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働き方改革実行計画は平成29年3月28日に働き方改革実現会議で決定された資料です。

まず動画解説をご覧の上、全体を把握するのがおすすめです。

何のために働き方改革を行うのか、同一労働同一賃金の全体像を中心に解説しています。

 

目次

1.働く人の視点に立った働き方改革の意義

(1)経済社会の現状

4年間のアベノミクス(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)は、大きな成果を生み出した。名目GDPは47兆円増加し、9%成長した。

長らく言葉すら忘れられていたベースアップが4年連続で実現しつつある。

有効求人倍率は25年ぶりの高い水準となり、史上初めて47全ての都道府県で1倍を超えた。

正規雇用も一昨年増加に転じ、26か月連続で前年を上回る勢いである。

格差を示す指標である相対的貧困率が足元で減少しており、特に調査開始以来一貫して増加していた子供の相対的貧困率は初めて減少に転じた。

日本経済はデフレ脱却が見えてきており、実質賃金は増加傾向にある。

他方、個人消費や設備投資といった民需は、持ち直しつつあるものの、足踏みがみられる。

我が国の経済成長の隘路(あいろ)の根本には、少子高齢化、生産年齢人口減少すなわち人口問題という構造的な問題に加え、イノベーションの欠如による生産性向上の低迷、革新的技術への投資不足がある。

日本経済の再生を実現するためには、投資やイノベーションの促進を通じた付加価値生産性の向上と、労働参加率の向上を図る必要がある。

そのためには、誰もが生きがいを持って、その能力を最大限発揮できる社会を創ることが必要である。

一億総活躍の明るい未来を切り拓くことができれば、少子高齢化に伴う様々な課題も克服可能となる。

家庭環境や事情は、人それぞれ異なる。何かをやりたいと願っても、画一的な労働制度、保育や介護との両立困難など様々な壁が立ちはだかる。

こうした壁を一つひとつ取り除く。これが、一億総活躍の国創りである。

(2)今後の取組の基本的考え方

日本経済再生に向けて、最大のチャレンジは働き方改革である。

「働き方」は「暮らし方」そのものであり、働き方改革は、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方そのものに手を付けていく改革である。

多くの人が、働き方改革を進めていくことは、人々のワーク・ライフ・バランスにとっても、生産性にとっても好ましいと認識しながら、これまでトータルな形で本格的改革に着手することができてこなかった。

その変革には、社会を変えるエネルギーが必要である。

安倍内閣は、一人ひとりの意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求する。働く人の視点に立って、労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土を変えようとするものである。

改革の目指すところは、働く方一人ひとりが、より良い将来の展望を持ち得るようにすることである。

多様な働き方が可能な中において、自分の未来を自ら創っていくことができる社会を創る。

意欲ある方々に多様なチャンスを生み出す。

日本の労働制度と働き方には、労働参加、子育てや介護等との両立、転職・再就職、副業・兼業など様々な課題があることに加え、労働生産性の向上を阻む諸問題がある。

「正規」、「非正規」という2つの働き方の不合理な処遇の差は、正当な処遇がなされていないという気持ちを「非正規」労働者に起こさせ、頑張ろうという意欲をなくす。

これに対し、正規と非正規の理由なき格差を埋めていけば、自分の能力を評価されていると納得感が生じる。

納得感は労働者が働くモチベーションを誘引するインセンティブとして重要であり、それによって労働生産性が向上していく。

また、長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因になっている。

これに対し、長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結びつく。

経営者は、どのように働いてもらうかに関心を高め、単位時間(マンアワー)当たりの労働生産性向上につながる。

さらに、単線型の日本のキャリアパスでは、ライフステージに合った仕事の仕方を選択しにくい。

これに対し、転職が不利にならない柔軟な労働市場や企業慣行を確立すれば、労働者が自分に合った働き方を選択して自らキャリアを設計できるようになり、付加価値の高い産業への転職・再就職を通じて国全体の生産性の向上にもつながる。

働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段である。

生産性向上の成果を働く人に分配することで、賃金の上昇、需要の拡大を通じた成長を図る「成長と分配の好循環」が構築される。

個人の所得拡大、企業の生産性と収益力の向上、国の経済成長が同時に達成される。

すなわち、働き方改革は、社会問題であるとともに、経済問題であり、日本経済の潜在成長力の底上げにもつながる、第三の矢・構造改革の柱となる改革である。

雇用情勢が好転している今こそ、働き方改革を一気に進める大きなチャンスである。

政労使が正に3本の矢となって一体となって取り組んでいくことが必要である。

多様かつ柔軟な働き方が選択可能となるよう、社会の発想や制度を大きく転換しなければならない。世の中から「非正規」という言葉を一掃していく。

そして、長時間労働を自慢するかのような風潮が蔓延・常識化している現状を変えていく。

さらに、単線型の日本のキャリアパスを変えていく。

人々が人生を豊かに生きていく。

中間層が厚みを増し、消費を押し上げ、より多くの方が心豊かな家庭を持てるようになる。

そうなれば、日本の出生率は改善していく。

働く人々の視点に立った働き方改革を、着実に進めていく。

 

(3)本プランの実行

(コンセンサスに基づくスピードと実行)

働き方改革実現会議は、総理が自ら議長となり、労働界と産業界のトップと有識者が集まって、これまでよりレベルを上げて議論する場として設置された。

同一労働同一賃金の実現に向けて、有識者の検討報告を経てガイドライン案を提示し、これを基に法改正の在り方について議論を行った。

長時間労働の是正については、上限規制等についての労使合意を経て、政労使による提案がなされるに至った。

さらに全体で9つの分野について、具体的な方向性を示すための議論が行われた。

本実行計画はその成果である。

働く方の実態を最もよく知っている労働側と使用者側、さらには他の有識者も含め合意形成をしたものである。

労働界、産業界等はこれを尊重し、労働政策審議会において本実行計画を前提にスピード感を持って審議を行い、政府は関係法律案等を早期に国会に提出することが求められる。

スピードと実行が重要である。

なかでも罰則付きの時間外労働の上限規制は、これまで長年、労働政策審議会で議論されてきたものの、結論を得ることができなかった、労働基準法70年の歴史の中で歴史的な大改革である。

今般、労働界と産業界が合意できたことは画期的なことであり、いまこそ政労使が、必ずやり遂げるという強い意志を持って法制化に取り組んでいかなければならない。

(ロードマップに基づく長期的かつ継続的な取組)

働き方改革の実現に向けては、前述の基本的考え方に基づき、改革のモメンタムを絶やすことなく、長期的かつ継続的に実行していくことが必要である。

働き方改革の基本的な考え方と進め方を示し、その改革実現の道筋を確実にするため、法制面も含め、その所期の目的達成のための政策手段について検討する。

また、最も重要な課題をロードマップにおいて示し、重点的に推進する。

さらに、労使など各主体が、経済社会の担い手として新たな行動に踏み出すことが不可欠である。

特に、国民一人ひとりの経済活動・社会生活に強い影響力がある企業には、積極的な取組が期待される。

(フォローアップと施策の見直し)

