【過去問】2020社会保険労務士試験 解答解説(国民年金法)【解説】

皆さん、こんにちは。
金沢博憲(社労士24)です。

2020年社会保険労務士試験の解答・解説です。
手早く論点確認をして頂けるように、問題・解答を併記しています。

問題文の「ここをみれば正誤判断ができる」という部分にマーカーを引いています。
正しい対応関係にはこの色のマーカー誤っている対応関係にはこの色のマーカーをつけています。

正解率は、大原採点サービスをご利用の方の率です。

・70%以上→絶対得点したい問題。
・40%~70%未満→できれば得点したい問題。
・40%未満→得点できなくても仕方がない問題。

今回は、国民年金法です。

国民年金法

・70%以上→5問
・40%~70%未満→4問
・40%未満→1問

合格者(男性)

極端に難しい問題は少ない。ただ、事例問題が多く、試験後半にスタミナと時間が減退する中で、目が滑ってしまい、普段なら取れるそうな問題も落としてしまったのでは。

〔問 1〕正解率80%

遺族基礎年金、障害基礎年金に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア 遺族基礎年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として減額しない額の遺族基礎年金が支払われた場合における当該遺族基礎年金の当該減額すべきであった部分は、その後に支払うべき遺族基礎年金の内払とみなすことができる。

正しい。

・1人の年金間の調整は内払。
・2人の年金間の調整は充当。

本肢は一人の年金の話をしているので「内払」。
なお「みなす。」とか「みなすことができる。」は押さえ分け不要。

イ 初診日において被保険者であり、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態にあるものであっても、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月まで被保険者期間がない者については、障害基礎年金は支給されない

誤り。

例えば、20歳に達した月に初診日があるケースなど判定すべき被保険者期間が存在しない場合は、保険料納付要件をそもそも問わない
他の所定の要件を満たせば、障害基礎年金は支給される。

ウ 遺族基礎年金の支給に係る生計維持の認定に関し、認定対象者の収入については、前年の収入が年額850万円以上であるときは、定年退職等の事情により近い将来の収入が年額850万円未満となると認められても、収入に関する認定要件に該当しないものとされる。

誤り。

生計維持の認定基準は、「今後もずっと年収850万円以上」だとNG。
今850万円以上でも、近い将来850万円未満となる見込みがあればOK。

エ 障害等級2級障害基礎年金受給権を取得した日から起算して6か月を経過した日人工心臓(補助人工心臓を含む。)を装着した場合には、障害の程度が増進したことが明らかな場合として年金額の改定の請求をすることができる。

正しい。

障害基礎年金の改定請求。
・原則→1年経過後。
・障害の程度が増進したことが明らかな場合→1年経過前でも可能。

オ 死亡した者の死亡日においてその者の死亡により遺族基礎年金を受けることができる者があるときは、当該死亡日の属する月に当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合であっても、死亡一時金は支給されない

誤り。

死亡一時金と遺族基礎年金が競合した場合
・原則→死亡一時金は不支給
・死亡月に遺族基礎年金の受給権が消滅(死亡したのが子18歳年度末の月など)→死亡一時金は支給される

A (アとウ) B (アとエ) C (イとエ) D (イとオ) E (ウとオ)

〔問 2〕正解率40%

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間が36か月であり、同期間について併せて付加保険料を納付している者の遺族に支給する死亡一時金の額は、120,000円8,500円を加算した128,500円である。なお、当該死亡した者は上記期間以外に被保険者期間を有していないものとする。

正しい。

死亡一時金の額は、
・本体額→支給要件期間が36か月で120,000円~420か月以上で320,000円。
・加算額→付加保険料3年以上納付で8,500円加算

36か月だと、120,000円+8,500円で128,500円。

B 平成12年1月1日生まれの者が20歳に達し第1号被保険者となった場合、令和元年12月から被保険者期間に算入され、同月分の保険料から納付する義務を負う。

正しい。

論点は
・20歳に達する日→誕生日(令和2年1月1日)の前日(令和元年12月31日)
・被保険者期間→取得した日の属する月(令和元年12月)~喪失した日の属する月の前月

