皆様こんにちは。
資格の大原 社会保険労務士試験対策講座の金沢です。

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選択式問題を解く際のポイントは次の通りです。

解く際のポイントテキストが入ります。

①問題文を見て解答となる語句や数字を思い出す※いきなり語群をみない
②思い出した語句や数字を語群から探す
③ダミーの選択肢と相対評価して解答を確定する
④思い出せなかった場合でも、どういう性質のカテゴリー(行政機関名、給付名称、給付率、届出期限など)かを思い出した上で、語群から探す。選ぶ際も自分なりの根拠を持って選ぶ。

このポイントを意識することで、選択式対応力が上がっていきます。

それでは、今回のお題はこちらです。

制裁規定の制限(正解率63%)

問題

労働者Aについて7件の懲戒事例が発生し、9/1に就業規則に基づく減給制裁の通告をした。

平均賃金が1万円、通常の労働日の賃金が8,000円、一賃金支払期における賃金総額(9/20支払)が30万円とした場合、9/20に支払われる賃金総額から減給可能なのは【?】までである。

A 28,000円
B 30,000円
C 35,000円
D 70,000円

ついでに見たい

令和7年本試験択一式問題の解説(労働基準法)問1~5【動画】

令和7年本試験択一式問題の解説(労働基準法)問6~10【動画】

 

 

解答・解説

”正解はここをクリック”

B 30,000円」。

減給制裁の額の上限
①1
回の額が平均賃金の1日分の半額
②総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1

あてはめ
①5千円(平均賃金の半額)×7回=35,000円
②30万円(9/20支払の賃金総額)×1/10=3万円が限度

なお、残りの5千円は次期以降の支払時に減給可能。

【平均賃金か通常の労働時間の賃金か】

□平均賃金を元に算定。
・解雇予告手当
・休業手当
・年次有給休暇(ほか、通常の賃金、標準報酬日額の中から選択)
・災害補償
・減給の制裁(1回の額)
主に労働していない日の規定のため、過去3か月の平均。

□通常の労働時間又は労働日の賃金を元に算定。
・割増賃金
労働している日の規定のため、労働に対する賃金。

関連論点
  • 減給の制裁の制限に関する規定は、常時10人未満の労働者しか使用せず、就業規則の作成義務がない使用者に対しても適用される
  • 労働基準法第91条による減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日制裁事由発生日」や「減給の制裁が決定された日」ではない)とされている。
  • 就業規則に制裁として出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合において、労働者が、例えば5日間の出勤停止の制裁を受けるに至ったときは、当該5日間の賃金を支払わないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、労働基準法第91条の減給の制裁の制限には関係のないものである
  • 労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際減給の制裁に関する規定の制限を受けない。なお、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受ける
  • 労働者が5分遅刻した場合に、30分遅刻したものとして賃金カットをするという処理は、労務の提供のなかった限度を超えるカット25分についてのカット)について労働基準法第24条の賃金の全額払の原則に反し違法であるが、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として同法第91条の制限内で行う場合には、同法第24条の賃金の全額払の原則に反しない
  • 就業規則中に、懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に違反するものではない
  • 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合において、一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える定めは、無効となる
  • 労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければならない
  • 就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならず、もし、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合においては、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことができる

 

以上、今回の問題でした。

毎日判例

十和田観光電鉄事件(昭和38年6月21日)
 
従業員が公職に就任することが会社業務の逐行を著しく阻害する虞れのある場合でも、当該会社の就業規則における従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の条項を適用して従業員を懲戒解雇に附することは、許されない
「おもうに、懲戒解雇なるものは、普通解雇と異なり、譴責、減給、降職、出勤停止等とともに、企業秩序の違反に対し、使用者によって課せられる一種の制裁罰であると解するのが相当である。ところで、本件就業規則の前記条項は、従業員が単に公職に就任したため懲戒解雇するというのではなくして、使用者の承認を得ないで公職に就任したために懲戒解雇するという規定ではあるが、それは、公職の就任を、会社に対する届出事項とするにとどまらず、使用者の承認にかからしめ、しかもそれに違反した者に対しては制裁罰としての懲戒解雇を課するものである。しかし、労働基準法七条が、特に、労働者に対し労働時間中における公民としての権利の行使および公の職務の執行を保障していることにかんがみるときは、公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に附する旨の前記条項は、右労働基準法の規定の趣旨に反し、無効のものと解すべきである。従って、所論のごとく公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害する虞れのある場合においても、普通解雇に附するは格別、同条項を適用して従業員を懲戒解雇に附することは、許されないものといわなければならない。」

 

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執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

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