【過去問】2020社会保険労務士試験 解答解説(健康保険法)【解説】

皆さん、こんにちは。
金沢博憲(社労士24)です。

2020年社会保険労務士試験の解答・解説です。
手早く論点確認をして頂けるように、問題・解答を併記しています。

問題文の「ここをみれば正誤判断ができる」という部分にマーカーを引いています。
正しい対応関係にはこの色のマーカー誤っている対応関係にはこの色のマーカーをつけています。

正解率は、大原採点サービスをご利用の方の率です。

・70%以上→絶対得点したい問題。
・40%~70%未満→できれば得点したい問題。
・40%未満→得点できなくても仕方がない問題。

今回は健康保険法です。

健康保険法

・70%以上→3問(問3、4、5)
・40%~70%未満→4問(問6、8、9、10)
・40%未満→3問(問1、2、7)

合格者(男性)

今回は取りやすい問題が少ない厳しい科目。細かい通達など実務従事者でないと対応が難しい問題が多い。そんな中でも、問3,4,5,6,8は取りたい。いわゆる試験テクニックも問われる。

女性(右)

試験テクニック?

合格者(男性)

例えば、択一で「2択に絞って、もう知識では選べない」という場合に「どっちを選ぶか」というMYルールを作っておく。
・文章が短い方が×
・数値が多い方が×
・「限り、ことはない、一切、いかなる場合でも」とある方が×
など。
高得点者は、知識を使わないでテクで得点している問題もかなりある。

女性(右)

合格者は全部正誤判断できているのかと思っていた…

合格者(男性)

その必要はまったくない。つーか無理。「350の選択肢のすべてを正誤判断しなければならない」という縛りから解放されることが、択一合格ライン突破の第1歩ともいえる。

〔問 1〕正解率20%

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

正解肢Aはテキストの最後の最後の方の内容なので、できなくてしゃーない。BCEはしっかりと押さえる。

A 全国健康保険協会は、被保険者の保険料に関して必要があると認めるときは、事業主に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該協会の職員をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

誤り。

保険料徴収するのは協会ではなく厚生労働大臣。ゆえに保険料に関する立ち入り権限も厚生労働大臣
協会に立入権限があるのは「保険給付」。

B 被保険者が同一疾病について1年6か月間傷病手当金の支給を受けたが疾病が治癒せず、その療養のため労務に服することができず収入の途がない場合であっても被保険者である間保険料を負担する義務を負わなければならない

正しい。

負担能力がなくても、標準報酬月額に対応した保険料を負担する義務がある。
この場合、納付義務を負う事業主が被保険者負担分を立て替えて払う。

C 患者申出療養の申出は、厚生労働大臣が定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法第4条の3に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る。)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行う。

正しい。

・患者申出療養→臨床研究中核病院
・紹介状なし特別料金の徴収義務→地域医療支援病院(200床以上)&特定機能病院

D 特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者資格の取得の要件である「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」の算定において、短時間労働者の所定労働時間が1か月の単位で定められ、特定の月の所定労働時間が例外的に長く又は短く定められているときは、当該特定の月以外の通常の月の所定労働時間12分の52で除して得た時間1週間の所定労働時間とする。

正しい。

月の所定労働時間を週の労働時間に換算する必要がある。

・月の所定労働時間÷52/12
↓ひっくり返して掛け算
・月の所定労働時間×12/52

月の所定労働時間を12倍して”年”に換算→52で割って”週”に換算

E 地域型健康保険組合は、不均一の一般保険料率に係る厚生労働大臣の認可を受けようとするときは、合併前の健康保険組合を単位として不均一の一般保険料率を設定することとし、当該一般保険料率並びにこれを適用すべき被保険者の要件及び期間について、当該地域型健康保険組合の組合会において組合会議員の定数3分の2以上の多数により議決しなければならない。

正しい。

【組合会議員の議決・請求】
・3/4以上→解散、合併、分割(組合の存否にかかわること)
・2/3以上→その他(不均一の一般保険料率など)
・1/3以上→臨時の組合会招集

〔問 2〕正解率20%

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

合格者(男性)

明確に正誤判断できそうなのはEだけ。とれなくてしゃーない。

合格者(男性)

