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みなさん、こんにちは。

今回は、今次国会に提出された「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」の概要をご紹介します。

特に注目の改正は「被扶養者の要件に国内居住要件を追加する」ことです。

法律案

改正の趣旨

医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るため、

・保険者間で被保険者資格の情報を一元的に管理する仕組みの創設及びその適切な実施等のために医療機関等へ支援を行う医療情報化支援基金の創設
・医療及び介護給付の費用の状況等に関する情報の連結解析及び提供に関する仕組みの創設
・市町村において高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する枠組みの構築
・被扶養者の要件の適正化
・社会保険診療報酬支払基金の組織改革等

の措置を講ずる。

改正の概要

1.オンライン資格確認の導入【健康保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)、船員保険法】

オンライン資格確認の導入に際し、資格確認の方法を法定化するとともに、個人単位化する被保険者番号について、個人情報保護の観点から、健康保険事業の遂行等の目的以外で告知を求めることを禁止(告知要求制限)する。

施行日:公布日から2年を超えない範囲内で政令で定める日

2.オンライン資格確認や電子カルテ等の普及のための医療情報化支援基金の創設【地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律】

施行日:平成31年10月1日

3.NDB、介護DB等の連結解析等【高確法、介護保険法、健康保険法】

医療保険レセプト情報等のデータベース(NDB)と介護保険レセプト情報等のデータベース(介護DB)について、各DBの連結解析を可能とするとともに、公益目的での利用促進のため、研究機関等への提供に関する規定の整備(審議会による事前審査、情報管理義務、国による検査等)を行う。(DPCデータベースについても同様の規定を整備。)

施行日:平成32年10月1日

4.高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等【高確法、国民健康保険法、介護保険法】

75歳以上高齢者に対する保健事業を市町村が介護保険の地域支援事業等と一体的に実施することができるよう、国、広域連合、市町村の役割等について定めるとともに、市町村等において、各高齢者の医療・健診・介護情報等を一括して把握できるよう規定の整備等を行う。

施行日:平成32年4月1日

5.被扶養者等の要件の見直し、国民健康保険の資格管理の適正化【健康保険法、船員保険法、国民年金法、国民健康保険法】

グローバル化が進展する中、 医療保険に関してグローバル化が進展する中、医療保険に関して

⑴ 被用者保険の被扶養者等の要件について、一定の例外を設けつつ、原則として、国内に居住していること等を追加する。

施行日:平成32年4月1日

⑵ 市町村による関係者への報告徴収権について、新たに被保険者の資格取得に関する事項等を追加する。

施行日:公布日

現状の課題

グローバル化が進展する中、医療保険に関して、
・生活の拠点が日本にない親族までが健康保険の給付を受けることができるという在外被扶養者に関する課題
・本来加入資格を有しない外国人が、不正な在留資格により、国保に加入し給付を受けている可能性があるという課題
が指摘されている。

対応

①被扶養認定における国内居住要件

健康保険法の被扶養者の要件について、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものであることを加えるとともに、この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を被扶養者としないものとすること。

国民年金第3号被保険者の要件についても、これに準じた改正を行うこと。

○健康保険の被扶養者の認定において原則として国内に居住しているという要件を導入

・被扶養者の要件に日本に住所を有する者であることを追加する
・留学生その他の日本に住所を有しないもののうち、日本に生活の基礎があると認められるものについても、例外的に要件を満たすこととする
※例外となる者の詳細は省令で規定するが、留学生や海外赴任に同行する家族など、日本から海外への渡航理由に照らし、これまで日本で生活しており、今後再び日本で生活する蓋然性の高い者等を例示する予定
・いわゆる「医療滞在ビザ」等で来日して国内に居住する者を被扶養者の対象から除外する
※除外対象の詳細は省令で規定

【健康保険法 第三条 改正案】
この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない
【国民年金法 第七条 改正案】
第二号被保険者の配偶者(日本国内に住所を有する者又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る。)であって主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの(第二号被保険者である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち二十歳以上六十歳未満のもの(以下「第三号被保険者」という。)

