【働き方改革】高度プロフェッショナル制度の対象業務、年収要件は?(省令素案)【高プロ】

みなさん、こんにちは。

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」により制定された高度プロフェッショナル(高プロ)制度は、平成31年4月1日から施行されます。

高プロ制度は、高度な専門知識を有し一定水準以上の年収を得る労働者について、労働時間規制の対象から除外する制度です。

高プロ制度の全体像がわかる動画はこちら(1:24)。

施行規則、指針、通達

その対象業務や年収要件などの事項については、「厚生労働省令」で定めることとされており、省令制定事項に関する議論が労働政策審議会労働条件分科会でスタートしました。

そして3月25日に施行規則が公布されています。

高度プロフェッショナル制度 施行規則

同時に高プロ指針も公表。

対象業務もなり得る業務、なり得ない業務の具体的事例

高度プロフェッショナル制度 指針

社労士試験の対策上は、このページ(通達)に書いてあることで十分。

高度プロフェッショナル制度 通達

以下は、過去の審議状況です。

審議状況

その後12/26の審議会で省令案が了承、今後、省令改正が進むものと思われます。

【省令案の骨子】
・高プロ制度のルール固まる
・対象はコンサルタントや研究開発など5業務
・年収要件は原則、賞与を除いて1075万円以上
・企業側は出勤時間など業務上の具体的な指示はできない
・全ての導入企業を対象に監督指導をする方針

厚生労働省サイト

【省令案の答申のポイント】
(1)労働基準法施行規則の一部改正
ⅰ 労使委員会の決議を所定様式により所轄労働基準監督署長に届け出るものとするもの。

ⅱ 同意の取得の方法及び職務の合意の方法について、書面に労働者の署名を受け、当該書面の交付を受ける方法とするもの。

ⅲ 対象業務について、次に掲げる業務(当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものは除く。)とするもの。

イ 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
ロ 資産運用(指図を含む。以下同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
ハ 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務
ニ 顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務
ホ 新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務ⅳ 年収要件について、1,075万円とするもの。

ⅴ 健康管理時間について、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法で把握するとともに、事業場外において労働した場合であって、やむを得ない理由があるときは、自己申告によることができるものとするもの。

ⅵ 選択的措置について、各措置の具体的な内容を定めるもの。

ⅶ 健康・福祉確保措置について、具体的な内容を定めるもの。

ⅷ その他の決議事項として、決議の有効期間の定め及び当該決議は再度同項の決議をしない限り更新されない旨等を定めるもの。

ⅸ 健康管理時間の状況等を所定様式により決議が行われた日から起算して6箇月以内ごとに、所轄労働基準監督署長に報告するものとするもの。
 
(2)労働安全衛生規則の一部改正

ⅰ 高度プロフェッショナル制度の対象業務に従事する労働者(以下「対象労働者」という。)に対する医師による面接指導等に係る事項について、産業医の職務及び産業医に対し情報提供する事項に追加するもの。

ⅱ ⅰの面接指導の要件について、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1月当たり100時間と定めるもの。

ⅲ ⅰの面接指導の実施方法等について、労働基準法第36条第11項に規定する業務に従事する者(研究開発業務従事者)に対する医師による面接指導の実施方法等に準じて定めるもの。

ⅳ ⅰの面接指導の対象となる労働者以外の対象労働者から申出があった場合に、医師による面接指導を行うよう努めなければならないものとするもの。
 

第151回労働政策審議会労働条件分科会

 

【1】決議の届出の方法(法第41条の2第1項)

・届出は、所定の様式により、所轄労働基準監督署長にしなければならない。

・様式において、法定の決議事項について記入する欄を設けるほか、「本人の同意を得る方法」「対象業務ごとに支払われると見込まれる賃金の最低額」を記入する欄を設ける。

【2】労働者の同意の方法(法第41条の2第1項)

書面又は電磁的方法とする。

【3】対象業務(法第41条の2第1項第1号)

法律の規定
高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務
平成27年2月13日労働政策審議会建議4
具体的には、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)、コンサルタントの業務(事業・業務の 企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)、研究開発業務等を念頭に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で適切に規定することが適当である。

・対象業務について、業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示(著しく短い期限の設定その他の実質的に当該業務に従事する時間に関する指示と認められるものを含む。)を受けて行うものを除くこととする。

12月27日現在の対象業務の省令案

そして、労働政策審議会の了承があった省令案において次の5業務が示されています。

新労基法第四十一条の二第一項第一号の厚生労働省令で定める業務は、次に掲げる業務(当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示(業務量に比して著しく短い期限の設定その他の実質的に当該業務に従事する時間に関する指示と認められるものを含む。)を受けて行うものを除く。)とすること

1.金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務

2.資産運用(指図を含む。以下同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務

3.有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務

4.顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務

5.新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務

 

【4】職務の合意の方法(法第41条の2第1項第2号イ)

書面又は電磁的方法とする。

【5】年収要件の算定方法及び額(法第41条の2第1項第2号ロ)

法律の規定
労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額をいう。)の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること。
参議院厚生労働委員会 附帯決議(平成30年6月28日)
高度プロフェッショナル制度の対象労働者の年収要件については、それが真に使用者に対して強い交渉力のある高度な専門職労働者にふさわしい処遇が保障される水準となるよう、労働政策審議会において真摯かつ丁寧な議論を行うこと。