正解肢Aはテキストの最後の最後の方の内容なので、できなくてしゃーない。BCEはしっかりと押さえる。

A 保険医又は保険薬剤師の登録の取消しが行われた場合には、原則として取消し後5年間は再登録を行わないものとされているが、過疎地域自立促進特別措置法に規定する過疎地域を含む市町村(人口5万人以上のものを除く。)に所在する医療機関又は薬局に従事する医師、歯科医師又は薬剤師については、その登録の取消しにより当該地域が無医地区等となる場合は、取消し後2年が経過した日に再登録が行われたものとみなされる

誤り。

保険医の登録取り消しが行われると
・原則→取り消し後5年間は再登録しない
・関与した不正請求の額が軽微→取り消し後2年以上5年未満で再登録が可能
・過疎地域で無医地区化→取り消し後2年未満で再登録が可能

B 高額介護合算療養費に係る自己負担額は、その計算期間(前年の8月1日からその年の7月31日)の途中で、医療保険や介護保険の保険者が変更になった場合でも、変更前の保険者に係る自己負担額と変更後の保険者に係る自己負担額は合算される。

正しい。

月間の高額療養費は「保険者変更は通算しない」なので、混ざる。

【保険者が変わると】
・通算するもの→高額療養費(年間外来)の自己負担額、高額介護合算療養費の自己負担額
・通算しないもの→標準賞与額の累計額、高額療養費(月間)の自己負担額・多数回該当の回数

C 特定健康保険組合とは、特例退職被保険者及びその被扶養者に係る健康保険事業の実施が将来にわたり当該健康保険組合の事業の運営に支障を及ぼさないこと等の一定の要件を満たしており、その旨を厚生労働大臣に届け出た健康保険組合をいい、特定健康保険組合となるためには、厚生労働大臣の認可を受ける必要はない

誤り。

ただの健康保険組合が認可を受けることで特定健康保険組合になる。
届け出だけではダメ。

D 指定訪問看護事業者が、訪問看護事業所の看護師等の従業者について、厚生労働省令で定める基準や員数を満たすことができなくなったとしても、厚生労働大臣は指定訪問看護事業者の指定を取り消すことはできない

誤り。

「厚生労働省令で定める基準や員数を満たすことができなくなる」は指定取り消し事由にあたるので、指定を取り消すことができる

E 被保険者資格を取得する前に初診日がある傷病のため労務に服することができず休職したとき、療養の給付は受けられるが、傷病手当金は支給されない

誤り。

会社に就職する前にかかった傷病についても、資格取得後、療養の給付や傷病手当金といった保険給付の対象になる。

〔問 3〕正解率80%

健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

合格者(男性)

これはとりたい。ア○を軸に、イ×、であれば、B(アとウ)が正解という感じで、短時間で処理をしたい。

ア 伝染病の病原体保有者については、原則として病原体の撲滅に関し特に療養の必要があると認められる場合には、自覚症状の有無にかかわらず病原体の保有をもって保険事故としての疾病と解するものであり、病原体保有者が隔離収容等のため労務に服することができないときは、傷病手当金の支給の対象となるものとされている。

正しい。

「労務に服することができない」「傷病手当金の支給の対象」のみで正誤判断する。

他の文章は全部飾りですよ!

イ 指定訪問看護は、末期の悪性腫瘍などの厚生労働大臣が定める疾病等の利用者を除き、原則として利用者1人につき週5日を限度として受けられるとされている。

誤り。

指定訪問看護は、原則として利用者1人につき週3日を限度とする。
週の半分以上(4日以上)の看護が必要なら入院した方がよい、というイメージ。

ウ 配偶者である被保険者から暴力を受けた被扶養者は、被保険者からの届出がなくとも、婦人相談所が発行する配偶者から暴力の被害を受けている旨の証明書を添付して被扶養者から外れる旨を申し出ることにより、被扶養者から外れることができる

正しい。

被扶養者が被保険者からDVを受けている場合、被扶養者から外れたくても被保険者による届出は期待できないため、被扶養者本人からの申し出で、外れることができる。

なお、「配偶者から暴力の被害を受けている旨の証明書」の部分は、厳密には「配偶者からの暴力を理由として保護した旨の証明書」が正しい。
疑義はあるが、相対評価で○。

エ 所在地が一定しない事業所に使用される者で、継続して6か月を超えて使用される場合は、その使用される当初から被保険者になる

誤り。

所在地が一定しない事業所に使用される者は、試用期間にかかわらず、被保険者となることはない

「臨時的事業の事業所に使用される者は当初から6か月を超えて使用される場合に被保険者となる」との引掛け。

オ 被保険者外国に赴任したことがない被保険者とする。)の被扶養者である配偶者に日本国外に居住日本国籍を有しない父がいる場合、当該被保険者により生計を維持している事実があると認められるときは、当該父は被扶養者として認定される

