公布と施行の違い【11月3日は憲法公布日、5月3日は憲法施行日】

みなさん、こんにちは。

11月3日は文化の日です。

1946年11月3日に日本国憲法が”公布”されました。
これにちなんで11月3日を国民の祝日「文化の日」と制定しました。

その後、1947年5月3日に日本国憲法が”施行”されます。
そこで、5月3日が「憲法記念日」とされます。

さて、社労士試験の勉強をしていると、ちょいちょい登場する公布と施行。

その違いや試験対策上の取り扱いなどについてご紹介したいと思います。

公布と施行

公布と施行の意味合いは、次のとおりです。

「公布」→成立した法律を一般に周知させる目的で、国民が知ることのできる状態に置くこと

「施行」→法律の効力が一般的、現実的に発動し、作用することになること

国民の利益や企業活動に影響を及ぼす法律は、公布から施行まで間隔を空けることが多いです。
例えば、民法改正も公布から3年で施行されています。

一方、概念的なものや役所内部で完結するもの、政省令への委任規定がないものは、公布した日に施行(即日施行)されることがあります。
例えば、働き方改革関連法における、雇用対策法→労働施策総合推進法への改題などです。

公布の具体的な意味

公布は、法律を国民が現実に知っている状態ではなく、知ることができる状態を指します。
具体的には、官報を閲覧・購入できる状態です。

ゆえに、例えば、禁酒法が公布→即日施行され、官報が閲覧可能であれば「公布」されていることになり、禁酒法を知らなくても、今日飲酒すると法律違反になります。

これは就業規則の効力も同じ考え方です。

秋北バス事件(昭和43年12月25日)

就業規則は、当該事業場内での社会的規範たるにとどまらず、法的規範としての性質を認められるに至つているものと解すべきであるから、当該事業場の労働者は、就業規則の存在および内容を現実に知つていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然に、その適用を受けるものというべきである。

施行日の決め方

施行日の決め方としては、3つあります。

①法律で直接確定→「令和2年4月1日から施行する」

②政令に委任→「公布の日から起算して◯年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」

③他の法律の施行日と連動→「この法律は、〇〇法の施行の日から施行する」

③他の法律の施行日と連動させている例としては、最近では年金生活者支援給付金の支給に関する法律があります。

年金生活者支援給付金法では、次のように施行日を定めています。

社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日から施行する。

消費税10%になってから施行、という意味ですが、増税が先送りされた結果、年金生活者支援給付金法の施行も予定より先送りになり、令和元年10月1日までずれ込みました。

試験対策上の公布日と施行日

ここまで公布日と施行日をみてきましたが、試験対策上の取り扱いを、最後にご紹介します。

基本はスルーです。押さえ分けの必要はありません。

使用教材に載っている情報が試験対象の規定だからです。

また、試験でも施行日の知識を求められる出題はほとんど有りません、

2019年試験の常識問10のような施行日の順番を問う問題も出題されたこともありますが、極稀です。

一方、合格後の実務では、施行日は超重要。
法改正でまっさきに気にする事項です。

 

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格コース」を担当致しております。
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