C 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満任意加入被保険者は、その者が住所を有していた地区に係る地域型国民年金基金又はその者が加入していた職能型国民年金基金に申し出て地域型国民年金基金又は職能型国民年金基金の加入者となることができる

正しい。

基金に加入できる者
・第1号被保険者(法定免除、申請免除、学生特例、納付猶予を除く)
・国内居住+60歳以上65歳未満の任意加入被保険者
・日本国籍+国外居住+20歳以上65歳未満の任意加入被保険者

在外邦人である任意加入被保険者であっても、国民年金基金に加入することが可能。

D 保険料一部の額につき納付することを要しないものとされた被保険者には、保険料の前納に関する規定適用されない

誤り。

保険料の一部免除を受けている者(=一部を納付している者)も、保険料の前納は可能。

E 被保険者である夫死亡し、その遺族基礎年金が支給される場合、遺族基礎年金には、子の加算額が加算される。

正しい。

配偶者に支給される遺族基礎年金は、配偶者と生計を同じくする子がいることが前提であるため、子の加算額が加算される。

 

〔問 3〕正解率60%

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 国民年金法第30条の3に規定するいわゆる基準傷病による障害基礎年金は、基準傷病以外の傷病の初診日において被保険者でなかった場合においては、基準傷病に係る初診日において被保険者であっても支給されない

誤り。

初診日において被保険者であること」等の要件は、基準傷病(後発)に係る初診日において問われ、基準傷病以外の傷病(前発)に係る初診日においては問われない。
本肢のように、基準傷病に係る初診日において被保険者であれば、支給され得る。

B 20歳に達したことにより、第3号被保険者の資格を取得する場合であって、厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により当該第3号被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることにより20歳に達した事実を確認できるときは、資格取得の届出を要しないものとされている。

誤り。

住基ネットで本人確認情報がとれたら20歳到達による資格取得届が不要という規定は、第3号被保険者ではなく、第1号被保険者向けの規定。

C 厚生労働大臣は、保険料納付確認団体がその行うべき業務の処理を怠り、又はその処理が著しく不当であると認めるときは、当該団体に対し、その改善に必要な措置を採るべきことを命ずることができるが、当該団体がこの命令に違反したときでも、当該団体の指定を取り消すことはできない

誤り。

保険料納付確認団体が改善措置命令に違反した場合は、その指定を取り消すことができる。

D 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前月まで第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数が18か月保険料全額免除期間の月数が6か月保険料半額免除期間の月数が24か月ある者が死亡した場合において、その者の遺族に死亡一時金が支給される

誤り。

死亡一時金は「支給要件期間36か月以上」あることを支給要件としている。
本肢の場合、
・保険料納付済期間(18か月)→18か月
・保険料全額免除期間(6か月)→算入しない
・保険料半額免除期間(24か月)→24か月×1/2=12か月
合計して、18か月+12か月で30か月→36か月以上を満たさないため、死亡一時金は支給されない。

E 日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満任意加入被保険者は、厚生労働大臣に申し出て、付加保険料を納付する者となることができる

正しい。

付加保険料を納付できるのは、
・第1号被保険者(法定免除、申請免除、学生特例、納付猶予を除く)
・65歳未満の任意加入被保険者
一方で、国内居住か否かは問わない。

本肢の者は、在外邦人である20歳以上65歳未満の任意加入被保険者であるため、納付が可能。

 

〔問 4〕正解率80%

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 被保険者又は受給権者が死亡したにもかかわらず、当該死亡についての届出をしなかった戸籍法の規定による死亡の届出義務者は、30万円以下過料に処せられる。

誤り。

被保険者又は受給権者が死亡したにもかかわらず、当該死亡についての届出をしなかった戸籍法の規定による死亡の届出義務者は、10万円以下の過料に処せられる。

B 第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間を6か月以上有する日本国籍を有しない者被保険者でない者に限る。)が、日本国内に住所を有する場合、脱退一時金の支給を受けることはできない

