皆様こんにちは。
資格の大原 社会保険労務士試験対策講座の金沢です。

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選択式問題を解く際のポイントは次の通りです。

解く際のポイントテキストが入ります。

①問題文を見て解答となる語句や数字を思い出す※いきなり語群をみない
②思い出した語句や数字を語群から探す
③ダミーの選択肢と相対評価して解答を確定する
④思い出せなかった場合でも、どういう性質のカテゴリー(行政機関名、給付名称、給付率、届出期限など)かを思い出した上で、語群から探す。選ぶ際も自分なりの根拠を持って選ぶ。

このポイントを意識することで、選択式対応力が上がっていきます。

それでは、今回のお題はこちらです。

心理的負荷による精神障害の認定基準(正解率57%)

問題

心理的負荷による精神障害の認定基準。
発病前概ね6か月の間に、「特別な出来事」に該当する業務による出来事が認められた場合には、心理的負荷の総合評価を「強」と判断する。
特別な出来事→発病直前の1か月におおむね【?】を超えるような時間外労働を行ったなど

A 100時間
B 120時間
C 160時間
D 180時間

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・択一総合得点を突破するために必要なこと
・選択式で基準点を確保するために必要なこと

 

解答・解説

”正解はここをクリック”

C 160時間」。

まず、認定基準になっている時間外労働は「過労死より精神障害の方が長い」という認識からスタート(逆になりやすい)。

従来、長時間労働と精神障害の因果関係は明確でないとされ、長時間労働それ自体は、原則として仕事上のストレスとして評価していなかった。
しかし、労働者の過労自死についての企業責任を認めた電通事件などを契機に、認定基準を見直された。

このような経緯があるため、長時間労働単体で業務起因性が認められるハードルは、医学的なエビデンスを得やすい過労死認定基準よりも厳しくなっている。
例えば、時間外労働月100時間は、過労死認定基準では時間のみで該当するが、精神障害の認定基準では時間のみでは足りず、「業務量が大幅に増加」などの他の出来事と組み合わせて、初めて該当する。

ほか、時間のみで精神障害と認定される例は、どう考えても、異常な時間数の場合に限られる。

長時間労働→睡眠時間の減少→メンタルヘルス不調。

月160時間とは、数週間にわたり生理的に必要な最小限度の睡眠時間(5時間程度)を確保できないほどの長時間労働を具体化した数値。
※1日15時間の労働+通勤・食事等5時間で睡眠時間4時間程度。

まとめ方のポイントは、時間だけ押さえるのではなく、時間と出来事・期間の対応関係。

脳・心疾患
・前日-異常な出来事(例:航空機墜落現場での救助活動)
・1週間-短期間の過重業務(例:システム障害対応のため不眠不休で1週間働く)
・1か月-100h
・2月から6か月-月当たり80h

精神障害(強)
・3週ー120h
・1か月-160h(心の疲労(16))
・2か月-月当たり120h
・3か月-月当たり100h
・1か月-100h+仕事量が著しく増加