誤り。

国外居住者は原則的に被扶養者とされない。
例外的に、国外居住でも国内に生活の基盤がある者と認められる者であれば、被扶養者とされる。
しかし、本肢の日本国籍を有しない父は、国内に生活の基盤がある者と認められないため、被扶養者とされない。

A (アとイ) B (アとウ) C (イとエ) D (ウとオ) E (エとオ)

〔問 4〕正解率70%

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

正解肢Dは数字だけで瞬殺可能。こういうタイプの問題は正解率100%にしたい

A 厚生労働大臣健康保険料を徴収する場合において、適用事業所の事業主から健康保険料厚生年金保険料及び子ども・子育て拠出金一部の納付があったときは、当該事業主が納付すべき健康保険料、厚生年金保険料及び子ども・子育て拠出金の額を基準として按分した額に相当する健康保険料の額が納付されたものとされる。

正しい。

協会けんぽの適用事業所は、健康保険の保険料、厚生年金保険の保険料、子ども・子育て拠出金を一緒に納付する。
例えば、その総額が100万円とした場合で、70万円しか納付できなかった場合は、健康保険の保険料が70%、厚生年金保険の保険料が70%、子ども・子育て拠出金が70%、それぞれ納付されたものとみなす

B 定期健康診断によって初めて結核症と診断された患者について、その時のツベルクリン反応、血沈検査、エックス線検査等の費用は保険給付の対象とはならない

正しい。

定期健康診断自体の費用は、保険の対象外。
健康診断後、その結果に基づく精密検査は、保険給付の対象。

C 被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者ではないものとする。)であった者が、その被保険者の資格を喪失した日後6か月以内に出産した場合、出産したときに、国民健康保険の被保険者であっても、その者が健康保険法の規定に基づく出産育児一時金の支給を受ける旨の意思表示をしたときは、健康保険法の規定に基づく出産育児一時金の支給を受けることができる

正しい。

被保険者の資格喪失後に出産した場合も、喪失後の出産に対する出産育児一時金の支給対象になる。

D 標準報酬月額が56万円である60歳の被保険者が、慢性腎不全で1つの病院から人工腎臓を実施する療養を受けている場合において、当該療養に係る高額療養費算定基準額10,000円とされている。

誤り。

【長期高額特定疾病患者の高額療養費算定基準額】
・原則→10,000円
・70歳未満+標準報酬月額53万円以上+慢性腎不全→20,000円

本肢の被保険者は、70歳未満で53万以上であるから、算定基準額は20,000円

E 新たに適用事業所に使用されることになった者が、当初から自宅待機とされた場合の被保険者資格については、雇用契約が成立しており、かつ、休業手当が支払われているときは、その休業手当の支払いの対象となった日の初日被保険者の資格を取得するものとされる。

正しい。

資格取得日=事実上の使用関係が生じた日=報酬(休業手当)支払対象になった日

〔問 5〕正解率90%

健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

合格者(男性)

アイウが明確に×なので、残ったエオが正解という消去法

ア 被扶養者の要件として、被保険者と同一の世帯に属する者とは、被保険者と住居及び家計を共同にする者をいい、同一の戸籍内にあることは必ずしも必要ではないが、被保険者が世帯主でなければならない

誤り。

被保険者が世帯主である必要もない。

イ 任意継続被保険者の申出は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内にしなければならず、保険者は、いかなる理由がある場合においても、この期間を経過した後の申出は受理することができない

誤り。

「いかなる場合においても」というのは、いかにも×くさいフレーズ。

正当な理由がある場合は、20日以内を経過した後でも申し出を受理できる
正当な理由とは自然災害など。一方、法令の不知は認められない。

ウ 季節的業務に使用される者について、当初4か月以内の期間において使用される予定であったが業務の都合その他の事情により、継続して4か月を超えて使用された場合には使用された当初から一般の被保険者となる