正しい。

脱退一時金は、「日本国内に住所を有しないこと」を請求要件としているので、国内に住所を有する場合は、請求することができない。

C 障害基礎年金の受給権者が死亡し、その者に支給すべき障害基礎年金でまだその者に支給しなかったものがあり、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた遺族がその者の従姉弟しかいなかった場合、当該従姉弟は、自己の名で、その未支給の障害基礎年金を請求することができる

誤り。

未支給年金の請求が可能な遺族の範囲は、「死亡した者の3親等内の親族」まで。
従姉妹(いとこ)は4親等の親族であるため、未支給年金の請求が可能な遺族の範囲に含まれない。

D 死亡した被保険者の子が遺族基礎年金の受給権を取得した場合において、当該被保険者が月額400円の付加保険料を納付していた場合、当該子には、遺族基礎年金と併せて付加年金が支給される

誤り。

付加年金は、老齢基礎年金に上乗せ支給されるもの。
遺族基礎年金と併せて付加年金が支給されることはない。

E 老齢基礎年金の受給権を取得した月死亡した場合には、他の要件を満たしていても、その者の妻に寡婦年金は支給されない

誤り。

寡婦年金は、「夫が老齢基礎年金の支給を受けたことがある」ときは、妻に支給されない。
ただ、本肢のケースでは、夫が老齢基礎年金の受給権を取得した月と同じ月に死亡しているので、老齢基礎年金の支給されていない。
結果、本肢の夫は「老齢基礎年金の支給を受けたことがない」ため、他の要件を満たしていれば、寡婦年金は支給される。

 

〔問 5〕正解率30%

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 60歳以上65歳未満の期間に国民年金に任意加入していた者は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることは一切できない

誤り。

60歳以上65歳未満の期間に国民年金に任意加入していたか否かは、支給繰下げ(さ・げ)申出できるか否かになんの関係もない。
なお、60歳以上65歳未満の期間に国民年金に任意加入していると、支給繰上げ(あ・げ)請求はできない。

・「されることはない」と書かれている問題は、○とされることはない。
・「一切」と書かれている問題は、一切○ではない。
・「いかなる場合でも」と書かれている問題は、いかなる場合でも誤りだ。
…とまでは言い切れないが、傾向としてある。

B 保険料全額免除期間とは、第1号被保険者としての被保険者期間であって、法定免除申請全額免除産前産後期間の保険料免除学生納付特例又は納付猶予の規定による保険料を免除された期間(追納した期間を除く。)を合算した期間である。

誤り。

「産前産後の免除期間」は、保険料免除期間ではなく、保険料納付済期間である。

C 失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者に係る遺族基礎年金の支給に関し、死亡とみなされた者についての保険料納付要件は、行方不明となったにおいて判断する。

誤り。

死亡とみなされる日には、実際には死亡者との生計維持関係もなくなっていることから、被保険者資格、保険料納付要件、生計維持関係等に関しては、行方不明になった当時の時点で判定される。
「正しいじゃん」
いや、行方不明になった日に死亡したとみなす→保険料納付要件だから、その前日に判定する
「…」

【行方不明時点で死亡みなし】
生→生計維持
死→資格
不→納付要件

 

D 老齢基礎年金の受給権者であって、66歳に達した日後70歳に達する日前遺族厚生年金の受給権を取得した者が、70歳に達した日に老齢基礎年金の支給繰下げの申出をした場合には、遺族厚生年金を支給すべき事由が生じた日に、支給繰下げの申出があったものとみなされる

正しい。

66歳後70歳前の間に他の年金受給権(付加年金、老齢厚生年金を除く)を取得すると、年金をもらうのを我慢しているという状態ではなくなるので、その他の年金の受給権を取得した日に、繰下げの申出があったとみなされる。

E 第3号被保険者であった者が、その配偶者である第2号被保険者が退職し第2号被保険者でなくなったことにより第3号被保険者でなくなったときは、その事実があった日から14日以内に、当該被扶養配偶者でなくなった旨の届書を、提出しなければならない

