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みなさん、こんにちは。

3月25日に高度プロフェッショナル制度の対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針が公布されました。

目次

第1 趣旨

この指針は、労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「法」という。)第41条の2第1項の規定により同項第1号に規定する対象業務(以下「対象業務」という。)に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るため、同項の委員会(以下「労使委員会」という。)が決議する同項各号に掲げる事項について具体的に明らかにする必要があると認められる事項を規定するとともに、対象業務に従事する労働者については法第4章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しないものとする法の制度(以下「高度プロフェッショナル制度」という。)の実施に関し、同項の事業場の使用者及び当該事業場の労働者等並びに労使委員会の委員(以下「委員」という。)が留意すべき事項等を定めたものである。

法第41条の2第1項の決議(以下「決議」という。)をする委員は、当該決議の内容がこの指針に適合したものとなるようにしなければならない。

第2 本人同意

1 法第41条の2第1項の規定による労働者の同意(以下「本人同意」という。)に関し、使用者は、本人同意を得るに当たってその時期、方法等の手続をあらかじめ具体的に明らかにすることが適当である。

このため、委員は、本人同意を得るに当たっての手続を決議に含めることが適当である。

2 本人同意を得るに当たって、使用者は、労働者本人にあらかじめ次に掲げる事項を書面で明示することが適当である。

⑴ 高度プロフェッショナル制度の概要
⑵ 当該事業場における決議の内容
⑶ 本人同意をした場合に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度
⑷ 本人同意をしなかった場合の配置及び処遇並びに本人同意をしなかったことに対する不利益取扱いは行ってはならないものであること。
⑸ 本人同意の撤回ができること及び本人同意の撤回に対する不利益取扱いは行ってはならないものであること。

3 本人同意の対象となる期間は、1年未満の期間の定めのある労働契約を締結している労働者については当該労働契約の期間、期間の定めのない労働契約又は1年以上の期間の定めのある労働契約を締結している労働者については長くとも1年間とし、当該期間が終了するごとに、必要に応じ法第41条の2第1項第2号に掲げる労働者の範囲に属する労働者(以下「対象労働者」という。)に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度等について見直しを行った上で、改めて本人同意を得ることが適当である。なお、これらの見直しを行う場合には、使用者は、労使委員会に対し事前にその内容について説明することが適当である。

4 本人同意の対象となる期間を1箇月未満とすることは、労働者が対象業務に従事する時間に関する裁量を発揮しがたいこととなるため認められない。

5 使用者は、労働者を高度プロフェッショナル制度の対象とすることで、その賃金の額が対象となる前の賃金の額から減ることにならないようにすることが必要である。

6 使用者から一方的に本人同意を解除することはできない。

第3 労使委員会が決議する法第41条の2第1項各号に掲げる事項

1 法第41条の2第1項第1号に掲げる事項関係

⑴ 当該事項に関し具体的に明らかにする事項

イ 対象業務は、次の(イ)及び(ロ)に掲げる要件のいずれにも該当するものである。

(イ) 当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものでないこと。

労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号。以下「則」という。)第34条の2第3項に規定する「当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示(業務量に比して著しく短い期限の設定その他の実質的に当該業務に従事する時間に関する指示と認められるものを含む。)を受けて行うものを除く」の「具体的な指示」とは、対象労働者から対象業務に従事する時間に関する裁量を失わせるような指示をいい、対象業務は働く時間帯の選択や時間配分について自らが決定できる広範な裁量が対象労働者に認められている業務でなければならない。また、実質的に業務に従事する時間に関する指示と認められる指示についても、「具体的な指示」に含まれるものである。
ここでいう「具体的な指示」として、次のようなものが考えられる。
① 出勤時間の指定等始業・終業時間や深夜・休日労働等労働時間に関する業務命令や指示
② 対象労働者の働く時間帯の選択や時間配分に関する裁量を失わせるような成果・業務量の要求や納期・期限の設定
③ 特定の日時を指定して会議に出席することを一方的に義務付けること。
④ 作業工程、作業手順等の日々のスケジュールに関する指示

(ロ) 則第34条の2第3項各号に掲げる業務のいずれかに該当するものであること。

① 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
則第34条の2第3項第1号の「金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務」とは、金融取引のリスクを減らしてより効率的に利益を得るため、金融工学のほか、統計学、数学、経済学等の知識をもって確率モデル等の作成、更新を行い、これによるシミュレーションの実施、その結果の検証等の技法を駆使した新たな金融商品の開発の業務をいう。
ここでいう「金融商品」とは、金融派生商品(金や原油等の原資産、株式や債券等の原証券の変化に依存してその値が変化する証券)及び同様の手法を用いた預貯金等をいう。