関連論点
  • 心理的負荷による精神障害の認定基準について、対象疾病には、統合失調症や気分障害等が含まれるが、頭部外傷等の器質性脳疾患に付随する精神障害、及びアルコールや薬物等による精神障害は含まれない
  • 認定基準においては、次のいずれの要件も満たす場合に、業務上の疾病として取り扱うこととしている。①対象疾病を発病していること②対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。③業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。
  • 認定基準における対象疾病の発病に至る原因の考え方は、環境由来の心理的負荷(ストレス)と、個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まり、心理的負荷が非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても精神的破綻が起こり脆弱性が大きければ、心理的負荷が小さくても破綻が生ずるとする「ストレス―脆弱性理論」に依拠している。
  • 認定基準においては、「業務による強い心理的負荷の有無の判断」について、心理的負荷の評価に当たっては、発病前おおむね6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられるどのような出来事があり、また、その後の状況がどのようなものであったのかを具体的に把握し、その心理的負荷の強度を判断する。その際、精神障害を発病した労働者が、その出来事及び出来事後の状況を主観的にどう受け止めたかによって評価するのではなく、同じ事態に遭遇した場合、同種の労働者が一般的にその出来事及び出来事後の状況をどう受け止めるかという観点から評価する。この「同種の労働者」は、精神障害を発病した労働者と職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似する者をいう。
  • 認定基準においては、うつ病エピソードを発病した労働者がセクシュアルハラスメントを受けていた場合の心理的負荷の程度の判断は、その労働者がその出来事及び出来事後の状況を主観的にどう受け止めたかによって評価するのではなく、同じ事態に遭遇した場合同種の労働者が一般的にその出来事及び出来事後の状況をどう受け止めるかという観点から評価する
  • 認定基準においては、業務による心理的負荷の強度の判断に当たっては、精神障害発病前おおむね6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる業務によるどのような出来事があり、また、その後の状況がどのようなものであったのかを具体的に把握し、それらによる心理的負荷の強度はどの程度であるかについて、「業務による心理的負荷評価表」を指標として「強」、「中」、「弱」の三段階「強」、「弱」の二段階ではない)に区分することとされている。
  • 「業務による心理的負荷の強度の判断」のうち、出来事が複数ある場合の全体の総合的な評価に関して、複数の出来事のうち、いずれかの具体的出来事によって「強」の判断が可能な場合は、業務による心理的負荷を「強」と判断する。
  • 「業務による心理的負荷の強度の判断」のうち、出来事が複数ある場合の全体の総合的な評価に関して、複数の出来事が関連して生じている場合「中」である出来事があり、それに関連する別の出来事(それ単独では「中」の評価)が生じた場合には、後発の出来事は先発の出来事の出来事後の状況とみなし、当該後発の出来事の内容、程度により「強」又は「中」として全体を総合的に評価する。
  • 「業務による心理的負荷の強度の判断」のうち、出来事が複数ある場合の全体の総合的な評価に関して、ある出来事に関連せずに他の出来事が生じている場合であって、単独の出来事の評価が「中」と評価する出来事が複数生じているときには、それらの出来事が生じた時期の近接の程度、各出来事と発病との時間的な近接の程度、各出来事の継続期間、各出来事の内容、出来事の数等によって、総合的な評価が「強」となる場合もあり得ることを踏まえつつ、事案に応じて心理的負荷の全体を評価する。この場合、全体の総合的な評価は、「強」又は「中」となる。
  • 「業務による心理的負荷の強度の判断」のうち、出来事が複数ある場合の全体の総合的な評価に関して、単独の出来事の心理的負荷が「中」である出来事一つと、「弱」である複数の出来事が関連なく生じている場合、原則として全体の総合的な評価も「中」となる。
  • 単独の出来事の心理的負荷が「弱」である複数の出来事が関連なく生じている場合、原則として全体の総合的な評価は「弱」「中」又は「弱」ではない)となる。
  • 認定基準においては、胸を触るなどのセクシュアルハラスメントを繰り返し受け続けて9か月あまりでうつ病エピソードを発病した場合、6か月より前の出来事についても、評価の対象になる
  • 認定基準においては、「ハラスメントやいじめのように出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前おおむね6か月の期間にも継続しているときは、開始時からのすべての行為を評価の対象とする(発病前6か月以内の行為のみを評価の対象とする」わけではない)」とされている。
  • 対象疾病を発病して治療が必要な状態にある者について、認定基準別表1の特別な出来事があり、その後おおむね6か月以内に対象疾病が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められる場合には、当該特別な出来事による心理的負荷が悪化の原因であると推認し、当該悪化した部分について業務起因性を認める
  • 対象疾病を発病して治療が必要な状態にある者について、特別な出来事がなくとも悪化の前に業務による強い心理的負荷が認められる場合には、当該業務による強い心理的負荷、本人の個体側要因(悪化前の精神障害の状況)と業務以外の心理的負荷、悪化の態様やこれに至る経緯(悪化後の症状やその程度、出来事と悪化との近接性、発病から悪化までの期間など)等を十分に検討し、業務による強い心理的負荷によって精神障害が自然経過を超えて著しく悪化したものと精神医学的に判断されるときには、悪化した部分について業務起因性を認める
  • 対象疾病の症状が現れなくなった又は症状が改善し安定した状態が一定期間継続している場合や、社会復帰を目指して行ったリハビリテーション療法等を終えた場合であって、通常の就労が可能な状態に至ったときには、投薬等を継続していても通常は治ゆ(症状固定)の状態にあると考えられるところ、対象疾病がいったん治ゆ(症状固定)した後において再びその治療が必要な状態が生じた場合は、新たな疾病と取り扱う
  • 認定基準においては、労災保険法第12条の2の2が労働者が故意に死亡したときは、政府は保険給付を行わないと規定しているが、業務により精神障害を発病したと認められる者が自殺を図った場合には、精神障害によって正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、あるいは自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されている状態に陥ったものと推定し、業務起因性を認める
  • 認定基準においては、例えば対象疾病の発病直前の3週間おおむね120時間以上の時間外労働を行っていたときには、手待時間が多いなど労働密度が特に低い場合を除き、心理的負荷の総合評価を「強」と判断するとしている。
  • 認定基準においては、うつ病エピソードの発病直前の2か月間連続して1月当たりおおむね120時間80時間×の時間外労働を行い、その業務内容が通常その程度の労働時間を要するものであった場合、心理的負荷の総合評価は「強」と判断される。
  • 認定基準においては、「極度の長時間労働、例えば数週間にわたる生理的に必要な最小限度の睡眠時間を確保できないほどの長時間労働は、心身の極度の疲弊、消耗を来し、うつ病等の原因となることから、発病直前の1か月におおむね160時間120時間×を超える時間外労働を行った場合等には、当該極度の長時間労働に従事したことのみで心理的負荷の総合評価を「強」とする。」とされている。
  • 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない精神的攻撃が行われたが、その行為が反復・継続していない場合、他に会社に相談しても又は会社がパワーハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく改善されなかった等の事情がなければ、心理的負荷の程度は「中」になるとされている。
  • 人格や人間性を否定するような、業務の目的を逸脱した精神的攻撃が行われたが、その行為が反復・継続していない場合、他に会社に相談しても又は会社がパワーハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく改善されなかった等の事情がなければ、心理的負荷の程度は「中」になるとされている。
  • 他の労働者の面前における威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃が行われたが、その行為が反復・継続していない場合、他に会社に相談しても又は会社がパワーハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく改善されなかった等の事情がなければ、心理的負荷の程度は「中」になるとされている。
  • 治療等を要さない程度の暴行による身体的攻撃が行われた場合その行為が反復・継続していなくても、会社に相談しても又は会社がパワーハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく、改善されなかった場合には、心理的負荷の程度は「強」になるとされている。
  • 上司等」には、同僚又は部下であっても業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力が得られなければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な場合同僚又は部下からの集団による行為でこれに抵抗又は拒絶することが困難である場合も含む。
  • 認定基準においては、同僚から治療を要する程度のひどい暴行を受けてうつ病エピソードを発病した場合、心理的負荷の総合評価は「強」と判断される。
  • 認定基準においては、身体接触のない性的発言のみのセクシュアルハラスメントである場合発言の中に人格を否定するようなものを含みかつ継続してなされた場合などには、これによりうつ病エピソードを発病した場合、心理的負荷の総合評価が「強」になる(「身体接触のない性的発言のみのセクシュアルハラスメントである場合には、心理的負荷の総合評価が「強」になることはない。」わけではない)。