誤り。

【適用除外→被保険者に切り替わる要件】
・日々雇い入れられる者(1か月超使用→超えたときから被保険者になる)
・2か月以内の期間雇用者(所定の期間超使用→超えたときから被保険者になる)
・季節的業務に使用される者(当初から4か月超予定→当初から被保険者になる
・臨時的事業の事業所に使用される者(当初から6か月超予定→当初から被保険者になる)

当初4か月以内の使用予定の場合は、被保険者に切り替わるパターンはない。

エ 実際には労務を提供せず労務の対償として報酬の支払いを受けていないにもかかわらず、偽って被保険者の資格を取得した者が、保険給付を受けたときには、その資格を取り消し、それまで受けた保険給付に要した費用を返還させることとされている。

正しい。

エア被保険者。

オ 事業主は、被保険者に支払う報酬がないため保険料を控除できない場合でも、被保険者の負担する保険料について納付する義務を負う

正しい。

被保険者の負担能力がなくても、事業主は被保険者負担分を含めて納付する義務を免れない。
飲みに連れて行った相手に手持ちがない場合、相手の分も立て替えて全額飲み屋に払うのと同じ構図。

1Bの関連論点。

A (アとイ) B (アとウ) C (イとエ) D (ウとオ) E (エとオ)

〔問 6〕正解率60%

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

合格レベルだと「A×、次問7」で瞬殺できる。でも正解率は60%。こういうのが合否を分ける。

A 被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、その資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている者が、その資格を喪失後に特例退職被保険者の資格を取得した場合、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる

り。

【資格喪失後の傷病手当金の継続給付】
・任意継続被保険者→支給される。
特例退職被保険者→支給されない

B 保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができるが、その決定は保険者が不正の事実を知った時以後の将来においてのみ決定すべきであるとされている。

正しい。

不正の事実を知る前の期間にはさかのぼって不支給決定はしない。

C 保険者が、健康保険において第三者の行為によって生じた事故について保険給付をしたとき、その給付の価額の限度において被保険者が第三者に対して有する損害賠償請求の権利を取得するのは、健康保険法の規定に基づく法律上当然の取得であり、その取得の効力は法律に基づき第三者に対し直接何らの手続きを経ることなく及ぶものであって、保険者が保険給付をしたときにはその給付の価額の限度において当該損害賠償請求権は当然に保険者に移転するものである。

正しい。

保険者が保険給付の先に行うと、損害賠償請求権の代位取得は法律上当然に行われる。

D 保険者は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに診療担当者より受けた診断書、意見書等により一般に療養の指示と認められる事実があったにもかかわらず、これに従わないため、療養上の障害を生じ著しく給付費の増加をもたらすと認められる場合には、保険給付の一部を行わないことができる

正しい。

「保険者は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、保険給付の一部を行わないことができる。」を事例っぽくしてみました問題。

E 被保険者が道路交通法違反である無免許運転により起こした事故のため死亡した場合には、所定の要件を満たす者に埋葬料が支給される。

正しい。

無免許運転は故意の犯罪行為に該当するが、死亡に関する給付は1回限りのものであるので、埋葬料の支給は行われる。

〔問 7〕正解率30%

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

Eは基本といえば基本。ただ、BCD3連発でとらえどころがない選択肢で、あきらめムードでEを迎えると、見落とし仕方なし

A 日雇特例被保険者が療養の給付を受けるには、これを受ける日において当該日の属する月の前2か月間に通算して26日分以上又は当該日の属する月の前6か月間に通算して78日分以上の保険料が納付されていなければならない。

正しい。

【日雇特例被保険者に係る保険料納付条件】
・原則→前2か月間に通算26日分以上or前6か月間に通算78日分以上
・被保険者の出産→前4か月間(6か月間×)に通算26日分以上

B 全国健康保険協会短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならないが、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、厚生労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。この借り換えた短期借入金は、1年以内に償還しなければならない。

正しい。

とらえどころがないっす。

C 保険者は、保健事業及び福祉事業に支障がない場合に限り、被保険者等でない者にこれらの事業を利用させることができる。この場合において、保険者は、これらの事業の利用者に対し、利用料を請求することができる。利用料に関する事項は、全国健康保険協会にあっては定款で、健康保険組合にあっては規約で定めなければならない。