また、本実行計画で決定したロードマップの進捗状況については、継続的に実施状況を調査し、施策の見直しを図る。

このため、本実行計画決定を機に、働き方改革実現会議を改組して同一の構成員からなる働き方改革フォローアップ会合を設置し、フォローアップを行うこととする。

2.同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善

(1)同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備

(基本的考え方)

我が国の非正規雇用労働者は、現在、全雇用者の4割を占めている。

不本意ながら非正規の職に就いている方の割合はここ数年低下しているが、特に女性では結婚、子育てなどもあって、30代半ば以降自ら非正規雇用を選択している方が多い。

非正規雇用で働く方の待遇を改善し、女性や若者などの多様な働き方の選択を広げていく必要がある。

これは、デフレで傷んだ中間層を再興し、ますます希少となってくる人材を社会全体で育て、1人ひとりに自己実現の道を切り開くことにもなる。

非正規雇用の割合が高いシングルマザーや単身女性の貧困問題の解決のためにも重要である。

同一労働同一賃金の導入は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものである。

賃金等の処遇は労使によって決定されることが基本であるが、我が国においては正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間には欧州と比較して大きな処遇差がある。

同一労働同一賃金の考え方が広く普及しているといわれる欧州の実態も参考としながら、我が国の労働市場全体の構造に応じた政策とすることが重要である。

我が国の場合、基本給をはじめ、賃金制度の決まり方が様々な要素が組み合わされている場合も多いため、同一労働同一賃金の実現に向けて、まずは、各企業において、職務や能力等の明確化とその職務や能力等と賃金等の待遇との関係を含めた処遇体系全体を労使の話し合いによって、それぞれ確認し、非正規雇用労働者を含む労使で共有することが肝要である。

同一労働同一賃金の実現に向けては、各企業が非正規雇用労働者を含む労使の話し合いによって、職務や能力等の内容の明確化とそれに基づく公正な評価を推進し、それに則った賃金制度など処遇体系全体を可能な限り速やかに構築していくことが望まれる。

その際、ベンチャーや中小企業については、職務内容が複層的又は流動的であることも勘案し、労使の話し合いにより処遇体系に工夫をしていくことが望ましい。

職務や能力等の明確化と公正な評価については、法制度のみでなく、年功ではなく能力で評価する人事システムを導入する企業への支援や、様々な仕事に求められる知識・能力・技術といった職業情報の提供、技能検定やジョブカード等による職業能力評価制度の整備などの関連施策と連携して推進を図っていく。

このような正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにし、我が国から「非正規」という言葉を一掃することを目指す。

(同一労働同一賃金のガイドライン)

何が不合理な待遇差なのか、具体的に定めることが重要である。

政府が示した同一労働同一賃金のガイドライン案は、正規か非正規かという雇用形態に関わらない均等・均衡待遇を確保し、同一労働同一

賃金の実現に向けて策定したものである。

その対象は、基本給、昇給、ボーナス、各種手当といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生もカバーしている。

原則となる考え方を示すとともに、中小企業の方にもわかりやすいよう、典型的な事例として整理できるものについては、問題とならない例、問題となる例として、事例も多く取り入れている。

ガイドライン案に記載していない待遇を含め、不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争えるよう、その根拠となる法律を整備する。

今後、本ガイドライン案を基に、法改正の立案作業を進める。

ガイドライン案については、関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて、最終的に確定し、改正法の施行日に施行することとする。

また、本ガイドライン案は、同一の企業・団体における、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正することを目的としているため、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間に実際に待遇差が存在する場合に参照されることを目的としている。

このため、そもそも客観的にみて待遇差が存在しない場合については、本ガイドライン案は対象としていない。

ガイドライン案の概要は、以下のとおりである。

①基本給の均等・均衡待遇の確保

基本給が、職務に応じて支払うもの、職業能力に応じて支払うもの、勤続に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。

すなわち、均衡だけでなく、均等にも踏み込んだものとしている。

昇給についても、勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合には、同様の職業能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を求める。

②各種手当の均等・均衡待遇の確保

ボーナス(賞与)について、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。

役職手当についても、役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しようとする場合、同一の役職・責任には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。

そのほか、業務の危険度等に応じて支給される特殊作業手当、交代制勤務などに応じて支給される特殊勤務手当、所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った場合に支給される時間外労働手当の割増率、深夜・休日労働を行った場合に支給される深夜・休日労働手当の割増率、通勤手当・出張旅費、勤務時間内に食事時間が挟まれている際の食事手当、同一の支給要件を満たす場合の単身赴任手当、特定の地域で働くことに対する補償として支給する

地域手当等については、同一の支給を求める。

なお、基本給や各種手当といった賃金に差がある場合において、その要因として賃金の決定基準・ルールの違いがあるときは、「無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明に終始しがちであるが、これでは足りず、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはならない。

③福利厚生や教育訓練の均等・均衡待遇の確保

食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用、転勤の有無等の要件が同一の場合の転勤者用社宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障については、同一の利用・付与を求める。

病気休職については、無期雇用パートタイム労働者には無期雇用フルタイム労働者と同一の、有期雇用労働者にも労働契約の残存期間については同一の付与を求める。

法定外年休・休暇については、勤続期間に応じて認めている場合には、同一の勤続期間であれば同一の付与を求め、特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算した期間を勤続期間として算定することを要することとする。

教育訓練については、現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施しようとする場合、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければならない。

④派遣労働者の取扱

派遣元事業者は派遣労働者に対し、派遣先の労働者と職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情が同一であれば同一の、違いがあれば違いに応じた賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施が求められる。

(法改正の方向性)

職務内容、職務の成果・能力・経験等に対する正規雇用労働者とパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者を通じた公正な評価・待遇決定の推進や、そうした公正な待遇の決定が、労働者の能力の有効な発揮等を通じ、経済及び社会の発展に寄与するものである等の大きな理念を明らかにした上で、ガイドライン案の実効性を担保するため、裁判(司法判断)で救済を受けることができるよう、その根拠を整備する法改正を行う。

具体的には、パートタイム労働法、労働契約法2及び労働者派遣法の改正を図ることとし、その改正事項の概要は、以下のとおりとする。

①労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備

現行制度では、均等待遇の規定は、有期雇用労働者については規制がない。

また、派遣労働者については、均等待遇だけでなく、均衡待遇についても規制がない。

この状況を改めるため、有期雇用労働者について、均等待遇を求める法改正を行う。また、派遣労働者について、均等待遇及び均衡待遇を求める法改正を行う。

さらに、パートタイム労働者も含めて、均衡待遇の規定について、明確化を図る。

②労働者に対する待遇に関する説明の義務化

裁判上の立証責任を労使のどちらが負うかという議論もあるが、訴訟においては、訴える側・訴えられる側がそれぞれの主張を立証していくことになることは当然である。

不合理な待遇差の是正を求める労働者が、最終的には、実際に裁判で争えるような実効性ある法制度となっているか否かが重要である。

企業側しか持っていない情報のために、労働者が訴訟を起こせないといったことがないようにしなければならない。

この点は、訴訟に至らずとも、労使の話合いの際に労働者が不利になることのないようにするためにも重要である。

現行制度では、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者のいずれに対しても、比較対象となる正規雇用労働者との待遇差に関する説明義務が事業者に課されていない。