以上、今回の問題でした。

毎日判例

三晃社事件 (昭和52年8月9日)

会社が営業担当社員に対し退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限し、右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給する退職金の額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることは、退職金の功労報償的な性格をかんがみれば、認められる。

原審の確定した事実関係のもとにおいては、被上告会社が営業担当社員に対し退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限することをもって直ちに社員の職業の自由等を不当に拘束するものとは認められず、したがって、被上告会社がその退職金規則において、右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給すべき退職金につき、その点を考慮して、支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、本件退職金が功労報償的な性格を併せ有することにかんがみれば、合理性のない措置であるとすることはできない。すなわち、この場合の退職金の定めは、制限違反の就職をしたことにより勤務中の功労に対する評価が減殺されて、退職金の権利そのものが一般の自己都合による退職の場合の半額の限度においてしか発生しないこととする趣旨であると解すべきであるから、右の定めは、その退職金が労働基準法上の賃金にあたるとしても、所論の同法三条、一六条、二四条及び民法九〇条等の規定にはなんら違反するものではない

過去の選択式問題の正解率別・項目別カテゴリー

過去の選択式問題の正解率別・項目別カテゴリーはこちら。
特に、正解率51%~75%、76%~100%の問題は、他の受験生の方も取れる論点となりますので、マスターしたいところです。

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【今日の一言】

・労一は、受験勉強と思わない。合格後、一番使うのは労一の知識。「常識好き」と思い込む。
・アウトプットの機会を作る。知ったことを、周囲にひけらかす(いい意味で)。人に説明しようとすると、頭への入り込み方が違う。

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

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