても事業場での勤務と同様の評価が可能であるので、こうした場合は、評価者に対して、労働者の勤務状況が見えないことのみを理由に不当な評価を行わないよう注意喚起することが望ましい。

なお、テレワークを行う労働者について、通常の労働者と異なる賃金制度等を定める場合には、当該事項について就業規則を作成・変更し、届け出なければならないこととされている(労働基準法第89条第2号)。

(4)通信費、情報通信機器等のテレワークに要する費用負担の取扱い

テレワークに要する通信費、情報通信機器等の費用負担、サテライトオフィスの利用に要する費用、専らテレワークを行い事業場への出勤を要しないとされている労働者が事業場へ出勤する際の交通費等、テレワークを行うことによって生じる費用については、通常の勤務と異なり、テレワークを行う労働者がその負担を負うことがあり得ることから、労使のどちらが負担するか、また、使用者が負担する場合における限度額、労働者が請求する場合の請求方法等については、あらかじめ労使で十分に話し合い、就業規則等において定めておくことが望ましい。

特に、労働者に情報通信機器、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合には、当該事項について就業規則に規定しなければならないこととされている(労働基準法第89条第5号)。

(5)社内教育等の取扱い

テレワークを行う労働者については、OJTによる教育の機会が得がたい面もあることから、労働者が能力開発等において不安に感じることのないよう、社内教育等の充実を図ることが望ましい。

なお、社内教育等を実施する際は、必要に応じ、総務省が作成している「テレワークセキュリティガイドライン」を活用する等して、テレワークを行う上での情報セキュリティ対策についても十分理解を得ておくことが望ましい。

また、テレワークを行う労働者について、社内教育や研修制度に関する定めをする場合には、当該事項について就業規則に規定しなければならないこととされている(労働基準法第89条第7号)。

4 テレワークを行う労働者の自律

テレワークを行う労働者においても、勤務する時間帯や自らの健康に十分に注意を払いつつ、作業能率を勘案して自律的に業務を遂行することが求められる。

 

 

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