また、有期契約労働者については、待遇に関する説明義務自体も事業者に課されていない。

今般の法改正においては、事業者は、有期雇用労働者についても、雇入れ時に、労働者に適用される待遇の内容等の本人に対する説明義務を課する。

また、雇入れ後に、事業者は、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者の求めに応じ、比較対象となる労働者との待遇差の理由等についての説明義務を課する。

③行政による裁判外紛争解決手続の整備

不合理な待遇差の是正を求める労働者にとって、最終的に裁判で争えることを保障する法制度を整備するが、実際に裁判に訴えるとすると経済的負担を伴う。

このため、裁判外紛争解決手段(行政ADR)を整備し、均等・均衡待遇を求める当事者が身近に、無料で利用できるようにする。

④派遣労働者に関する法整備

派遣元事業者は、派遣先労働者の賃金水準等の情報が無ければ、派遣労働者の派遣先労働者との均等・均衡待遇の確保義務を履行できない。

このため、派遣先事業者に対し、派遣先労働者の賃金等の待遇に関する情報を派遣元事業者に提供する義務などの規定を整備する。

一方、派遣労働者については、同一労働同一賃金の適用により、派遣先が変わるごとに賃金水準が変わることで不安定となり、派遣元事業者による段階的・体系的な教育訓練等のキャリアアップ支援と不整合な事態を招くこともありうる。

このため、ドイツでは、労働協約を締結することで同一労働同一賃金の適用を除外している。

しかしながら単に労使の合意のみに委ねると、同一労働同一賃金の実効性を担保できない恐れがある。

このため、派遣労働者として十分に保護が図られている場合として以下の3要件を満たす労使協定を締結した場合については、派遣先労働者との均等・均衡待遇を求めないこととする。

この場合でも、単に要件を満たす労使協定を締結することだけでは足りず、3要件を満たす形で協定が実際に履行されていることが求め

られる。

<1>同種業務の一般の労働者の賃金水準と同等以上であること。

<2>派遣労働者のキャリア形成を前提に能力を適切に評価して賃金に反映させていくこと。

<3>賃金以外の待遇について派遣元事業者に雇われている正規雇用労働者の待遇と比較して不合理でないこと。

派遣労働者の待遇決定について詳しく解説

(2)法改正の施行に当たって

(法施行までの準備期間の確保)

中小企業を含め、本制度改正は企業活動に与える影響が大きいものとなるため、施行に当たっては、周知を徹底するとともに、十分な法施行までの準備期間を確保する。

(説明会の開催や相談窓口の整備などの支援)

同一労働同一賃金の法改正の施行に当たっては、説明会の開催や情報提供・相談窓口の整備等を図り、中小企業等の実情も踏まえ労使双方に丁寧に対応することを求める。

また、不本意非正規労働者の正社員化や賃金引上げを支援するとともに、賃金だけでなく諸手当を含めた待遇制度の正規・非正規共通化などに取り組む企業への支援の仕組みを創設する。

3.賃金引上げと労働生産性向上

(1)企業への賃上げの働きかけや取引条件の改善

アベノミクスの三本の矢の政策によって、デフレではないという状況を作り出す中で、企業収益は過去最高となっている。

過去最高の企業収益を継続的に賃上げに確実につなげ、近年低下傾向にある労働分配率を上昇させ、経済の好循環をさらに確実にすることにより総雇用者所得を増加させていく。

このため、最低賃金については、年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。

これにより、全国加重平均が1000円になることを目指す。

このような最低賃金の引き上げに向けて、中小企業、小規模事業者の生産性向上等のための支援や取引条件の改善を図る。

また、中小・小規模事業者の取引条件を改善するため、50年ぶりに、下請代金の支払いについて通達を見直した。

これまで下請事業者の資金繰りを苦しめてきた手形払いの慣行を断ち切り、現金払いを原則とする。

近年の下請けいじめの実態を踏まえ、下請法の運用基準を13年ぶりに抜本改定した。

今後、厳格に運用し、下請け取引の条件改善を進める。

産業界には、これを踏まえた自主行動計画に基づく取組の着実な実施を求めていく。

このフォローアップのため、全国に配置する下請けGメン(取引調査員)による年間2,000件以上のヒアリング調査などにより、改善状況を把握し、課題が確認されれば、自主行動計画の見直し要請など、必要な対応を検討し、実施する。

(2)生産性向上支援など賃上げしやすい環境の整備

賃上げに積極的な企業等を後押しするため、税制、予算措置など賃上げの環境整備に取り組む。

具体的には、賃上げに積極的な事業者を、税額控除の拡充により後押しする。

また、生産性向上に資する人事評価制度や賃金制度を整備し、生産性向上と賃上げを実現した企業への助成制度を創設する。

さらに、生産性向上に取り組む企業等への支援を充実させるため、雇用保険法を改正して雇用安定事業と能力開発事業の理念に生産性向上に資することを追加するとともに、雇用関係助成金に生産性要件を設定し、金融機関との連携強化を図るなどの改革を行う。

4.罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正

(基本的考え方)

我が国は欧州諸国と比較して労働時間が長く、この20年間フルタイム労働者の労働時間はほぼ横ばいである。

仕事と子育てや介護を無理なく両立させるためには、長時間労働を是正しなければならない。

働く方の健康の確保を図ることを大前提に、それに加え、マンアワー当たりの生産性を上げつつ、ワーク・ライフ・バランスを改善し、女性や高齢者が働きやすい社会に変えていく。

長時間労働の是正については、いわゆる36協定でも超えることができない、罰則付きの時間外労働の限度を具体的に定める法改正が不可欠である。

他方、労働基準法は、最低限守らなければならないルールを決めるものであり、企業に対し、それ以上の長時間労働を抑制する努力が求められることは言うまでもない。

長時間労働は、構造的な問題であり、企業文化や取引慣行を見直すことも必要である。

「自分の若いころは、安月給で無定量・無際限に働いたものだ。」と考える方も多数いるかもしれないが、かつての「モーレツ社員」という考え方自体が否定される日本にしていく。

労使が先頭に立って、働き方の根本にある長時間労働の文化を変えることが強く期待される。

(法改正の方向性)

現行の時間外労働の規制では、いわゆる36協定で定める時間外労働の限度を厚生労働大臣の限度基準告示で定めている。

ここでは、36協定で締結できる時間外労働の上限を、原則、月45時間以内、かつ年360時間以内と定めているが、罰則等による強制力がない上、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して特別条項を設けることで、上限無く時間外労働が可能となっている。

今回の法改正は、まさに、現行の限度基準告示を法律に格上げし、罰則による強制力を持たせるとともに、従来、上限無く時間外労働が可能となっていた臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限を設定するものである。