誤り。

被扶養配偶者でなくなった旨の届書(被扶養者配偶者非該当届)の提出は、以下の場合に必要である。
(1)第3号被保険者の収入が基準額以上に増加し扶養から外れた場合
(2)離婚した場合

したがって、第2号被保険者が退職した場合は、提出不要。

 

〔問 6〕正解率80%

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 年金額の改定は、受給権者が68歳に到達する年度よりも前の年度では、物価変動率を基準として、また68歳に到達した年度以後名目手取り賃金変動率を基準として行われる。

誤り。

名目手取り賃金変動率と物価変動率の対応関係が逆。
年金額の改定は、原則として、68歳に到達する年度よりも前の年度では、名目手取り賃金変動率を基準として、また68歳に到達した年度以後は物価変動率を基準として行われる。

B 第3号被保険者の資格の取得の届出は市町村長に提出することによって行わなければならない。

誤り。

第3号被保険者の資格の取得の届出は日本年金機構に提出することによって行わなければならない。
実質、第2号被保険者の勤め先が提出するわけだから。

C 障害の程度の審査が必要であると認めて厚生労働大臣により指定された障害基礎年金の受給権者は、当該障害基礎年金の額の全部につき支給停止されていない限り、厚生労働大臣が指定した年において、指定日までに、指定日前1か月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を日本年金機構に提出しなければならない。

誤り。

指定日前3か月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を日本年金機構に提出しなければならない
指定日前1か月以内に作成するのは、20歳前障害基礎年金に係る所得状況届。

D 国家公務員共済組合の組合員地方公務員共済組合の組合員又は私立学校教職員共済制度の加入者に係る被保険者としての氏名、資格の取得及び喪失、種別の変更、保険料の納付状況、基礎年金番号その他厚生労働省令で定める事項については国民年金原簿に記録するものとされていない

正しい。

共済組合員の情報は、各共済組合が管理している。

E 国民年金法によれば、給付の種類として、被保険者の種別のいかんを問わず、加入実績に基づき支給される老齢基礎年金障害基礎年金及び遺族基礎年金と、第1号被保険者としての加入期間に基づき支給される付加年金寡婦年金及び脱退一時金があり、そのほかに国民年金法附則上の給付として特別一時金及び死亡一時金がある。

誤り。

脱退一時金と死亡一時金の対応関係が間違っている。
・国民年金法(本則)→老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、付加年金、寡婦年金、死亡一時金
・法附則→特別一時金、脱退一時金

 

〔問 7〕正解率60%

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 日本年金機構は、あらかじめ厚生労働大臣の認可受けなければ保険料の納付受託者に対する報告徴収及び立入検査の権限に係る事務を行うことができない

正しい。

日本年金機構は、行政機関ではないため、滞納処分や立入検査といったカチコミ系は、厚生労働大臣の認可が必要。

B 老齢基礎年金のいわゆる振替加算の対象となる者に係る生計維持関係の認定は、老齢基礎年金に係る振替加算の加算開始事由に該当した日を確認した上で、その日における生計維持関係により行うこととなる。

正しい。

加算開始事由に該当した日とは、原則的には妻が65歳に達した日。
ただし、妻が65歳になった後に、夫が厚生年金保険の加入期間が240か月を満たした老齢厚生年金等を受けられるようになった場合は、その受けられるようになった日。

C 遺族基礎年金の受給権者である配偶者が、正当な理由がなくて指定日までに提出しなければならない加算額対象者と引き続き生計を同じくしている旨等を記載した届書を提出しないときは、当該遺族基礎年金は支給を停止するとされている。

誤り。

提出すべき届書を提出しない場合は、遺族基礎年金の支払を一時差し止めることができる。
・支給停止→停止期間中の給付は、停止事由が解除された後も支給されない
・差し止め→差し止め期間中の給付は、差止事由が解除された後にさかのぼって支給される