② 資産運用(指図を含む。以下この②において同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
則第34条の2第3項第2号の「資産運用(指図を含む。以下この号において同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務」とは、金融知識等を活用した自らの投資判断に基づく資産運用の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務をいう。

③ 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務
則第34条の2第3項第3号の「有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務」とは、有価証券等に関する高度の専門知識と分析技術を応用して分析し、当該分析の結果を踏まえて評価を行い、これら自らの分析又は評価結果に基づいて運用担当者等に対し有価証券の投資に関する助言を行う業務をいう。
ここでいう「有価証券市場における相場等の動向」とは、株式相場、債券相場の動向のほかこれらに影響を与える経済等の動向をいい、「有価証券の価値等」とは、有価証券に投資することによって将来得られる利益である値上がり益、利子、配当等の経済的価値及び有価証券の価値の基盤となる企業の事業活動をいう。

④ 顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務
則第34条の2第3項第4号の「顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務」とは、企業の事業運営についての調査又は分析を行い、企業に対して事業・業務の再編、人事等社内制度の改革など経営戦略に直結する業務改革案等を提案し、その実現に向けてアドバイスや支援をしていく業務をいう。
ここでいう「調査又は分析」とは、顧客の事業の運営に関する重要な事項について行うものであり、顧客から調査又は分析を行うために必要な内部情報の提供を受けた上で、例えば経営状態、経営環境、財務状態、事業運営上の問題点、生産効率、製品や原材料に係る市場の動向等について行う調査又は分析をいう。

⑤ 新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務
則第34条の2第3項第5号の「新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務」とは、新たな技術の研究開発、新たな技術を導入して行う管理方法の構築、新素材や新型モデル・サービスの研究開発等の業務をいい、専門的、科学的な知識、技術を有する者によって、新たな知見を得ること又は技術的改善を通じて新たな価値を生み出すことを目的として行われるものをいう。

ロ 対象業務について決議するに当たり、決議に係る業務の具体的な範囲及び当該業務が則第34条の2第3項各号に掲げる業務のいずれに該当するかを明らかにすることが必要である。

ハ イ(イ)及び(ロ)の全部又は一部に該当しない業務を労使委員会において対象業務として決議したとしても、当該業務に従事する労働者に関し、高度プロフェッショナル制度の効果は生じない。

⑵ 留意事項

 

イ 対象業務は、部署が所掌する業務全体ではなく、対象となる労働者に従事させることとする業務をいう。したがって、対象業務の語句(例えば、「研究」、「開発」)に対応する語句をその名称に含む部署(例えば、「研究開発部」)において行われる業務の全てが対象業務に該当するものではない。

ロ 労使委員会において対象業務について決議するに当たり、委員は、次に掲げる対象業務となり得る業務の例及び対象業務となり得ない業務の例について留意することが必要である。なお、対象業務となり得る業務の例については、⑴イ(イ)及び(ロ)に該当する場合に対象業務として決議し得るものである。また、対象業務となり得る業務の例に該当しないものは対象業務として決議し得ないとするものではない。対象業務となり得ない業務の例については、これに該当しないものは対象業務として決議し得るとするものではない。

(イ) 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務

① 対象業務となり得る業務の例

・ 資産運用会社における新興国企業の株式を中心とする富裕層向け商品(ファンド)の開発の業務

② 対象業務となり得ない業務の例

・ 金融商品の販売、提供又は運用に関する企画立案又は構築の業務

・ 保険商品又は共済の開発に際してアクチュアリーが通常行う業務

・ 商品名の変更や既存の商品の組合せのみをもって行う金融商品の開発の業務

・ 専らデータの入力又は整理を行う業務

(ロ) 資産運用(指図を含む。以下この(ロ)において同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務

① 対象業務となり得る業務の例

・ 資産運用会社等における投資判断に基づく資産運用の業務(いわゆるファンドマネージャーの業務)

・ 資産運用会社等における投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務(いわゆるトレーダーの業務)

・ 証券会社等における投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務(いわゆるディーラーの業務)