②市町村における調査対象の明確化

市町村は、世帯主の資産の状況等に加え、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項についても、関係者に報告等を求めることができるものとすること。

・日本人を含む国保被保険者の資格管理等の観点から、市町村が関係者に報告を求めること等ができる対象として、被保険者の資格の得喪に関する情報を追加し、市町村における調査対象として明確化する
※関係者としては、例えば、外国人については、留学先である日本語学校等や経営管理を行う企業の取引先等、日本人については、勤務先である企業の雇用主等を想定。

【国民健康保険法 第百十三条の二 改正案】
市町村は、被保険者の資格、保険給付及び保険料に関し必要があると認めるときは、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項、被保険者若しくは被保険者の属する世帯の世帯主の資産若しくは収入の状況又は国民年金の被保険者の種別の変更若しくは国民年金法の規定による保険料の納付状況につき、官公署に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者の雇用主その他関係者に報告を求めることができる

6.審査支払機関の機能の強化【社会保険診療報酬支払基金法、国民健康保険法】

⑴ 社会保険診療報酬支払基金(支払基金)について、本部の調整機能を強化するため、支部長の権限を本部に集約する。

施行日:平成33年4月1日

⑵ 医療保険情報に係るデータ分析等に関する業務を追加する(支払基金・国保連共通) 。

施行日:平成32年10月1日

⑶ 医療の質の向上に向け公正かつ中立な審査を実施する等、審査支払機関の審査の基本理念を創設する(支払基金・国保連共通)。

施行日:平成32年10月1日

7.その他(賦課決定の期間制限に関する事項)

・未適用事業所が遡及して社会保険に加入する等の場合に発生し得る国民健康保険と健康保険の間における保険料の二重払いを解消するため、所要の規定を整備する。【国民健康保険法】

保険料の賦課決定をした後に、被保険者の責めに帰することのできない事由によって被保険者に関する健康保険法等との間における適用関係の調整を要することが判明した場合における保険料の額を減少させる賦課決定は、当該年度における最初の保険料の納期の翌日から起算して二年を経過した日以後であっても、当該年度における最初の保険料の納期の翌日から起算して調整に必要と認められる期間に相当する期間を経過する日まですることができるものとすること。

施行日:公布日

現状の課題

未適用事業所が遡及して社会保険に加入する等の場合、遡及して健康保険の資格を取得し、国民健康保険の資格は喪失。
・健康保険料については、徴収権の消滅時効の規定により、2年遡及して月単位で徴収。
・一方、既に納付されていた国保保険料については、遡及して年度単位で賦課決定(減額)を行った上で還付。
・当該賦課決定については、期間制限の規定により、各年度の最初の保険料の納期の翌日から2年経過後においてはすることできない(※1)ことから、還付しきれない部分が残り、結果的に保険料の二重払いが生じることがあり得る(※2) 。
※1 国保保険料に係る賦課決定の期間制限は、権利義務関係の早期確定を趣旨として規定されたものであり、徴収権の消滅時効が2年であることを踏まえ、保険料賦課における増額と減額に係る期間との公平性に鑑み2年としている。
※2 平成30年7月、総務省から、国民健康保険から健康保険に遡及して加入した被保険者について、国民健康保険料の還付が受けられない期間が生じないよう、関係法令の改正について早急に検討を行うこと等を内容とするあっせんが行われた。

対応

被保険者の責めに帰することのできない事由によって健康保険法等との適用関係の調整を要することが後に判明した場合、保険料の二重払いが生じないよう、当該年度の最初の保険料の納期の翌日から2年経過した後であっても、国保保険料を減額する賦課決定をすることができることとする。

 

施行期日

平成32年4月1日(ただし、1については公布日から2年を超えない範囲内で政令で定める日、2は平成31年10月1日、3並びに6⑵及び⑶は平成32年10月1日(一部の規定は平成34年4月1日)、5⑵及び7は公布日、6⑴は平成33年4月1日)

 

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格(旧上級)コース」を担当致しております。
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