皆さん、こんにちは。
今回は、11月30日に官報で公布された有期事業の一括制度の改正点についてご案内します。
行政手続コスト削減のための規制緩和です。
改正の概要は次の通りです。
●有期事業の一括に係る地域要件の廃止
●一括有期事業開始届の廃止
●施行日は2019年4月1日
まず現行規定のおさらいです。
現行制度の概要
労働保険徴収法では、労働保険の保険関係は、事業単位で成立することになっています。
したがって、保険関係の成立の届出や保険料の申告手続きも、事業ごとに行う必要があります。
他方、事業の期間が予定されている小規模の建設の事業(建設工事)及び立木の伐採の事業については、事業単位で保険関係を成立させると、手続が煩雑になってしまいます。
そこで、事業主及び政府の保険関係事務の簡素化を図ることを目的として、同一事業主が行う二以上の小規模の有期事業を法律上当然に一の事業とみなし、継続事業と同様に取扱うことにしています。
これを有期事業の一括制度といいます。
なお、小規模とは、概算保険料の額が160万円未満、かつ、建設事業は請負金額が1億8,000万円未満、立木の伐採の事業では素材生産見込量が1,000立方メートル未満の事業です。
この有期事業の一括制度の対象になった事業は、事業ごとに手続きをとる必要がなくなり、同じ会社が行っている他の事業とまとめて手続きを取ることができます。
すなわち、事務負担を減らすための仕組みです。
現行制度の課題
しかしながら、この制度の適用には、もう一つ、重要な条件があります。
地域要件です。
地域要件とは、一括の対象になる有期事業につきましては、保険料を納付する事務を行う事務所の所在地を管轄する労働局と、その隣接する労働局(及び厚生労働大臣が指定する労働局の管轄区域内で行う事業)に限るというものです。
ざっくりいえば、お隣の都道府県くらいまでが一括の対象だったのです。
さらに、一括の対象になった事業についても、すべての手続が省略できるわけではありません。
一括有期事業の事業主は、それぞれ個々の事業を開始したときは、翌月の10日までに、「一括有期事業開始届」を労働基準監督署長に提出しなければならないことになっています。
具体的な例として、下図に示しております。
宮城県にある建設会社の例です。
この建設会社が管内で行う建設工事がA、B、Cとあります。
これらにつきましては小規模かつ同じ地域ということで一括有期事業になります。
しかし、各事業を開始した翌月10日には、所轄監督署に一括有期事業開始届を提出することになります。
一方で、青森管内で行われている事業Dです。これは地域要件の壁で一括されません。
結果、単独の有期事業として、事業Dについては、別途、保険関係の成立届、及び概算保険料申告書を青森局管内の労働基準監督署に提出することになります。
このように、同じ建設会社の建設工事であったとしても、遠隔地の工事の場合は、地域要件の壁のため、別途手続きをしなければならない、という不便さがあったわけです。
また、「一括有期事業開始届」についても、年度更新の際に提出する「一括有期事業報告書」と内容が重複するという二度手間が発生していました。
そこで、行政手続コストの削減を目的とした改正が行われたのです。
法改正の概要
有期事業の一括に係る地域要件の廃止
有期事業の一括に係る地域要件を廃止されます。
この改正によって遠隔地において行われる小規模有期事業についても一括できることになりました。
すなわち、ある建設会社が全国で行っている小規模建設工事の手続きが、一本化されるということです。
一括有期事業開始届の廃止
一括有事業開始届が廃止されます。
結果、毎月、エリアごとに提出しなければならなかった届出が省略されます。
まとめ
この改正が受験生に与える影響としては、
覚えることが減った\(^o^)/
ということにつきます(笑)
地域要件について、継続事業の一括との押さえ分けもいらなくなりました。
執筆/資格の大原 社会保険労務士講座
「時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格(旧上級)コース」を担当致しております。
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