② 対象業務となり得ない業務の例

・ 有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断を伴わない顧客からの注文の取次の業務

・ ファンドマネージャー、トレーダー、ディーラーの指示を受けて行う業務

・ 金融機関における窓口業務

・ 個人顧客に対する預金、保険、投資信託等の販売・勧誘の業務

・ 市場が開いている時間は市場に張り付くよう使用者から指示され、実際に張り付いていなければならない業務

・ 使用者から指示された取引額・取引量を処理するためには取引を継続し続けなければならない業務

・ 金融以外の事業を営む会社における自社資産の管理、運用の業務

 (ハ) 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務

① 対象業務となり得る業務の例

・ 特定の業界の中長期的な企業価値予測について調査分析を行い、その結果に基づき、推奨銘柄について投資判断に資するレポートを作成する業務

② 対象業務となり得ない業務の例

・ 一定の時間を設定して行う相談業務

・ 専ら分析のためのデータ入力又は整理を行う業務

 (ニ) 顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務

① 対象業務となり得る業務の例

・ コンサルティング会社において行う顧客の海外事業展開に関する戦略企画の考案の業務

② 対象業務となり得ない業務の例

・ 調査又は分析のみを行う業務

・ 調査又は分析を行わず、助言のみを行う業務

・ 専ら時間配分を顧客の都合に合わせざるを得ない相談業務

・ 個人顧客を対象とする助言の業務

・ 商品・サービスの営業・販売として行う業務

・ 上席の指示やシフトに拘束され、働く時間帯の選択や時間配分に裁量が認められない形態でチームのメンバーとして行う業務

・ サプライヤーが代理店に対して行う助言又は指導の業務

 (ホ) 新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務

① 対象業務となり得る業務の例

・ メーカーにおいて行う要素技術の研究の業務
・ 製薬企業において行う新薬の上市に向けた承認申請のための候補物質の探索や合成、絞り込みの業務
・ 既存の技術等を組み合わせて応用することによって新たな価値を生み出す研究開発の業務
・ 特許等の取得につながり得る研究開発の業務

② 対象業務となり得ない業務の例

・ 作業工程、作業手順等の日々のスケジュールが使用者からの指示により定められ、そのスケジュールに従わなければならない業務
・ 既存の商品やサービスにとどまり、技術的改善を伴わない業務
・ 既存の技術等の単なる組合せにとどまり、新たな価値を生み出すものではない業務
・ 他社のシステムの単なる導入にとどまり、導入に当たり自らの研究開発による技術的改善を伴わない業務
・ 専門的、科学的な知識、技術がなくても行い得る既存の生産工程の維持・改善の業務
・ 完成品の検査や品質管理を行う業務
・ 研究開発に関する権利取得に係る事務のみを行う業務
・ 生産工程に従事する者に対する既知の技術の指導の業務
・ 上席の研究員の指示に基づく実験材料の調達や実験準備の業務

 

ハ 対象業務について「当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示(業務量に比して著しく短い期限の設定その他の実質的に当該業務に従事する時間に関する指示と認められるものを含む。)を受けて行うものを除く」とされていることに関し、高度プロフェッショナル制度が適用されている場合であっても、当該具体的な指示に該当するもの以外については、使用者は、対象労働者に対し必要な指示をすることは可能である。したがって、使用者が対象労働者に対し業務の開始時に当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、中途において経過の報告を受けつつこれらの基本的事項について所要の変更の指示をすることは可能である。また、使用者は、対象労働者の上司に対し、業務に従事する時間に関し具体的な指示を行うことはできないこと等高度プロフェッショナル制度の内容に関し必要な管理者教育を行うことが必要である。

2 法第41条の2第1項第2号に掲げる事項関係

⑴ 当該事項に関し具体的に明らかにする事項

イ 対象労働者は、次の(イ)及び(ロ)に掲げる要件のいずれにも該当するものである。

(イ) 職務が明確に定められていること。
法第41条の2第1項第2号イの「職務が明確に定められている」とは、当該対象労働者の業務の内容、責任の程度及び職務において求められる成果その他の職務を遂行するに当たって求められる水準(以下「職務の内容」という。)が具体的に定められており、当該対象労働者の職務の内容とそれ以外の職務の内容との区別が客観的になされていることをいう。したがって、例えば、業務の内容が抽象的に定められており、使用者の一方的な指示により業務を追加することができるものは、職務が明確に定められているとはいえない。
また、職務を定めるに当たり、働き方の裁量を失わせるような業務量や成果を求めるものではないことが必要である。
さらに、職務の内容を変更する場合には再度合意を得ることが必要であり、その場合であっても職務の内容の変更は対象業務の範囲内に限られるものである。

(ロ) 法第41条の2第1項第2号ロに規定する要件を満たしていること。
法第41条の2第1項第2号ロの「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額」とは、個別の労働契約又は就業規則等において、名称の如何にかかわらず、あらかじめ具体的な額をもって支払われることが約束され、支払われることが確実に見込まれる賃金は全て含まれるものである。
したがって、労働者の勤務成績、成果等に応じて支払われる賞与や業績給等、その支給額があらかじめ確定されていないものは含まれないものである。ただし、賞与や業績給でもいわゆる最低保障額が定められ、その最低保障額については支払われることが確実に見込まれる場合には、その最低保障額は含まれるものである。また、一定の具体的な額をもって支払うことが約束されている手当は含まれるが、支給額が減少し得る手当は含まれないものである。

