年金の端数処理の話。100円か1円か。

皆さん、こんにちは。

今回は、国民年金、厚生年金保険の年金額の端数処理をまとめます。

基本的な考え方

原則は1円未満四捨五入

法律上は原則的に1円未満を四捨五入して計算します。

国民年金法と厚生年金保険法の給付の通則に規定が置かれています。

(端数処理) 国民年金法第十七条 年金たる給付(以下「年金給付」という。)を受ける権利を裁定する場合又は年金給付の額を改定する場合において、年金給付の額に五十銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。
(端数処理) 厚生年金保険法第三十五条 保険給付を受ける権利を裁定する場合又は保険給付の額を改定する場合において、保険給付の額に五十銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。

個人の加入月数や生年月日に応じない年金は100円未満で四捨五入

ただし、個人の属性(加入月数や生年月日)によって変動しないタイプの年金額は、もう少し切りよく100円未満で四捨五入します。

具体的には、計算式において、以下に当てはまらないものです。
加入月数を乗じて計算するタイプの年金額
生年月日に応ずる率を乗じて計算するタイプの年金額

その代表的なものは、老齢基礎年金の満額です。

令和2年度の老齢基礎年金の満額は、次の計算式で計算されます。

老齢基礎年金の満額
780,900円(法定額)×改定率(1.001)=781,680.9円→100円未満四捨五入781,700円

一方で、加入月数を乗じて計算するタイプや生年月日に応ずる率を乗じて計算するタイプの年金額は、「1円未満で四捨五入」します。

個人が保険料を払った期間に応じた年金額ですから、できるだけ細かい端数までお支払いをしようという考え方かも知れません。

試験対策上の原則は「100円」or「1円」?

前述の通り、法律上の作りでは「1円未満で四捨五入」が原則です。

一方で、試験対策上は、どっちを原則にしても微妙なのが悩みどころです。

個人的には、最近では、

・「1円未満四捨五入」の年金を押さえて、
・他は「100円未満四捨五入」の年金

と整理するのが早い気がします。

法律条文上は、給付の通則で「1円未満四捨五入」とされていますので、各年金額の規定上、

何の記載もないもの→「1円未満四捨五入
・「100円未満四捨五入」の記載あり→「100円未満四捨五入」

という仕様になっています。

それでは、各年金額の条文表現を確認していきます。

国民年金の年金額の端数処理

老齢基礎年金

老齢基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。ただし、保険料納付済期間の月数が四百八十に満たない者に支給する場合は、当該額に、次の各号に掲げる月数を合算した月数(四百八十を限度とする。)を四百八十で除して得た数を乗じて得た額とする。

赤字の部分が「100円未満で四捨五入」を意味しています。

780,900円×改定率=老齢基礎年金の満額(100円未満四捨五入)ということです。

一方で、ただし書きの「保険料納付済期間の月数が四百八十に満たない者」については、「100円未満で四捨五入」を意味する表記がありません。
すなわち原則に戻って「1円未満四捨五入」とパターンになります。

老齢基礎年金の満額(100円未満四捨五入)×その者の加入月数/480=その者の老齢基礎年金の額(1円未満四捨五入)

老齢基礎年金(振替加算)

これらの規定に定める額に、二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)にその者の生年月日に応じて政令で定める率を乗じて得た額を加算した額とする。

赤字の部分が「100円未満で四捨五入」を意味しています。

224,700円×改定率=振替加算の基本額(100円未満四捨五入)ということです。

この振替加算の基本額×受給権者の生年月日に応ずる率=振替加算の額になります。

この額は原則に戻って「1円未満四捨五入」です。

障害基礎年金(2級)

第三十三条 障害基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。

赤字の部分が「100円未満で四捨五入」を意味しています。

780,900円×改定率=2級の障害基礎年金の額(100円未満四捨五入)ということです。

障害基礎年金(1級)

障害の程度が障害等級の一級に該当する者に支給する障害基礎年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額の百分の百二十五に相当する額とする。

1級の障害基礎年金の額は、2級の障害基礎年金の額(100円未満四捨五入)×125/100となりますが、これには「100円未満四捨五入」はされません。

2級の障害基礎年金の額(100円未満四捨五入)の段階で、最低100円単位になっており、これに125/100を乗じると125円になります。

つまり、細かい端数が生じませんので、そもそも端数処理をしないということでしょう。

すなわち、2級の障害基礎年金の額(100円未満四捨五入)×125/100=1級の障害基礎年金の額(端数処理なし)

遺族基礎年金(基本額)

第三十八条 遺族基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。

赤字の部分が「100円未満で四捨五入」を意味しています。

780,900円×改定率=遺族基礎年金の基本額(100円未満四捨五入)ということです。

子に係る加算額(障害基礎年金・遺族基礎年金)

それぞれ七万四千九百円に改定率を乗じて得た額(そのうち二人までについては、それぞれ二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額とし、それらの額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)を加算した額とする。

