【雇用保険】正当な理由がない自己都合退職→給付制限が2か月に短縮【失業手当】

社労士講師(社労士24)の金沢博憲です。

いわゆる失業手当(基本手当)離職理由に基づく給付制限期間の改正(運用の見直し)のご紹介です。

令和2年10月1日以降に離職された方は、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月(従来は3か月)となります。

なお、令和2年9月30日までに正当な理由がない自己都合によりで退職された方は、従来どおり、給付制限期間が3か月となります

また、自己の責めに帰すべき重大な理由で退職された方の給付制限期間はこれまでどおり3か月となります

改正の趣旨

特定受給資格者及び特定理由離職者以外の一般の受給資格者のうち、自己都合(正当理由なし)により離職した者に対しては、昭和59年から現在に至るまで、3か月間の給付制限期間が設定されているところである。

これについて、安易な離職を防止するという給付制限の趣旨に留意しつつ、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行うことができるよう支援する観点から、その給付制限期間を5年間のうち2回までに限り2か月に短縮する措置を試行することとし、その効果等を施行後2年を目途として検証するべきである。

改正後の行政手引

イ 条文表現

自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合、又は正当な理由がなく自己の都合により退職した場合は、待期の満了の日の翌日から起算して1か月以上3か月以内の間は、基本手当は支給しない(法第33条第1項)。

合格者(男性)

法律上は「1か月以上3か月以内」と幅をとっており、条文は変わっていません。具体的に何か月にするかは、行政手引で定められており、これが見直されました。

したがって、この間については、失業の認定を行う必要はない。

この給付制限は、所定給付日数の短縮ではないことは法第32条による給付制限の場合と同様である。

ロ 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇 

自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合及び令和2年10月1日前に正当な理由なく自己の都合により退職した場合の給付制限期間は、3か月となる(ニに該当する場合は1か月とする。)。

ハ 正当な理由なく自己の都合により退職した場合

令和2年10月1日以降に正当な理由なく自己の都合により退職した場合の給付制限期間は、2か月となる(ニに該当する場合は1か月とする。)。なお、当該退職した日から遡って5年間のうちに2回以上(離職日を基準とする)、正当な理由なく自己の都合により退職(令和2年10月1日以降のものに限る。)し求職申込みをした者については、当該退職にかかる給付制限期間は3か月となる。

合格者(男性)

ちなみに正当な理由の”ある”自己都合退職の場合は、特定理由離職者に該当するため、給付制限はかかりません。

ニ 受給資格の決定を受けた者が(令和2年10月1日以降に正当な理由なく自己の都合により退職した場合に限る。)、待期が満了しないまま適用事業主に雇用され被保険者となり、1か月以上経過した後新たな受給資格を取得することなく再離職した場合については、給付制限の期間を1か月とする。なお、ロに該当する者及びハ「なお書き」の者が、待期が満了しないまま適用事業主に雇用され被保険者となり、2か月以上経過した後新たな受給資格を取得することなく再離職した場合については、給付制限の期間を1か月とする。

また、適用事業所において、2回以上再離職を繰り返し、かつ、新たな受給資格を取得することがない場合においては、当該適用事業所に被保険者として雇用されていた期問を合算し、1か月以上ある場合に給付制限の期間を1か月とする(例示1~3参照)。

なお、ロに該当する者及びハ「なお書き」の者が、適用事業所において、2回以上再離職を繰り返し、かつ、新たな受給資格を取得することがない場合においては、当該適用事業所に被保険者として雇用されていた期問を合算し、2か月以上ある場合に給付制限の期間を1か月とする。

ホ 上記イ~ニに定める期間について離職理由に基づく給付制限が行われる場合であっても、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間については、給付制限は行われないこととされているため、公共職業訓練等の受講開始日以後は、当該受給資格に係る基本手当の支給にあたってこれらの給付制限は行われない(法第33条第1項ただし書き)。

へ 上記イ~ホまでにかかわらず、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第25条による求職者給付の支給の特例措置が講じられた場合において、激甚災害発生時において同条第1項本文に規定する激甚災害を受けた政令で定める地域に居住する者であって、当該激甚災害の発生前から特例措置の対象期間内までに離職した者に係る給付制限については、当該激甚災害の発生の日以降の日について、これを解除することとし、同日以降の日について失業の認定を行い、基本手当の支給を行う。ただし、激甚災害発生日において、法第21条の規定による待期が満了した日の翌日から起算して給付制限期問が1か月を経過していない者については、当該1か月を経過した日の翌日から給付制限を解除し、同日以降の日について失業の認定を行い、基本手当の支給を行うこととする。

 

まとめ

・離職理由の給付制限は、法律上は「1か月以上3か月以内」。ここは変化はなし。

・変わったのは「正当な理由なき自己都合退職」の場合の運用。

・5年間のうち2回までは2か月、5年間のうち3回以降は3か月

・「自己の責に帰すべき重大な理由による解雇」→従来どおり3か月

 

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格コース」を担当致しております。
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