D 年金給付を受ける権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利については「支払期月の翌月の初日」がいわゆる時効の起算点とされ、各起算点となる日から5年を経過したときに時効によって消滅する。

正しい。

・年金給付を受ける権利→支給すべき事由が生じた日から5年
・支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利→支払期月の翌月の初日から起算して5年
・死亡一時金を受ける権利→行使することができる時から2年

E 国民年金基金が厚生労働大臣の認可を受けて、信託会社信託業務を営む金融機関生命保険会社農業協同組合連合会共済水産業協同組合連合会国民年金基金連合会委託することができる業務には、加入員又は加入員であった者に年金又は一時金の支給を行うために必要となるその者に関する情報の収集整理又は分析含まれる

正しい。

 

〔問 8〕正解率40%

国民年金法に基づく厚生労働大臣の権限等に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア 被保険者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合におけるその申出の受理及びその申出の承認権限に係る事務は、日本年金機構に委任されており、厚生労働大臣が自ら行うことはできない

正しい。

厚生労働大臣の権限に係る事務は、原則的には、厚生労働大臣に委任されている。
厚生労働大臣が自ら行うことができるとか、できないとかは、まあいいんじゃないですか(笑)
すごいざっくりいうと、テキストの後ろの方に書いてある雑則系は厚生労働大臣も自らできる(笑)
口座振替はテキストの前の方の話だから大臣自らできない(笑)

イ 被保険者の資格又は保険料に関する処分に関し、被保険者に対し、国民年金手帳、出産予定日に関する書類、被保険者若しくは被保険者の配偶者若しくは世帯主若しくはこれらの者であった者の資産若しくは収入の状況に関する書類その他の物件の提出を命じ、又は職員をして被保険者に質問させることができる権限に係る事務は、日本年金機構に委任されているが、厚生労働大臣が自ら行うこともできる

正しい。

厚生労働大臣の権限に係る事務は、原則的には、厚生労働大臣に委任されている。
厚生労働大臣が自ら行うことができるとか、できないとかは、まあいいんじゃないですか(笑)
すごいざっくりいうと、テキストの後ろの方に書いてある雑則系は厚生労働大臣も自らできる(笑)
資産調査は、テキストの後ろの方の規定だから大臣も自らできる(笑)

ウ 受給権者に対して、その者の身分関係、障害の状態その他受給権の消滅、年金額の改定若しくは支給の停止に係る事項に関する書類その他の物件を提出すべきことを命じ、又は職員をしてこれらの事項に関し受給権者に質問させることができる権限に係る事務は、日本年金機構に委任されており、厚生労働大臣が自ら行うことはできない

誤り。

テキストの後ろの方に書いてありそうな内容ですよね。
だから、「厚生労働大臣が自ら行うことを妨げない」が正しい(笑)。

エ 国民年金法第1条の目的を達成するため、被保険者若しくは被保険者であった者又は受給権者に係る保険料の納付に関する実態その他の厚生労働省令で定める事項に関する統計調査に関し必要があると認めるときは、厚生労働大臣は官公署に対し、必要な情報の提供を求めることができる

正しい。

オ 国民年金原簿の訂正請求に係る国民年金原簿の訂正に関する方針定め、又は変更しようとするときは、厚生労働大臣は、あらかじめ、社会保険審査会に諮問しなければならない。

誤り。

厚生労働大臣は、国民年金原簿の訂正に関する「方針」を定めようとするときは【社会保障審議会】に諮問しなければならない。
なお、個別の請求案件につき訂正するかしないか「決定」する権限は、地方厚生局長に委任され、その諮問機関は、地方年金記録訂正審議会。

なお、社会保険審査会は、審査請求の請求先。

 

A (アとイ) B (アとウ) C (イとエ) D (ウとオ) E (エとオ)

 