すなわち、現行の告示を厳しくして、かつ、法律により強制力を持たせたものであり、厳しいものとなっている。

労働基準法の改正の方向性は、日本労働組合総連合会、日本経済団体連合会の両団体が時間外労働の上限規制等に関して労使合意したことを踏まえて、以下のとおりとする。

(時間外労働の上限規制)

週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則として、月45時間、かつ、年360時間とし、違反には以下の特例の場合を除いて罰則を課す。

特例として、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする。

かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける。

この上限について、①2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで、80時間以内を満たさなければならないとする。

②単月では、休日労働を含んで100時間未満を満たさなければならないとする。

③加えて、時間外労働の限度の原則は、月45時間、かつ、年360時間であることに鑑み、これを上回る特例の適用は、年半分を上回ら

ないよう、年6回を上限とする。

他方、労使が上限値までの協定締結を回避する努力が求められる点で合意したことに鑑み、さらに可能な限り労働時間の延長を短くするため、新たに労働基準法に指針を定める規定を設けることとし、行政官庁は、当該指針に関し、使用者及び労働組合等に対し、必要な助言・指導を行えるようにする。

(パワーハラスメント対策、メンタルヘルス対策)

労働者が健康に働くための職場環境の整備に必要なことは、労働時間管理の厳格化だけではない。

上司や同僚との良好な人間関係づくりを併せて推進する。

このため、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。

併せて、過労死等防止対策推進法6に基づく大綱においてメンタルヘルス対策等の新たな目標を掲げることを検討するなど、政府目標を見直す。

(勤務間インターバル制度)

労働時間等の設定の改善に関する特別措置法を改正し、事業者は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない旨の努力義務を課し、制度の普及促進に向けて、政府は労使関係者を含む有識者検討会を立ち上げる。

また、政府は、同制度を導入する中小企業への助成金の活用や好事例の周知を通じて、取り組みを推進する。

(法施行までの準備期間の確保)

中小企業を含め、急激な変化による弊害を避けるため、十分な法施行までの準備時間を確保する。

(見直し)

政府は、法律の施行後5年を経過した後適当な時期において、改正後の労働基準法等の実施状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。

(現行の適用除外等の取扱)

現行制度で適用除外となっているものの取り扱いについては、働く人の視点に立って働き方改革を進める方向性を共有したうえで、実態を踏まえて対応の在り方を検討する必要がある。

自動車の運転業務については、現行制度では限度基準告示の適用除外とされている。

その特殊性を踏まえ、拘束時間の上限を定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」で自動車運送事業者への監督を行っているが、限度基準告示の適用対象となっている他業種と比べて長時間労働が認められている。

これに対し、今回は、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、年960時間(=月平均80時間)以内の規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。

5年後の施行に向けて、荷主を含めた関係者で構成する協議会で労働時間の短縮策を検討するなど、長時間労働を是正するための環境整備を強力に推進する。

建設事業については、限度基準告示の適用除外とされている。

これに対し、今回は、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用する(ただし、復旧・復興の場合については、単月で100時間未満、2か月ないし6か月の平均で80時間以内の条件は適用しない)。

併せて、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。

5年後の施行に向けて、発注者の理解と協力も得ながら、労働時間の段階的な短縮に向けた取組を強力に推進する。

医師については、時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要である。

具体的には、改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用することとし、医療界の参加の下で検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る。

新技術、新商品等の研究開発の業務については、現行制度では適用除外とされている。

これについては、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務の特殊性が存在する。

このため、医師による面接指導、代替休暇の付与など実効性のある健康確保措置を課すことを前提に、現行制度で対象となっている範囲を超えた職種に拡大することのないよう、その対象を明確化した上で適用除外とする。

(事前に予測できない災害その他事項の取扱)

突発的な事故への対応を含め、事前に予測できない災害その他避けることのできない事由については、労働基準法第33条による労働時間の延長の対象となっており、この措置は継続する。

措置の内容については、サーバーへの攻撃によるシステムダウンへの対応や大規模なリコールへの対応なども含まれていることを解釈上、明確化する。

(取引条件改善など業種ごとの取組の推進)

取引関係の弱い中小企業等は、発注企業からの短納期要請や、顧客からの要求などに応えようとして長時間労働になりがちである。

商慣習の見直しや取引条件の適正化を、一層強力に推進する。

自動車運送事業については、関係省庁横断的な検討の場を設け、ITの活用等による生産性の向上、多様な人材の確保・育成等の長時間労働を是正するための環境を整備するための関連制度の見直しや支援措置を行うこととし、行動計画を策定・実施する。

特にトラック運送事業においては、事業者、荷主、関係団体等が参画して実施中の実証事業を踏まえてガイドラインを策定するとともに、関係省庁と連携して、①下請取引の改善等取引条件を適正化する措置、②複数のドライバーが輸送行程を分担することで短時間勤務を可能にする等生産性向上に向けた措置や③荷待ち時間の削減等に対する荷主の協力を確保するために必要な措置、支援策を実施する。

建設業については、適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の推進等の休日確保など、民間も含めた発注者の理解と協力が不可欠であることから、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置するとともに、制度的な対応を含め、時間外労働規制の適用に向けた必要な環境整備を進め、あわせて業界等の取組に対し支援措置を実施する。

また、技術者・技能労働者の確保・育成やその活躍を図るため制度的な対応を含めた取組を行うとともに、施工時期の平準化、全面的なICTの活用、書類の簡素化、中小建設企業への支援等により生産性の向上を進める。

IT産業については、平均時間外労働時間を1日1時間以内にするといった業界団体等による数値目標を政府がフォローアップし、長時間労働是正の取組を促す。

(企業本社への監督指導等の強化)

過重労働撲滅のための特別チーム(かとく)による重大案件の捜査などを進めるとともに、企業トップの責任と自覚を問うため、違法な長時間労働等が複数事業場で認められた企業などには、従来の事業場単位だけではなく、企業本社への立ち入り調査や、企業幹部に対するパワハラ対策を含めた指導を行い、全社的な改善を求める。

また、企業名公表制度について、複数事業場で月80時間超の時間外労働違反がある場合などに拡大して強化する。

(意欲と能力ある労働者の自己実現の支援)

創造性の高い仕事で自律的に働く個人が、意欲と能力を最大限に発揮し、自己実現をすることを支援する労働法制が必要である。

現在国会に提出中の労働基準法改正法案に盛り込まれている改正事項は、長時間労働を是正し、働く方の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものである。

具体的には、中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直しや年次有給休暇の確実な取得などの長時間労働抑制策とともに、高度プロフェッショナル制度の創設や企画業務型裁量労働制の見直しなどの多様で柔軟な働き方の実現に関する法改正である。

この法改正について、国会での早期成立を図る。

5.柔軟な働き方がしやすい環境整備

テレワークは、時間や空間の制約にとらわれることなく働くことができるため、子育て、介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となる。

