社労士24プラス「本試験全問解説」労基・安衛法問6~問10

皆様こんにちは。

資格の大原 社会保険労務士試験対策講座の金沢です。
本試験後に大変お疲れのところ、ブログをご覧いただきまして誠にありがとうございます。

今回「社労士24プラスで本試験全問解説」の誌上?体験版の第3弾「労働基準法・労働安全衛生法問2~問5」までご紹介させて頂きます。
誌上?体験版もよいですが、動画版は、音声・画像などいろんな角度から情報が入ってきますので、よりわかりやすいと思います。

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「全問解説」体験版(労働基準法・労働安全衛生法06~10)

今回は、労働基準法・労働安全衛生法の問6から問10までの解説です。

まず問6です。誤っているものはどれかの問題で、Dが正解肢です。
Dの論点は、過払賃金の調整的相殺が、賃金支払五原則の「全額払い違反」にあたるかどうか、です。
相殺については、本来、全額払い違反にあたります。
しかし、相殺が違反にあたらないケースが2つあります。
労働者の自由意思による同意がある場合と、過払い賃金の調整的相殺の場合です。

過払賃金の調整的相殺が適法とされる場合の要件が最高裁判例によって示されています。
それはその相殺によって「経済的安定を脅かさないこと」です。
具体的には①少額であること②予告していること③時期が合理的に密着していることの3要件を満たす必要があります。
問題文では「合理的に密着した時期においてなされなくても」とあるため、誤りという判断です。
過払い賃金の調整的相殺については、過去にも「少額である限り適法」で×、という問題も出題されています。
以上、問6です。

次に問7です。正しいものはどれかの問題で、Cが正解肢です。
Cの論点は、児童を使用する場合の法定労働時間の特別規制についてです。
児童は、義務教育修了前のため、原則使用してはなりません。
ただし、非工業的業種であれば例外的に使用できることになっています。
その要件は、まず、行政官庁の許可を得ること、そして、義務教育優先のため修学時間外に使用することです。
そのうえで、法定労働時間についても特例が設けられています。
まず、修学時間を通算して算定すること、そして、週40時間、1日7時間までというものです。
したがって、1日の修学時間が5時間であれば、労働させることができるのは残り2時間という勘定になります。
結果、Cが正しい内容です。

以上、問7です。ここまでが労働基準法となります。

次に労働安全衛生法です。
まず問8です。誤っているものはどれかの問題で、Aが正解肢です。
AとBの2択に絞って悩むところです。
Bについては、労働者死傷病報告書に関する問題です。
労働者死傷病報告書は、「労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき」に提出するものとされています。
すなわち労災保険法でいうところの「業務災害」には限定しておりません。
就業中以外でも事業場内等で事故が発生した場合は届出が必要です。
結果、問題文にある通り、その負傷が明らかに業務に起因するものでなくても、報告書の提出が必要となります。
そして、その知識がなくても、仮説を立てることで正誤判断がしやすくなります。
すなわち、もし仮に「業務に起因するものではないと判断したら報告書を提出しなくてもよい」としたら、事業者により恣意的な判断により報告書が提出されず、行政官庁が事実確認をすることができない、という恐れがでてくるはずです。
ということは、報告が必要だろう、という考え方です。
結果Bが○となるため、Aが×という判断が可能です。

次に問9です。安衛法では初の本格的な事例問題です。
正しいものはどれかで、Bが正解肢です。
事例問題を解く際のポイントは、いきなり親問題文を熟読しないことです。
正誤判断に必要ではない情報まで気になってしまうからです。
そこで、まず、親問題文はサラッと目を通す程度にして、選択肢の検証に入りましょう。
そして選択肢をみて、正誤判断に必要な情報を探すという手順が効率的です。
例えば、Aの問題文をみると「本社には総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医を選任しなければならない」とあります。
正誤判断に必要な情報は、規模と業種です。
そこで親問題文の本社の規模・業種をみます。業種は管理業務と営業活動、規模は40人となっています。
総括安全衛生管理者は、非工業的業種の場合は、1,000人以上で選任が必要です。
したがって、本社に総括安全衛生管理者を置く必要はない、誤り、という判断が可能です。

一方、Bの問題文をみます。
まず前段は、Y市の工場に安全委員会、衛生委員会、これらの設置に代え、安全衛生委員会を設置するとなっています。
正誤判断に必要な情報は、規模と業種です。そこで親問題文の工場の規模・業種をみます。業種は食品製造工場、規模は600人となっています。
安全委員会は、工業的業種で規模は最高でも100人以上、衛生委員会はすべての業種で50人以上です。
いすれも設置要件を満たしていますので、正しい内容です。
次に後段をみます。
産業医について、専属の者を選任しなければならない、とあります。
正誤判断のために必要な知識は「産業医の専属は、事業場の規模1,000人以上又は有害業務に500人以上を従事させている場合で必要。この有害業務には深夜業は含まれる」ということです。
事例をみると、600人が深夜業に従事、とあります。正しい内容です。結果、Bが正しい、となります。

なお、この深夜業が入るか入らないかでいうと、次のまとめがあります。
【深夜業が含まれないもの】
・労働時間延長の限度の有害業務
・衛生管理者の専任
・衛生工学衛生管理者免許を有する者の選任
【深夜業が含まれるもの】
・産業医の専属
・特定業務従事者の健診
・自発的健康診断

以上、問9です。

最後に問10です。
作業主任者を選任すべきものとして、誤っているものはどれかという問題です。
正解肢はEの「アーク溶接」です。
おそらくほとんどの方にとって初見の問題だったと思います。
ただ、「アーク溶接」についてこの画像をイメージできれば「作業主任者が後方で監督する必要なさそう」と判断できたかも知れません。


他の肢の業務は5メートル以上とか5台以上とか、いかにも作業グループの全体を俯瞰する監督責任者が必要そうです。
ちなみに「アーク溶接」は特別教育の対象となります。

以上労働基準法・労働安全衛生法問6から問10でした。

次回は、労働者災害補償保険法・労働保険料徴収法の問1から問5まで解説します。

ありがとうございました。