〔問 9〕正解率50%

任意加入被保険者及び特例による任意加入被保険者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 68歳の夫(昭和27年4月2日生まれ)は、65歳以上の特例による任意加入被保険者として保険料を納付し、令和2年4月に老齢基礎年金の受給資格を満たしたが、裁定請求の手続きをする前死亡した。死亡の当時、当該夫により生計を維持し、当該夫との婚姻関係が10年以上継続した62歳の妻がいる場合、この妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給していなければ、妻には65歳まで寡婦年金が支給される。なお、死亡した当該夫は、障害基礎年金の受給権者にはなったことがなく、学生納付特例の期間、納付猶予の期間、第2号被保険者期間及び第3号被保険者期間を有していないものとする。

誤り。

65歳以上の特例による任意加入被保険者の期間は、
・老齢基礎年金の受給資格期間(10年)にはカウントされる
・寡婦年金の支給要件期間(10年)にカウントされない
ため、寡婦年金は支給されない。

B 60歳第2号被保険者資格を喪失した64歳の者昭和31年4月2日生まれ)は、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分受給中であり、あと1年間国民年金の保険料を納付すれば満額の老齢基礎年金を受給することができる。この者は、日本国籍を有していても日本国内に住所を有していなければ任意加入被保険者の申出をすることができない

誤り。

論点は
・特別支給の老齢厚生年金の受給権者も、国民年金の任意加入は可能
・老齢基礎年金の満額に達していなければ任意加入は可能。
・20歳以上65歳未満の者で日本国籍を有しているものは、国外居住でも任意加入は可能。

本肢の者は、特別支給の老齢厚生年金の受給権者で、老齢基礎年金の満額に達しておらず64歳で、在外邦人であるので、任意加入可能である。
ちなみに「繰り上げ老齢基礎年金の受給権者は任意加入できない」って話と混同しないように。

C 20歳から60歳までの40年間第1号被保険者であった60歳の者(昭和35年4月2日生まれ)は、保険料納付済期間30年間保険料半額免除期間10年間有しており、これらの期間以外に被保険者期間を有していない。この者は、任意加入の申出をすることにより任意加入被保険者となることができる。なお、この者は、日本国籍を有し日本国内に住所を有しているものとする。

正しい。

論点は
・老齢基礎年金の満額に達していなければ任意加入が可能。
・60歳以上65歳未満の者で国内居住の者は任意加入が可能。

本肢の者は、老齢基礎年金の額の計算上、
・保険料納付済期間→30年間(360か月)
・保険料半額免除期間→10年間(120か月)×3/4=90か月
で、老齢基礎年金の満額×450/480となり、老齢基礎年金の満額に達していないため、任意加入が可能。

D 昭和60年4月から平成6年3月までの9年間(108か月間)厚生年金保険の第3種被保険者としての期間を有しており、この期間以外に被保険者期間を有していない65歳の者昭和30年4月2日生まれ)は、老齢基礎年金の受給資格を満たしていないため、任意加入の申出をすることにより、65歳以上の特例による任意加入被保険者になることができる。なお、この者は、日本国籍を有し日本国内に住所を有しているものとする。

誤り。

論点は
・特例による任意加入被保険者が可能なのは昭和40年4月1日以前生まれ
・特例による任意加入被保険者が可能なのは老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たさない者
・第3種被保険者の期間は、昭和61年3月以前は4/3倍、昭和61年4月~平成3年3月は6/5倍する

本肢の昭和60年4月から平成6年3月までの9年間(108か月間)は、以下の計算により受給資格期間とされる期間が10年4か月(124か月)となる。
・昭和60年4月から昭和61年3月まで(12か月)×4/3=16か月
・昭和61年4月から平成3年3月まで(60か月)×6/5=72か月
・平成3年4月から平成6年3月まで(36か月)=36か月
→16か月+72か月+36か月=124か月

結果、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしているため、特例による任意加入被保険者となることはできない。

E 60歳から任意加入被保険者として保険料を口座振替で納付してきた65歳の者昭和30年4月2日生まれ)は、65歳に達した日において、老齢基礎年金の受給資格要件を満たしていない場合、65歳に達した日特例による任意加入被保険者の加入申出があったものとみなされ引き続き保険料を口座振替で納付することができ付加保険料についても申出をし、口座振替で納付することができる