副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である。

我が国の場合、テレワークの利用者、副業・兼業を認めている企業は、いまだ極めて少なく、その普及を図っていくことは重要である。

他方、これらの普及が長時間労働を招いては本末転倒である。

労働時間管理をどうしていくかも整理する必要がある。ガイドラインの制定など実効性のある政策手段を講じて、普及を加速させていく。

(1)雇用型テレワークのガイドライン刷新と導入支援

事業者と雇用契約を結んだ労働者が自宅等で働くテレワークを「雇用型テレワーク」という。

近年、モバイル機器が普及し、自宅で働く形態だけでなく、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務といった新たな形態のテレワークが増加している。

このような実態に合わせ、これまでは自宅での勤務に限定されていた雇用型テレワークのガイドラインを改定し、併せて、長時間労働を招かないよう、労働時間管理の仕方も整理する。

具体的には、在宅勤務形態だけでなく、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務を、雇用型テレワーク普及に向けた活用方法として追加する。

テレワークの導入に当たっては、労働時間の管理を適切に行うことが必要であるが、育児や介護などで仕事を中抜けする場合の労働時間の取扱や、半日だけテレワークする際の移動時間の取扱方法が明らかにされていない。

このため、企業がテレワークの導入に躊躇することがないよう、フレックスタイム制や通常の労働時間制度における中抜け時間や移動時間の取扱や、事業場外みなし労働時間制度を活用できる条件などを具体的に整理するなど、その活用方法について、働く実態に合わせて明確化する。

また、長時間労働を防止するため、深夜労働の制限や深夜・休日のメール送付の抑制等の対策例を推奨する。

あわせて、Wi-fiやクラウド環境、スマートフォンやタブレットの普及など近年のICT利用環境の進展や、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務の実態を踏まえ、テレワーク導入時に必要なセキュリティ面の対応に関するガイドラインについても改定する。

さらに、国家戦略特区により、テレワーク導入企業に対するワンストップの相談支援を実施する。育児中の者、障害者を対象にしたモデル事業等を実施するとともに、よりテレワークを活用しやすくなるよう、労働時間管理及び健康管理の在り方を含めた推進方策について広く検討する。加えて、国民運動としてテレワークを推進する方策を関係府省が連携して検討し、実施する。

(2)非雇用型テレワークのガイドライン刷新と働き手への支援

事業者と雇用契約を結ばずに仕事を請け負い、自宅等で働くテレワークを「非雇用型テレワーク」という。

インターネットを通じた仕事の仲介事業であるクラウドソーシングが急速に拡大し、雇用契約によらない働き方による仕事の機会が増加している。

こうした非雇用型テレワークの働き手は、仕事内容の一方的な変更やそれに伴う過重労働、不当に低い報酬やその支払い遅延、提案形式で仮納品した著作物の無断転用など、発注者や仲介事業者との間で様々なトラブルに直面している。

非雇用型テレワークを始めとする雇用類似の働き方が拡大している現状に鑑み、その実態を把握し、政府は有識者会議を設置し法的保護の必要性を中長期的課題として検討する。

また、仲介事業者を想定せず、働き手と発注者の相対契約を前提としている現行の非雇用型テレワークの発注者向けガイドラインを改定し、仲介事業者が一旦受注して働き手に再発注する際にも当該ガイドラインを守るべきことを示すとともに、契約文書のない軽易な取引や著作物の仮納品が急増しているなどクラウドソーシングの普及に伴うトラブルの実態を踏まえ、仲介手数料や著作権の取扱の明示など、仲介事業者に求められるルールを明確化し、その周知徹底及び遵守を図る。

加えて、働き手へのセーフティネットの整備や教育訓練等の支援策について、官民連携した方策を検討し実施する。

(3)副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改定版モデル就業規則の策定

副業・兼業を希望する方は、近年増加している一方で、これを認める企業は少ない。

労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る。

副業・兼業のメリットを示すと同時に、これまでの裁判例や学説の議論を参考に、就業規則等において本業への労務提供や事業運営、会社の信用・評価に支障が生じる場合等以外は合理的な理由なく副業・兼業を制限できないことをルールとして明確化するとともに、長時間労働を招かないよう、労働者が自ら確認するためのツールの雛形や、企業が副業・兼業者の労働時間や健康をどのように管理すべきかを盛り込んだガイドラインを策定し、副業・兼業を認める方向でモデル就業規則を改定する。

また、副業・兼業を通じた創業・新事業の創出や中小企業の人手不足対応について、多様な先進事例の周知啓発を行う。

さらに、複数の事業所で働く方の保護等の観点や副業・兼業を普及促進させる観点から、雇用保険及び社会保険の公平な制度の在り方、労働時間管理及び健康管理の在り方、労災保険給付の在り方について、検討を進める。

6.女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備

(1)女性のリカレント教育など個人の学び直しへの支援などの充実

我が国では正社員だった女性が育児で一旦離職すると、復職や再就職を目指す際に、過去の経験、職業能力を活かせない職業に就かざるを得ないことが、労働生産性の向上の点でも問題を生じさせている。

大学等における職務遂行能力向上に資するリカレント教育を受け、その後再就職支援を受けることで、一人ひとりのライフステージに合った仕事を選択しやすくする。

このため、雇用保険法を改正し、職場で求められるスキルに直結する専門教育講座の受講費用に対する教育訓練給付を拡充する。

給付率は、最大で6割だったものを7割にする。

上限額は、年間48万円だったものを56万円に引き上げる。

給付を受けられる期間は、子育てによる離職後4年までだったものを20年までに延長する。

これまで離職後1か月以内に必要とされていた受給期間の延長手続きをしなければならない制度を、直ちに廃止する。

多様なスキルを習得・評価する機会を増やし、きめ細かく再就職を支援するため、子供を保育園に預けながら受けられる教育訓練を拡大するとともに、土日・夜間、e-ラーニング、短時間でも受講できる大学等の女性リカレント教育講座を開拓し、全国に展開する。

この際、企業と連携したインターンシップや、育児と両立しやすい求人情報がマザーズハローワークから大学に届く仕組みにより、大学の再就職支援機能を強化する。

また、民間企業における1人当たりの教育訓練費が減少傾向にある一方で、人工知能(AI)などによる第4次産業革命が働く人に求められるスキルを急速に変化させているため、技術革新と産業界のニーズに合った能力開発を進める。

高度なIT分野を中心に、今後需要増加が見込まれるスキルに関する専門教育講座を開拓・見える化し、その受講を支援する。

また、ITや保育・介護など人材需要の高い分野の長期の離職者訓練コースを新設、拡充する。

さらに、学校教育段階から実践的な職業能力を有する人材を育成するため、幼児期から高等教育に至るまでの体系的なキャリア教育を推進するとともに、実践的な職業教育を行う専門職大学を創設する。