赤字の部分が「100円未満で四捨五入」を意味しています。

224,700円(3人目以降は74,900円)×改定率=子に係る加算額(100円未満四捨五入)ということです。

寡婦年金

第五十条 寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの第一号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間及び保険料免除期間につき、第二十七条の規定の例によつて計算した額の四分の三に相当する額とする。

寡婦年金の額は「100円未満で四捨五入」を意味する表記がありません。
すなわち原則に戻って「1円未満四捨五入」とパターンになります。

(老齢基礎年金の満額×夫の加入月数)×3/4=寡婦年金の額(1円未満四捨五入)ということです。

厚生年金保険の年金額の端数処理

報酬比例(老齢厚生年金など)

第四十三条 老齢厚生年金の額は、被保険者であつた全期間の平均標準報酬額の千分の五・四八一に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。 

報酬比例の額は「100円未満で四捨五入」を意味する表記がありません。
すなわち原則に戻って「1円未満四捨五入」とパターンになります。

平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者期間の月数=報酬比例の額(1円未満四捨五入)ということです。

定額部分(老齢厚生年金など)

千六百二十八円に改定率を乗じて得た額(その額に五十銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。に被保険者期間の月数(当該月数が四百八十を超えるときは、四百八十とする。)を乗じて得た額 

報酬比例の額は「100円未満で四捨五入」を意味する表記がありません。
すなわち原則に戻って「1円未満四捨五入」とパターンになります。

1,628円×改定率(1円未満四捨五入×被保険者期間の月数=定額部分ということです。

加給年金額(基本額)

第四十四条第二項 前項に規定する加給年金額は、同項に規定する配偶者については二十二万四千七百円に国民年金法第二十七条に規定する改定率であつて同法第二十七条の三及び第二十七条の五の規定の適用がないものとして改定したもの(以下この章において「改定率」という。)を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とし、同項に規定する子については一人につき七万四千九百円に改定率を乗じて得た額(そのうち二人までについては、それぞれ二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額とし、それらの額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。

赤字の部分が「100円未満で四捨五入」を意味しています。

224,700円(3人目以降は74,900円)×改定率=加給年金額の基本額(100円未満四捨五入)ということです。

老齢厚生年金の加給年金額(特別加算)

昭和六十年改正法附則第六十条第二項 同法第四十四条第二項に定める額に、それぞれ同表の下欄に掲げる額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)を加算した額とする。

赤字の部分が「100円未満で四捨五入」を意味しています。

昭和18年4月2日以後生まれの者では、

165,800円×改定率=老齢厚生年金の加給年金額の特別加算(100円未満四捨五入)ということです。

特別加算額は、生年月日ごとに加算額が分かれていますが、「生年月日に応ずる率を乗じる計算」はないため「100円未満四捨五入」になります。

障害厚生年金の最低保障額

第五十条第三項 障害厚生年金の給付事由となつた障害について国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が国民年金法第三十三条第一項に規定する障害基礎年金の額に四分の三を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)に満たないときは、前二項の規定にかかわらず、当該額をこれらの項に定める額とする。

赤字の部分が「100円未満で四捨五入」を意味しています。

780,900円×改定率×3/4=障害厚生年金の最低保障額 (100円未満四捨五入)ということです。

遺族厚生年金(中高齢寡婦加算)

第六十二条 第六十条第一項第一号の遺族厚生年金の額に同法第三十八条に規定する遺族基礎年金の額に四分の三を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)を加算する。
 
赤字の部分が「100円未満で四捨五入」を意味しています。

780,900円×改定率×3/4=中高齢寡婦加算額(100円未満四捨五入)ということです。

遺族厚生年金(経過的寡婦加算)

同項第一号に定める額を、当該額に第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除して得た額を加算した額として同項の規定を適用した額とする。
一 厚生年金保険法第六十二条第一項に規定する加算額(中高齢寡婦加算)
二 国民年金法第二十七条本文に規定する老齢基礎年金の額にそれぞれ附則別表第九の下欄に掲げる数(生年月日に応じた率を乗じて得た額

経過的寡婦加算の額は「100円未満で四捨五入」を意味する表記がありません。
すなわち原則に戻って「1円未満四捨五入」とパターンになります。

中高齢寡婦加算額-老齢基礎年金の満額×生年月日に応ずる率1円未満四捨五入)ということです。

すなわち中高齢寡婦加算は「100円未満で四捨五入」ですが、経過的加算では「1円未満四捨五入」となります。

まとめ

・年金の端数処理には「1円未満四捨五入」「100円未満四捨五入」「端数処理なし」の3パターンがある

・計算式上で「×加入月数」or「×生年月日に応ずる率」があるもの→「1円未満四捨五入

・障害基礎年金(1級)→「端数処理なし」

・その他→「100円未満四捨五入

 

 

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

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