・基準年間平均給与額は、毎月勤労統計における毎月きまって支給する給与の額の1月分から12月分までの各月分の合計額とする。

・基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額は、1075万円を参考に定める。

12月27日現在の年収要件の省令案

新労基法第四十一条の二第一項第二号ロの基準年間平均給与額は、厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまって支給する給与の額一月分から十二月分までの各月分の合計額とすること。

新労基法第四十一条の二第一項第二号ロの厚生労働省令で定める額は、千七十五万円とすること。

【6】健康管理時間から除くことができる時間及び健康管理時間を把握する方法(法第41条の2第1項第3号)

法律の規定
対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(この項の委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間(第五号ロ及びニ並びに第六号において「健康管理時間」という。)を把握する措置(厚生労働省令で定める方法に限る。)を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。

・本制度の適用労働者については、割増賃金支払の基礎としての労働時間を把握する必要はないが、その健康確保の観点から、使用者は、健康管理時間(省令で定めるところにより「事業場内に所在していた時間」と「事業場外で業務に従事した場合における労働時間」との合計)を把握した上で、これに基づく長時間労働防止措置や健康・福祉確保措置を講じることとすることが適当

・厚生労働省令で定める労働時間以外の時間は、休憩時間その他労働者が労働していない時間とする。

・健康管理時間を把握する方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法とする。ただし、事業場外において労働した場合であって、やむを得ない理由があるときは、自己申告によることができる。

【7】選択的措置における①インターバルの時間数、②深夜業の回数、③健康管理時間の上限の時間数、④臨時の健康診断における要件及び項目(法第41条の2第1項第5号)

法律の規定
イ 労働者ごとに始業から二十四時間を経過するまでに厚生労働省令で定める時間以上の継続した休息時間を確保し、かつ、第三十七条第四項に規定する時刻の間において労働させる回数を一箇月について厚生労働省令で定める回数以内とすること。

ロ 健康管理時間を一箇月又は三箇月についてそれぞれ厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内とすること。

ハ 一年に一回以上の継続した二週間(労働者が請求した場合においては、一年に二回以上の継続した一週間)(使用者が当該期間において、第三十九条の規定による有給休暇を与えたときは、当該有給休暇を与えた日を除く。)について、休日を与えること。

ニ 健康管理時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に健康診断(厚生労働省令で定める項目を含むものに限る。)を実施すること。

・勤務間インターバルの時間数は、11時間以上とする。

・深夜業の回数は、1か月について4回以内とする。

・健康管理時間の上限の時間数は、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1か月当たり100時間及び3か月当たり240時間とする。

・健康診断の要件は、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1か月当たり80時間を超えたこと又は本人からの申出があったこととする。

・健康診断の項目は、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目であって脳・心臓疾患との関連が認められるもの及び当該労働者の勤務の状況疲労の蓄積の状況その他心身の状況の確認とする。

【8】省令で定める健康確保措置(法第41条の2第1項第6号)

法律の規定
対象業務に従事する対象労働者の健康管理時間の状況に応じた当該対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置であつて、当該対象労働者に対する有給休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)の付与、健康診断の実施その他の厚生労働省令で定める措置のうち当該決議で定めるものを使用者が講ずること。

・厚生労働省令で定める健康確保措置は、次に掲げる措置とする。

i 法定の選択的措置のいずれかのうち、当該措置として労使委員会で決議をしたもの以外のもの

ii 建議に例示されている事項のうち、法定の選択的措置以外のもの(代償休日又は特別な休暇の付与、心とからだの相談窓口の設置、配置転換、産業医の助言指導に基づく保健指導、医師による面接指導)

【9】その他の省令で定める決議事項(法第41条の2第1項第10号)

・厚生労働省令で定める決議事項は、次に掲げるものとする。

i  決議の有効期間の定め及び当該決議は自動更新しないこと

i i 委員会の開催頻度及び開催時期

iii  50人未満の事業場である場合には、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師を選任すること。

iv 労働者の同意及びその撤回、合意した職務の内容、支払われる賃金の額、健康管理時間、健康確保措置として講じた措置、苦情処理に関して講じた措置、iiiの選任の記録を決議の有効期間中及び有効期間終了後3年間保存すること。

【10】健康確保措置の実施状況の報告の方法(法第41条の2第2項)

・報告は、労使委員会による決議が行われた日から起算して6か月以内ごとに、所定の様式により、所轄労働基準監督署長にしなければならない。

・報告は、健康管理時間の状況及び健康確保措置の実施状況について行うものとする。

・様式において、「同意をした者の数」「同意を撤回した者の数」を記入する欄を設ける。

【11】医師による面接指導の要件(安衛法第66条の8の4、第66条の9)

・厚生労働省令で定める時間は、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1か月当たり100時間とする。

・面接指導の実施手続等については、労働安全衛生法第66条の8の2の面接指導に係る規定に準じて定める。

・面接指導の義務の対象となる労働者以外の労働者から申出があった場合には、面接指導を行うよう努めなければならないこととする。

・併せて、面接指導に係る事項について、産業医の職務及び産業医に対し情報提供する事項として追加する。

【12】その他省令事項

・現行の企画業務型裁量労働制に係る規定を準用する。

 

 

厚生労働省サイト

働き方改革まとめ

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格(旧上級)コース」を担当致しております。
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