こうした企業、個人、政府による人材投資を抜本強化、集中支援を行う。

(2)多様な女性活躍の推進

我が国には、ポテンシャルを秘めている女性が数多くおり、一人ひとりの女性が自らの希望に応じて活躍できる社会づくりを加速することが重要である。

安倍内閣では、「女性が輝く社会」をつくることを最重要課題の1つとして位置づけ、昨年4月から施行された女性活躍推進法の制定などの取組を進めてきた。

女性の就業者数はこの4年間で約150万人増加するとともに、出産を経ても継続して就業する方の割合についても近年上昇するなど、女性の活躍の機運が急速に上昇している。

しかしながら、就業を希望しつつも家庭との両立が困難で働けない方や、就業調整を意識して働いている方などのため、今後、更に女性の活躍を推進することが必要不可欠である。

このため、女性の活躍に関する企業の情報の見える化を進め、一層の女性活躍に向けた企業の取組を促進する。

具体的には、労働時間や男性の育児休業の取得状況、女性の管理職比率など、女性が活躍するために必要な個別の企業の情報が確実に公表されるよう、2018年度までに女性活躍推進法の情報公表制度の強化策などについての必要な制度改正を検討する。

また、働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる環境をつくる。

配偶者控除等については、配偶者の収入制限を103万円から150万円に引き上げる。

なお、若い世代や子育て世帯に光を当てていく中で、個人所得課税の改革について、その税制全体における位置づけや負担構造のあるべき姿について検討し、丁寧に進めていく。

就業調整を意識しなくて済む仕組みの構築は、税制だけで達成できるものではない。

短時間労働者の被用者保険の適用拡大の円滑な実施を図るとともに、更なる適用拡大について必要な検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。

企業の配偶者手当に配偶者の収入制限があることも、就業調整の大きな要因の一つである。

労使の真摯な話し合いの下、前向きな取組が行われるよう、働きかけていく。

国家公務員の配偶者に係る扶養手当の見直しについて、着実に実施する。

さらに、正社員だった女性が育児で一旦離職した後の復職を可能とするため、復職制度をもつ企業の情報公開を推進する。具体的には、復職制度の有無について、ハローワークの求人票に項目を新設し、女性活躍推進法の情報公表の項目に盛り込むことを検討する。

また、復職に積極的な企業を支援する助成金を創設する。

加えて、女性活躍推進法に基づく女性が働きやすい企業(えるぼし)、次世代育成支援対策推進法10に基づく子育てしやすい企業(くるみん)、若者雇用促進法11に基づく若者が働きやすい企業(ユースエール)といった認定制度や、従業員のキャリア形成に関する企業の表彰制度などを活用し、働き方改革の好事例の横展開を図る。

(3)就職氷河期世代や若者の活躍に向けた支援・環境整備

就職氷河期に学校を卒業して、正社員になれず非正規のまま就業又は無業を続けている方が40万人以上いる。

こうした就職氷河期世代の視点に立って、格差の固定化が進まぬように、また働き手の確保の観点からも、対応が必要である。

35歳を超えて離転職を繰り返すフリーター等の正社員化に向けて、同一労働同一賃金制度の施行を通じて均等・均衡な教育機会の提供を図るとともに、個々の対象者の職務経歴、職業能力等に応じた集中的な支援を行う。

また、高校中退者等の高卒資格取得に向けた学習相談・支援を行う。

さらに、若者雇用促進法に基づく指針を改定し、希望する地域等で働ける勤務制度の導入など多様な選考・採用機会を促進するとともに、職業安定法を改正し、一定の労働関係法令違反を繰り返す企業の求人票をハローワークや職業紹介事業者が受理しないことを可能とする。

7.病気の治療と仕事の両立

(1)会社の意識改革と受入れ体制の整備

病気を治療しながら仕事をしている方は、労働人口の3人に1人と多数を占める。

病気を理由に仕事を辞めざるを得ない方々や、仕事を続けていても職場の理解が乏しいなど治療と仕事の両立が困難な状況に直面している方々も多い。

この問題の解決のためには、まず、会社の意識改革と受入れ体制の整備が必要である。

このため、経営トップ、管理職等の意識改革や両立を可能とする社内制度の整備を促すことに加え、がん・難病・脳血管疾患・肝炎等の疾患別に、治療方法や倦怠感・慢性の痛み・しびれといった症状の特徴など、両立支援にあたっての留意事項などを示した、会社向けの疾患別サポートマニュアルを新たに作成し、会社の人事労務担当者に対する研修の実施等によりその普及を図る。

さらに、治療と仕事の両立等の観点から傷病手当金の支給要件等について検討し、必要な措置を講ずる。

加えて、企業トップ自らがリーダーシップを発揮し、働く人の心身の健康の保持増進を経営課題として明確に位置づけ、病気の治療と仕事の両立支援を含め積極的に取り組むことを強力に推進する。

(2)トライアングル型支援などの推進

自分の仕事に期待してくれる人々がいることは、職場に自分の存在意義を確認できる、いわば居場所があると感じさせ、病と闘う励みにもなる。

他方、自分のキャリアを失うことを恐れて周囲に言えない方もおり、誰にも伝えていない中での治療は肉体的にも精神的にも厳しいものがある。

また、倦怠感やうつ症状など本人以外には理解しにくい副作用もあり、やる気がないと思われがちで、そう思われたくないために必要以上に頑張り、体を壊してその職場を離れるという悲しい選択をする方もいる。

このため、病気の治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを整え、病を患った方々が、生きがいを感じながら働ける社会を目指す。

具体的には、治療と仕事の両立に向けて、主治医、会社・産業医と、患者に寄り添う両立支援コーディネーターのトライアングル型のサポート体制を構築する。

とりわけ、両立支援コーディネーターは、主治医と会社の連携の中核となり、患者に寄り添いながら継続的に相談支援を行いつつ、個々の患者ごとの治療・仕事の両立に向けたプランの作成支援などを担う。

両立支援コーディネーターには、医療や心理学、労働関係法令や労務管理に関する知識を身に付け、患者、主治医、会社などのコミュニケーションのハブとして機能することが期待され、こうした人材を効果的に育成・配置し、全国の病院や職場で両立支援が可能となることを目指す。

加えて、今や子供100万人のうち4.7%が体外受精によって出生されており、不妊治療と仕事との両立についても、問題を抱えている。不妊治療への支援については、医療面だけでなく就労・両立支援にまで拡大して実施する。

(3)労働者の健康確保のための産業医・産業保健機能の強化

治療と仕事の両立支援に当たっての産業医の役割の重要性に鑑み、治療と仕事の両立支援に係る産業医の能力向上や相談支援機能の強化など産業医・産業保健機能の強化を図る。

また、過重な長時間労働やメンタル不調などにより過労死等のリスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、産業医による面接指導や健康相談等が確実に実施されるようにし、企業における労働者の健康管理を強化する。

加えて、産業医の独立性や中立性を高めるなど産業医の在り方を見直し、産業医等が医学専門的な立場から働く方一人ひとりの健康確保のためにより一層効果的な活動を行いやすい環境を整備する。

