社会保険労務士受験生の皆さん、こんにちは。
選択式試験問題では、ほぼ毎年、殆どの受験生にとっての初見の問題が出題され、また、その初見の問題をある程度得点できるかどうかが合否を分かることがあります。
この初見の問題にどのように対応するかが選択式試験のカギとなります。
そこで、選択式の難問を攻略するためのテクニックをシリーズでご紹介していきます。
今回は、難問対策の基本中の基本、選択肢の「グルーピング(グループ分け)」についてです。
グルーピングとは
グルーピングとは、一つの空欄に対する解答を20肢の語群から探すのではなく、一つの空欄に対する選択肢を4つに絞り込んで解答を探す方法のことをいいます。
このグルーピングのメリットとしては、
① 正解率を20分の1(5%)から4分の1(25%)に高めることができる。
② 正解の語句を知らなくても、消去法で解答を導きやすくなる。
③ 他の選択肢と比較対照することで、言葉の見落としやうっかりミスを回避しやすくなる。
が挙げられます。
それでは早速、グルーピングを活用した消去法で本試験問題を解答してみてください。
過去問で試す!
(平成22年労働基準法)
「労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合においては、それが長期のものであればあるほど、〔…(略)…〕事業の正常な運営に支障を来す蓋然性が高くなり、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との【B】を図る必要が生ずるのが通常」であり、労働者がこれを経ることなく、「その有する年次有給休暇の日数の範囲内で始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、これに対する使用者の時季変更権の行使については、〔…(略)…〕使用者にある程度の裁量的判断の余地を認めざるを得ない。」とするのが最高裁判所の判例である。
(選択肢)
①解雇 ②回転軸 ③原動機 ④権利の濫用
⑤公序に反するもの ⑥互譲の手続 ⑦事前の調整 ⑧使用
⑨試用期間 ⑩信義に反するもの ⑪製造 ⑫設置
⑬団体交渉 ⑭展示 ⑮突起物 ⑯内定期間
⑰歯車 ⑱不法行為 ⑲雇止め ⑳労使協議
初学者の方にとっては意味不明の内容でも、空欄の前後の文章を考えて収まりのよい語句を探せば、4つに絞ることは比較的易しいでしょう。
【B】に入る候補は、以下の4つです。
このうち、まず「他の労働者の休暇予定等との【⑬団体交渉】」や「同【⑳労使協議】」は、前後の文章とのつながりに違和感があるため消せます。
交渉や協議は、「休暇予定等との」間でするものではなく、「人との」間でするものだからです。
一方、「他の労働者の休暇予定等との【⑥互譲の手続】」という文章は収まりがよいように思えます。
しかし「互譲」というのは、「お互い譲り合う」という意味で、例えば「当事者間の互譲」や「夫婦間の互譲」というように複数人の表現とセットの使い方をします。
もし解答が【⑥互譲の手続】だとすれば、3行目後半の「労働者(単一人の表現)がこれ(⑥互譲の手続)を経ることなく」という文章に違和感が生じますので、【⑥互譲の手続】も消せます。
この結果、残った【⑦事前の調整】が正解と推測することができます(正解は【⑦事前の調整】です。)。
全ての空欄をグルーピングする必要はない
このように初見の問題に対してグルーピングは有効ですが、解答の特定の時間がかかるデメリットもあります。
したがって、全ての空欄についてグルーピングをするのではなく、使いどころを考えましょう。
例えば、「空欄とその前後を見れば、選択肢を確認しなくても、解答が想起できる」ものは、グルーピングするまでもなく、解答を特定します。
一方で、初見の内容や悩む内容については、グルーピングをした上で、相対評価の上で、正解を特定しましょう。
まとめ
もちろん、未知の問題のすべてをグルーピングを活用した消去法で正解肢が特定できるわけではありません。
しかし、20肢を4肢に減らし、さらに4肢から1肢でも多く減らすことができれば、正解率を高めることできます。
「初見の問題に遭遇したらまずグルーピング」という癖をつけておきましょう。
また、グルーピングをする際は、
①AからEの順にこだわらずグルーピングしやすい空欄から処理する
②問題によっては4つに絞れるとは限らない(8つになったりする)
という点も、ポイントとして押さえておきましょう。
以上です。
執筆/資格の大原 社会保険労務士講座
「時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格コース」を担当致しております。
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