正しい。

とらえどころがないっす。

D 健康保険組合の設立を命ぜられた事業主が、正当な理由がなくて厚生労働大臣が指定する期日までに設立の認可を申請しなかったとき、その手続の遅延した期間、その負担すべき保険料額の2倍に相当する金額以下の過料に処する旨の罰則が定められている。

正しい。

強制設立の命令って現実に発出されたことがないのに、その罰則を出す意味とは…

E 任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。この場合において前納すべき額は、前納に係る期間の各月の保険料の額合計額である

誤り。

前納すべき額→前納に係る期間の各月の保険料の額の合計額から政令で定める額を控除した額
早めに払う分、割引(年4分)がある。

「合計額である」=割引がない、という意味になり×。

〔問 8〕正解率60%

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

CEに絞って…という問題。数字引掛けにかける!というのも試験テクの一つ

A 健康保険被保険者報酬月額算定基礎届の届出は、事業年度開始の時における資本金の額が1億円を超える法人の事業所の事業主にあっては、電子情報処理組織を使用して行うものとする。ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、電子情報処理組織を使用しないで当該届出を行うことができると認められる場合は、この限りでない。

正しい。

改正キタ━(゚∀゚)━!

【特定法人の電子申請が義務化されているもの】
・報酬月額算定基礎届
・報酬月額変更届(随時改定)
・賞与支払届

B 厚生労働大臣は、保険医療機関若しくは保険薬局又は指定訪問看護事業者の指定に関し必要があると認めるときは、当該指定に係る開設者若しくは管理者又は申請者の社会保険料の納付状況につき、当該社会保険料を徴収する者に対し、必要な書類の閲覧又は資料の提供を求めることができる。

正しい。

社会保険料の滞納が保険医療機関の指定取り消し事由の一つであるため、その納付状況を徴収主体から確認することができる。

C 健康保険組合の組合会は、理事長が招集するが、組合会議員の定数の3分の2以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して組合会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあった日から30日以内に組合会を招集しなければならない。

誤り。

臨時の組合会の招集は、
・組合会議員の定数の3分の1以上が請求
・理事長は20日以内に招集

「財布(312)についての臨時の組合会」みたいな。

D 保険者は、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財又はその他の財産について著しい損害を受けた被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金の支払いを免除することができる。

正しい。

【一部負担金の特例】
・要件→災害その他の特別の事情がある場合+一部負担金を支払うことが困難
・措置措置→減額or支払免除or徴収猶予
・徴収猶予の期間→6か月以内(6か月以上1年未満×)
・徴収猶予等をした一部負担金等相当額→保険医療機関は審査支払機関(保険者×)に請求

E 被保険者が海外にいるときに発生した保険事故に係る療養費等に関する申請手続等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付することとされており、添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載させることとされている。

正しい。

「診療内容明細書」「領収明細書」翻訳:戸田奈津子。的な。

〔問 9〕正解率50%

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

ABCDは知識では無理。Dの「行われることはない」で×と判断するのは、試験テクの一つ

A 被扶養者の認定において、被保険者が海外赴任することになり、被保険者の両親が同行する場合、「家族帯同ビザ」の確認により当該両親が被扶養者に該当するか判断することを基本とし、渡航先国で「家族帯同ビザ」の発行がない場合には、発行されたビザが就労目的でないか、渡航が海外赴任に付随するものであるかを踏まえ、個別に判断する。

正しい。

被保険者の海外赴任に同行する者は、国外居住でも被保険者とされる。
その申請の際、添付書類として家族帯同ビザが必要。

B 給与の支払方法が月給制であり、毎月20日締め、同月末日払いの事業所において、被保険者の給与の締め日が4月より20日から25日に変更された場合、締め日が変更された4月のみ給与計算期間3月21日から4月25日までとなるため、標準報酬月額の定時決定の際には、3月21日から3月25日までの給与を除外し、締め日変更後の給与制度で計算すべき期間(3月26日から4月25日までで算出された報酬を4月の報酬とする。

正しい。

締日に変更により給与計算期間が36日間になってしまったため、保険者算定により、本来であれば算定に含めない報酬(3月21日から3月25日までの給与)を除外する。

C 育児休業取得中の被保険者について、給与の支払いが一切ない育児休業取得中の期間において昇給があり、固定的賃金に変動があった場合、実際に報酬の支払いがないため、育児休業取得中や育児休業を終了した際に当該固定的賃金の変動を契機とした標準報酬月額の随時改定が行われることはない