これにより、働く人々が健康の不安なく、働くモチベーションを高め、最大限に能力を向上・発揮することを促進する。

8.子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労

(1)子育て・介護と仕事の両立支援策の充実・活用促進

「待機児童解消加速化プラン」に基づき、これまで、2013年度から2015年度までの3年間で合計約31.4万人分の受け入れ枠拡大を実現し、2017年度末までの目標を40万から50万人に上積みした。潜在的な保育ニーズも幅広く把握し、2017年度末までには、企業主導型保育事業約5万人分とあわせて、当初目標を上回る53万人分の整備を進める。

2018年度以降についても、本年4月以降の各自治体における今後の改善状況等も踏まえ、新たなプランを策定する。

また、受け皿の拡大にあわせて、保育士資格の新規取得者の確保を図るほか、処遇改善や就業継続支援、離職者の再就職支援といった総合的な人材確保対策を講じる必要がある。

保育士の処遇改善については、技能・経験に応じたキャリアアップの仕組みを構築し、処遇改善に取り組む。2017年度予算では、全ての保育士に2%の処遇改善を実施する。

これにより、政権交代後、合計で10%の改善が実現する。

加えて、保育士の方々には、概ね3年以上で月5千円、7年以上で月4万円の加算を行う。

また、保育園等において、病児保育、延長保育や一時預かり、障害児支援などの多様な保育を提供できるよう、今後さらに、これらの受け皿の拡大やニーズに応じた柔軟な利用を進めていく。

保育サービス以外にも、育児や家事の負担を軽減し、仕事と両立しやすい社会を実現するための方策も検討する。

また、子供を産んでも仕事を続けられるための支援を強化していく観点から、子育てを理由に仕事を辞めずに済むよう、保育園が見つからない場合などは、育休給付の支給期間を最大2歳まで延長する。

あわせて、「小1の壁」打破に向けて、放課後児童クラブの受け皿整備とともに、処遇改善等を進める。

介護についても、介護支援の充実を図り、介護をしながら仕事を続けることができる「介護離職ゼロ」に向け、現役世代の安心を確保することが重要であり、総合的に取組を進めて行く。

介護の受け皿については、2020年代初頭までに、50万人分以上の整備を確実に推進する。

また、介護人材を確保するため、2017年度予算において、介護職員について、経験などに応じて昇給する仕組みを創り、月額平均1万円相当の処遇改善を行う。これにより、自公政権のもと、合計で月4万7千円の改善が実現する。

(男性の育児・介護等への参加促進)

女性の就業が進む中で、依然として育児・介護の負担が女性に偏っている現状や男性が希望しても実際には育児休業の取得等が進まない実態を踏まえ、男性の育児参加を徹底的に促進するためあらゆる政策を動員する。

このため、育児休業の取得時期・期間や取得しづらい職場の雰囲気の改善など、ニーズを踏まえた育児休業制度の在り方について、総合的な見直しの検討に直ちに着手し、実行していく。

また、制度があっても実際には育児休業等を取得しづらい雰囲気を変えるため、育児休業の対象者に対して事業主が個別に取得を勧奨する仕組みや、育児目的休暇の仕組みを育児・介護休業法に導入する。

併せて、部下や同僚の育児・介護等に配慮・理解のある上司(イクボス)を増やすため、ロール・モデル集の作成やイクボス宣言を広める。

さらに、次世代育成支援対策推進法に基づく子育てしやすい企業の認定制度(くるみん認定)について、男性の育児休業取得に関する認定基準を直ちに引き上げる。

また、2017年度に同法(一般事業主行動計画)により個別企業における男性の育休取得状況を見える化することを検討し、同法の改正後5年に当たる2020年度までに、更なる男性育休取得促進方策を検討する。

(2)障害者等の希望や能力を活かした就労支援の推進

障害者等に対する就労支援を推進するにあたっては、時間、空間の制約を乗り越えて、障害者の意欲や能力に応じた仕事を提供するなど、障害者等が希望や能力、適性を十分に活かし、障害の特性等に応じて活躍できることが普通の社会、障害者と共に働くことが当たり前の社会を目指していく必要がある。

近年、障害者の雇用環境は改善してきているが、依然として雇用義務のある企業の約3割が障害者雇用ゼロとなっているほか、経営トップを含む社内理解や作業内容の改善等にも課題が残されている。

また、就労に向けた関係行政機関等の更なる連携も求められている状況にある。

このため、2018年4月より法定雇用率を引き上げるとともに、障害者雇用ゼロ企業が障害者の受入れを進めるため、実習での受入れ支援や、障害者雇用に関するノウハウを付与する研修の受講を進めるほか、障害者雇用に知見のある企業OB等の紹介・派遣を行う。

また、発達障害やその可能性のある方も含め、障害の特性に応じて一貫した修学・就労支援を行えるよう、教育委員会・大学、福祉・保健・医療・労働等関係行政機関と企業が連携する体制を構築する。

さらに、障害者の在宅就業等を促進するため、在宅就業障害者に仕事を発注した企業に特例調整金等を支給する制度の活用促進を図るとともに、ICTの活用を進め、仲介事業のモデル構築や、優良な仲介事業の見える化を支援する。

加えて、障害者の職業生活の改善を図るための最新技術を活用した補装具の普及を図るとともに、農業に取り組む障害者就労施設に対する6次産業化支援など、農福連携による障害者の就労支援について、全都道府県での実施を目指す。

今後、多様な障害特性に対応した障害者雇用の促進、職場定着支援を進めるため、有識者による会議の場を設置し、障害者雇用に係る制度の在り方について幅広く検討を行う。

9.雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援

単線型の日本のキャリアパスを変え、再チャレンジが可能な社会としていくためには、転職・再就職など新卒以外の多様な採用機会の拡大が課題である。

転職が不利にならない柔軟な労働市場や企業慣行を確立できれば、労働者にとっては自分に合った働き方を選択してキャリアを自ら設計できるようになり、企業にとっては急速に変化するビジネス環境の中で必要な人材を速やかに確保できるようになる。

雇用吸収力や付加価値の高い産業への転職・再就職を支援することは、国全体の労働参加率や生産性の向上につながる。

そのため、官民一体となって、転職・再就職者の採用機会を広げる方策に取り組んでいく。

(1)転職者の受入れ企業支援や転職者採用の拡大のための指針策定

中高年の転職・再就職については、一度でも採用経験がある企業は、積極的になる傾向がある。

受入れ企業に対する支援や就職支援体制の強化など、総合的に環境整備を図る。成長企業が転職者を受け入れて行う能力開発や賃金アップに対する助成を拡大する。

また、年功ではなく能力で評価をする人事システムを導入する企業への助成を創設する。

さらに、産業雇用安定センターについて、中小企業団体等と連携し、マッチング機能を強化する。

年齢にかかわりない多様な選考・採用機会の拡大に向けて、転職者の受け入れ促進のための指針を策定し、経済界に要請する。

また、転職・再就職向けのインターンシップのガイドブックを作成し、企業と大学の実践的な連携プログラムを支援する。

(2)転職・再就職の拡大に向けた職業能力・職場情報の見える化

AI等の成長分野も含めた様々な仕事の内容、求められる知識・能力・技術、平均年収といった職業情報のあり方について、関係省庁や民間が連携して調査・検討を行い、資格情報等も含めて総合的に提供するサイト(日本版O-NET)を創設する。