誤り。

論点は口座振替ではなくて、付加保険料。

65歳以上の特例による任意加入被保険者は付加保険料を納付することはできない

 

〔問 10〕正解率70%

国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア 第1号被保険者期間中に15年間付加保険料を納付していた68歳の者昭和27年4月2日生まれ)が、令和2年4月に老齢基礎年金の支給繰下げの申出をした場合は、付加年金額に25.9%を乗じた額が付加年金額に加算され、申出をした月の翌月から同様に増額された老齢基礎年金とともに支給される。

誤り。

論点としては
・付加年金も支給繰り下げによる増額の対象になる
・増額率は、7/1000×繰下げ月数(受給権取得月~繰下げ申出月の前月)

65歳到達月が受給権取得月(平成29年4月)~申出月(令和2年4月)の前月(令和2年3月)なので、繰下げ月数は36か月。
増額率は7/1000×36=25.2%

イ 障害基礎年金の受給権者であることにより法定免除の要件に該当する第1号被保険者は、既に保険料が納付されたものを除き、法定免除事由に該当した日の属する月の前月から保険料が免除となるが、当該被保険者からこの免除となった保険料について保険料を納付する旨の申出があった場合、申出のあった期間に係る保険料を納付することができる

正しい。

法定免除の要件に該当している場合でも、本人の申出により保険料を納付できる納付申出制度がある。

ウ 日本国籍を有しない60歳の者(昭和35年4月2日生まれ)は、平成7年4月から平成9年3月までの2年間国民年金第1号被保険者として保険料を納付していたが、当該期間に対する脱退一時金を受給して母国へ帰国した。この者が、再び平成23年4月から日本に居住することになり、60歳までの8年間、第1号被保険者として保険料を納付した。この者は、老齢基礎年金の受給資格期間満たしている。なお、この者は、上記期間以外に被保険者期間を有していないものとする。

誤り。

脱退一時金を受給し、その計算の基礎となった期間は、被保険者でなかったものとみなされる。合算対象期間扱いもされない。
結果、
・平成7年4月から平成9年3月までの2年間→脱退一時金を受給し、無評価
・平成23年4月から60歳までの8年間→保険料納付済期間
となり、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たさない。

エ 令和2年4月2日に64歳に達した者が、平成18年7月から平成28年3月までの期間を保険料全額免除期間として有しており、64歳に達した日に追納の申込みをしたところ、令和2年4月に承認を受けることができた。この場合の追納が可能である期間は、追納の承認を受けた日の属する月前10年以内の期間に限られるので、平成22年4月から平成28年3月までとなる。

正しい。

論点としては
・老齢基礎年金の受給権者以外は追納できる
・追納期間は、承認月前10年以内

本肢の者は、64歳であり追納可能。
そして、令和2年4月に承認を受けているので、10年前まで(平成22年4月)さかのぼって追納できる。

オ 第1号被保険者が、生活保護法による生活扶助を受けるようになると、保険料の法定免除事由に該当し、既に保険料が納付されたものを除き、法定免除事由に該当した日の属する月の前月から保険料が免除になり、当該被保険者は、法定免除事由に該当した日から14日以内に所定の事項を記載した届書を市町村に提出しなければならない。ただし、厚生労働大臣が法定免除事由に該当するに至ったことを確認したときは、この限りでない

正しい。

生活保護の場合は、法定免除の適用があり、申請をしなくても、生活保護を受け始めた日の含む月の前月の保険料から免除される。
ただし、その事実を知らせるための「届出」を要する。
「厚生労働大臣が法定免除事由に該当するに至ったことを確認したときは、この限りでない」の部分は、例えば、大臣が障害基礎年金の裁定をすれば、自動的に法定免除がついてくるので届出は不要ということ。

A (アとウ) B (アとオ) C (イとエ) D (イとオ) E (ウとエ)

以上です。

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執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

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