誤り。

「行われることはない」はいかにも×くさいフレーズ。

固定的賃金の変動があっても、育休中に報酬支払がない場合は、「3か月とも17日以上で揃える」という随時改定の要件を満たさないため、育休中の随時改定は行われない。
しかし、育児休業が終了し、実際に変動後の報酬の支払いがあり、随時改定の要件を満たせば、随時改定が行われる

D 全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者資格を取得した際の標準報酬月額の決定について、固定的賃金の算定誤りがあった場合には訂正することはできるが、残業代のような非固定的賃金について、その見込みが当初の算定額より増減した場合には訂正することができないとされている。

正しい。

資格取得時に届け出た報酬月額と実際の報酬とが大きく異なっていた場合、資格取得時にさかのぼって報酬月額の訂正を行うことができるが、これは基本給などの固定的賃金に誤りがあった場合に限られる。

例えば、想定より残業代が多くなったような場合は、残業代は非固定的賃金のため、増減に伴う標準報酬月額の訂正はできない。
残業代はズレがでてもおかしくないので、放置。

E 適用事業所に期間の定めなく採用された者は、採用当初の2か月が試用期間として定められていた場合であっても、当該試用期間を経過した日から被保険者となるのではなく採用日に被保険者となる。

正しい。

資格取得日=事実上の使用関係が生じた日→採用日に取得。

〔問 10〕正解率60%

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

合格者(男性)

BDに絞って、Bを間違えるパターン。Bは無理だから、Dを○と判断できるかが問われる。2択に絞って、知識では一つに特定できない場合は、迷っても解決しないので「長文は○、短文は×」とかmyルールを作っておくと良い。[/char]

A 労災保険法に基づく休業補償給付を受給している健康保険の被保険者が、さらに業務外の事由による傷病によって労務不能の状態になった場合、休業補償給付が支給され、傷病手当金が支給されることはない

誤り。

「されることはない」とはいいきれないから×。

【休業補償給付との調整】
・休業補償給付>傷病手当金→傷病手当金は支給されない
・傷病手当金>休業補償給付→傷病手当金が差額支給

B 適用事業所が日本年金機構に被保険者資格喪失届及び被保険者報酬月額変更届を届け出る際届出の受付年月日より60日以上遡る場合又は既に届出済である標準報酬月額を大幅に引き下げる場合は、当該事実を確認できる書類を添付しなければならない

誤り。

従来、本肢の届出の事実関係を確認する書類として添付を求めていた「賃金台帳の写し及び出勤簿の写し」の確認書類について、行政手続きコストの削減や事業主等の事務負担の軽減を図る目的で、届出時の添付が不要となっている。

その代わり、事業所調査実施時に確認が行われる。

C 任意適用事業所において被保険者の4分の3以上の申出があった場合、事業主は当該事業所を適用事業所でなくするための認可の申請をしなければならない

誤り。

被保険者から希望があっても、事業主に適用取り消しの認可申請をする義務はない
なお、事業主が適用取り消しの認可申請をする場合は、被保険者の4分の3以上の同意が必要。

D 育児休業等期間中の保険料の免除に係る申出をした事業主は、被保険者が育児休業等終了予定日を変更したとき、又は育児休業等終了予定日の前日までに育児休業等を終了したときは、速やかにこれを厚生労働大臣又は健康保険組合に届け出なければならないが、当該被保険者が育児休業等終了予定日の前日までに産前産後休業期間中の保険料の免除の規定の適用を受ける産前産後休業を開始したことにより育児休業等を終了したときこの限りでない

正しい。

育児休業免除の申請書に記載された休業終了予定日に対応して免除期間が設定される。
終了予定を変更したり、予定日前に終了することになると、免除期間も変わるため、その旨の届出が必要。
ただし、産休に入ったことで育児休業が終了する場合は、産休免除の申請書を出しているので、育児休業の方は不要。

E 被保険者(任意継続被保険者を除く。)が出産の日以前42日から出産の日後56日までの間において、通常の労務に服している期間があった場合は、その間に支給される賃金額が出産手当金の額に満たない場合に限り、その差額が出産手当金として支給される

誤り。

出産手当金は労務に服していない期間につき支給される。
その間、報酬の支払いが入ると調整が入る。

一方で、そもそも通常の労務に服している期間(出勤している期間)は、出産手当金は支給されない

以上です。

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執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

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