あわせて、これまでそれぞれ縦割りとなっていた女性活躍推進法に基づく女性が働きやすい企業の職場情報と、若者雇用促進法に基づく若者が働きやすい企業の職場情報を、ワンストップで閲覧できるサイトを創設する。

また、技能検定を雇用吸収力の高い産業分野における職種に拡大するととともに、若者の受検料を減免する。

10.誰にでもチャンスのある教育環境の整備

子供たちの誰もが、家庭の経済事情に関わらず、未来に希望を持ち、それぞれの夢に向かって頑張ることができる社会を創る。そのためには、公教育の質の向上とともに、誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない。

我が国は高等教育の漸進的な無償化を規定した国際人権規約を批准しており、財源を確保しつつ、確実に子供たちの進学を後押しできるような高等教育の経済的負担軽減策を推進する。

また、義務教育段階から学力保障のための教育環境の充実を進める。

返還不要、給付型の奨学金制度を、新しく創設する。本年から、児童養護施設や里親の下で育った子供たちなど、経済的に特に厳しい学生を対象に、先行的にスタートする。

来年以降、1学年2万人規模で、月2万円から4万円の奨学金を給付する。

無利子の奨学金については、本年春から、低所得世帯の子供に係る成績基準を実質的に撤廃するとともに残存適格者を解消し、必要とする全ての子供たちが無利子奨学金を受給できるようにする。

貸与型の奨学金の返還についても、卒業後の所得に応じて返還月額を変える制度を導入することで、大幅に負担を軽減する。

また、既に返還を開始している方についても減額返還制度を拡充することにより、負担軽減を図る。

幼児教育についても、2017年度予算において、所得の低い世帯では、第3子以降に加え、第2子も無償とするなど、無償化の範囲をさらに拡大する。引き続き、財源を確保しながら幼児教育無償化を段階的に推進するとともに、国公私立を通じた義務教育段階の就学支援、高校生等奨学給付金、大学等の授業料減免の充実等による教育費の負担軽減を図る。

11.高齢者の就業促進

高齢者の就業促進のポイントは、年齢に関わりなく公正な職務能力評価により働き続けられる「エイジレス社会」の実現であり、これが、若者のやる気、そして企業全体の活力の増進にもつながる。

高齢者の7割近くが、65歳を超えても働きたいと願っているが、実際に働いている人は2割にとどまっている。

労働力人口が減少している中で我が国の成長力を確保していくためにも、意欲ある高齢者がエイジレスに働くための多様な就業機会を提供していく必要がある。

65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業への支援を充実し、将来的に継続雇用年齢等の引上げを進めていくための環境整備を行っていく。

2020年度までを集中取組期間と位置づけ、助成措置を強化するとともに、新たに策定した継続雇用延長や定年延長の手法を紹介するマニュアルや好事例集を通じて、企業への働きかけ、相談・援助を行っていく。

集中取組期間の終了時点で、継続雇用年齢等の引上げに係る制度の在り方を再検討する。

高齢者就労促進のもう一つの中核は、多様な技術・経験を有するシニア層が、一つの企業に留まらず、幅広く社会に貢献できる仕組みである。

年齢に関わりなくエイジレスに働けるよう、高齢期に限らず、希望する方のキャリアチェンジを促進する。

ハローワークにおいて高齢者が就業可能な短時間等の求人を開拓するとともに、年齢に関わりなく職務に基づく公正な評価により働ける企業を求人票で見える化する。

また、ハローワークと経済団体等の地域の関係者が連携し、U・I・Jターンして地方で働くための全国マッチングネットワークを創設する。

また、高齢者になってからではなく、それ以前からスキル・ノウハウの蓄積・棚卸しや、転職・再就職、副業・兼業などを推進していく。

さらに、高齢者による起業時の雇用助成措置を強化するとともに、地域の様々な機関が連携して高齢者の就業機会を創る取組の中で、起業の促進を図る。

また、健康づくりやフレイル対策を進めつつ、シルバー人材センターやボランティアなど、高齢者のニーズに応じた多様な就労機会を提供する。

12.外国人材の受入れ

グローバル競争においては、高度IT人材のように、高度な技術、知識等を持った外国人材のより積極的な受入れを図り、イノベーションの創出等を通じて我が国経済全体の生産性を向上させることが重要である。

日本で就労する外国人材は、評価システムが不透明であることや、求められる日本語の水準が高いこと等を不満に感じており、我が国経済社会の活性化に資する専門的・技術的分野の外国人材を更に積極的に受け入れていくためには、外国人材にとっても魅力ある就労環境等を整備していく必要がある。

このため、企業における職務等の明確化と公正な評価・処遇の推進など、高度外国人材を更に積極的に受け入れるための就労環境の整備を図っていくことが重要である。

また、企業がイノベーションに結びつく高度外国人材を海外からも積極的に確保できるよう、政府としてマッチング支援等を進める。

さらに、高度外国人材が英語等でも活躍できる就労環境の整備とともに、外国人の生活面での環境の整備も進める。

加えて、優秀な人材の獲得競争が世界でますます激化していく中で、高度な外国人材を我が国に惹き付け、長期にわたり活躍してもらうため、高度外国人材の永住許可申請に要する在留期間を現行の5年から世界最速級の1年とする日本版高度外国人材グリーンカードを創設する。

また、高度人材ポイント制度をより活用しやすくするため、トップ大学卒業生への加算措置を可及的速やかに施行する。

他方、専門的・技術的分野とは評価されない分野の外国人材の受入れについては、ニーズの把握や経済的効果の検証だけでなく、日本人の雇用への影響、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安など幅広い観点から、国民的コンセンサスを踏まえつつ検討すべき問題である。

経済・社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ、外国人材受け入れの在り方について、総合的かつ具体的な検討を進める。

このため、移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成の在り方などを含めた必要な事項の調査・検討を政府横断的に進めていく。

13.10年先の未来を見据えたロードマップ

働き方改革の実現に向けて、具体的にどのような施策をいつ実行するのかを、それぞれの項目ごとに具体的に期限を区切って定め、評価を行って見直しつつ、施策を進めていくことが重要である。

(時間軸と指標を持った対応策の提示)

合計で19項目からなる対応策について、項目ごとに、①働く人の視点に立った課題、②今後の対応の方向性、③具体的な施策を記載する。ロードマップの年次は、一億総活躍の横断的課題であることにかんがみ、平成29年度(2017年度)から平成38年度(2026年度)の10年間とし、各年度において施策をどのように展開していくかを可能な限り指標を掲げつつ示した。

(他の政府計画との連携)

本ロードマップを効果的に実施していくため、ニッポン一億総活躍プランその他の政府計画と連携して取り組んでいく。

 

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