社労士24プラス「本試験全問解説」労災・徴収法問6~問10

皆様こんにちは。

資格の大原 社会保険労務士試験対策講座の金沢です。

本試験後に大変お疲れのところ、ブログをご覧いただきまして誠にありがとうございます。

今回「社労士24プラスで本試験全問解説」の誌上?体験版の「労災保険法・労働保険料徴収法の問6から問10」までご紹介させて頂きます。

誌上?体験版もよいですが、動画版は、音声・画像などいろんな角度から情報が入ってきますので、よりわかりやすいと思います。

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「全問解説」体験版(労災保険法・労働保険料徴収法06~10)

今回は、労災保険法・労働保険料徴収法の問6から問10までの解説です。

まず問6です。
労災保険給付と損害賠償の関係に関して誤っているものはどれかの問題で、Eが正解肢です。

保険給付が行われる前に加害者と被災者の間で示談が成立した場面に関する最高裁判例の問題です。

具体的な場面は次の通りです。
運送会社の車両同士の交通事故があり、加害者側が被災者側に示談金を支払って、示談が成立しました。
その際に、被災者側は損賠賠償請求権を放棄する旨の示談書を取り交わしています。加害者側はこれで解決したと一安心です。
ところが、その後、業務中の事故ということで、被災者側が労災保険の保険給付の請求を行い、保険給付が行われました。
労基署は保険給付を行い、その行った分の請求を加害者側に行いました。
加害者側としては、示談で解決したと思ったら、労基署から請求がきてびっくり、そこで、国と加害者側の間で争うになった事案です。
国側の言い分としては、保険給付を行ったときに損害賠償請求権を代位取得して、それに基づいて求償を行っている、というものです。

裁判の結果、加害者側が勝訴しました。

裁判所の判断は、保険給付が行われる前に示談が成立した場合は、損害賠償請求権は消滅しているため、そもそも保険給付を行う必要がなかったというものです。
そこで保険給付を行っても、存在しないものを代位取得することはできない。結果加害者に対して求償を行うこともできない。
むしろ被災者側から保険給付を返してもうらように話し合いなさい、という判断です。

問題文では、「その後」労災保険給付を行えば、当該第三者に対し損害賠償を請求することができる、とあるため誤りです。
以上、問6です。

次に問7です。
労災保険制度に関し誤っているものはどれかの問題で、Bが正解肢です。

社会復帰促進等事業として行われる労災就学援護費の支給・不支給決定は、行政処分に当たるか、ということが争点になった最高裁判例から問題です。

具体的な場面は次の通りです。
被災労働者の遺族が外国の大学に通うことになった際に、外国の大学はいわゆる学校に当たらない、ということで、労災就学援護費の不支給決定が行われました。
労働者側は、これを不服として、労災就学援護費の不支給決定の取消訴訟を起こしました。取消訴訟とは、行政処分を取り消すためにおこす訴訟です。
しかし、地方裁判所と高等裁判所は、労災就学援護費の不支給決定は、そもそも行政処分に当たらないという理由で、訴えを却下しました。
この1審・2審の判決が最高裁判例で覆され、労災就学援護費の不支給決定は行政処分にあたる、という判断が示されたものです。

その理由は、労災就学援護費の支給を受けるためには、労働基準監督署長に申請し、所定の支給要件を具備していることの確認を受けなければならない。
そして、労働基準監督署長の支給決定によって初めて具体的な労災就学援護費の支給請求権を取得するものである。
すなわち、公権力の行使である、ということです。

問題文では、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない、とあるため誤りです。
以上、問7です。

ここまでが労災保険法となり、次に労働保険料徴収法を見てまいります。

まず、問8です。
賃金に関して誤っているものはどれかの問題で、Cが正解肢です。

論点は、労働者の賃金債権が発生するタイミングです。

労働者の賃金債権は、債務の履行としての労働の提供を行ったときに発生するものです。
したがって、労働者が死亡した場合、死亡前の労働の対償としての賃金の支払義務は死亡時に確立していますから、当該賃金に対する保険料を徴収されます。

問題文では、徴収しない、とあるため誤りです。
以上問8です。

次に問9です。
労働保険の保険関係の成立・消滅に関して正しいものはどれかの問題で、Bが正解肢です。

いわゆる保険関係の成立の擬制についての問題です。

労災保険の適用事業が、使用労働者数の減少などにより、労災保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときに、いきなり保護を外すのはよろしくないため、保険関係を自動的に継続させることになっています。
具体的には、その翌日に任意加入の認可があったものとみなされる仕組みです。

問題文ではそのままの表現になっており、正しい内容です。

最後に問10です。
労働保険料の延納に関する問題で、正しいものはどれかの組み合わせ問題です。イとウの組み合わせが正解です。

まずイをみます。


有期事業で保険関係成立日が6月15日、事業終了日が翌年の6月5日です。
解法手順は次の通りです。
まず4月から7月、8月から11月、12月から3月、4月から7月の期に分けます。
成立日の6月15日は、4月から7月の期の後半2ヶ月に属します。延納回数は、成立日が前半2ヶ月に属する場合はその期で1回、後半2か月に属する場合は次の期とあわせて1回という仕組みがあります。
結果、延納回数は、6月から11月で1回、12月から3月で1回、4月から6月で1回の計3回となります。そして、1回目の納期限は、成立日から20日以内です。6月15日に20日を足して、6月35日。そこから、6月は小の月30日までですから、30日を引いて7月5日、となります。なお、2回目は、1月31日、3回目は3月31日となります。
結果、イは正しいです。

次にウをみます。
継続事業で保険関係成立日が10月1日です。
この場合は、8月から11月の期の後半2ヶ月に属します。結果、次の期とあわせて1回ですから、そもそも延納をすることはできません。その納期限は、10月1日に50日を足して、10月51日。そこから、10月は大の月31日までですから31を引いて11月20日となります。
結果、ウは正しいです。

以上問10です。

次回は、雇用保険法・労働保険料徴収法の問1から問5まで解説します。

ありがとうございました。

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座 時間の達人シリーズ「社労士24」担当講師 金沢 博憲

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