ロ 対象労働者について決議するに当たり、法第41条の2第1項第2号に掲げる労働者の範囲を明らかにすることが必要である。また、対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが原則であり、対象業務以外の業務にも常態として従事している者は対象労働者とはならない。

⑵ 留意事項

イ 職務を定めるに当たり、使用者及び労働者は、職務において求められる成果その他の職務を遂行するに当たって求められる水準を客観的なものとすることが望ましい。

ロ 労使委員会において、法第41条の2第1項第2号に掲げる労働者の範囲について決議するに当たり、委員は、事業場の実態や対象業務の性質等に応じて当該範囲を定めることが適当である。

例えば、当該範囲を一定の職務経験年数や資格を有する労働者に限ることを決議で定めることや、則第34条の2第6項に定める額よりも高い額を年収要件として決議で定めることも可能である。

3 法第41条の2第1項第3号に掲げる事項関係

⑴ 当該事項に関し具体的に明らかにする事項

決議に際して、法第41条の2第1項第3号に規定する健康管理時間(労使委員会が同号の決議により健康管理時間から除くこととした時間を含む。)を把握する方法について、当該事業場の実態に応じて適切なものを具体的に明らかにするとともに、当該方法は次のいずれにも該当するものとすることが必要である。

イ 法第41条の2第1項第3号の「事業場内にいた時間」を把握する方法が、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法であること。

ここでいう「客観的な方法」については、例えば、次に掲げるものを基礎とした出退勤時刻又は入退室時刻の記録が該当する。

① タイムレコーダーによるタイムカードへの打刻記録

② パーソナルコンピュータ内の勤怠管理システムへのログイン・ログアウト記録

③ ICカードによる出退勤時刻又は事業場への入退場時刻の記録

ロ 法第41条の2第1項第3号の「事業場外において労働した時間」を把握する方法が、イと同様に客観的な方法であること。

客観的な方法によることができないやむを得ない理由がある場合には、対象労働者による自己申告により把握することを明らかにすることが認められる。ここでいう「やむを得ない理由」については、対象労働者による自己申告によりその事業場外において労働した時間を把握せざるを得ない理由として具体的に示されている必要があり、例えば、次に掲げるものが考えられる。

① 顧客先に直行直帰し、勤怠管理システムへのログイン・ログアウト等もできないこと。

② 事業場外において、資料の閲覧等パーソナルコンピュータを使用しない作業を行うなど、勤怠管理システムへのログイン・ログアウト等もできないこと。

③ 海外出張等勤怠管理システムへのログイン・ログアウト等が常時できない状況にあること。

ハ 法第41条の2第1項第3号の「事業場内にいた時間」から同号の「厚生労働省令で定める労働時間以外の時間」を除くことを決議する場合には、除くこととする時間の内容や性質を具体的に明らかにするとともに、当該除くこととする時間を把握する方法が、イと同様に客観的な方法であること。

この除くこととする時間について、手待ち時間を含めることや一定時間数を一律に除くことは認められない。

ニ 健康管理時間を把握するに当たっては、対象労働者ごとに、日々の健康管理時間の始期及び終期並びにそれに基づく健康管理時間の時間数が記録されており、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条の8の4第1項の規定による医師の面接指導を適切に実施するため、使用者は、少なくとも1箇月当たりの健康管理時間の時間数の合計を把握すること。

ロの対象労働者による自己申告により、複数の日についてまとめて把握する場合であっても、日々及び1箇月当たりの健康管理時間は明らかにされなければならない。

⑵ 留意事項

イ 委員は、⑴ニの記録方法とすることを決議で定めることが適当である。

ロ 健康管理時間の記録について、使用者は、対象労働者から求めがあれば、当該対象労働者に開示することが必要である。したがって、委員は、健康管理時間の開示の手続を決議に含めることが必要である。

ハ 使用者は、対象労働者の健康管理時間の状況を把握する際、対象労働者からの健康状態についての申告、健康状態についての上司による定期的なヒアリング等に基づき、対象労働者の健康状態を把握することが望ましい。このため、委員は、法第41条の2第1項第4号から第6号までに規定する措置を講ずる前提として、使用者が対象労働者の健康管理時間の状況と併せてその健康状態を把握することを決議に含めることが望ましい。

4 法第41条の2第1項第4号に掲げる事項関係

⑴ 当該事項に関し具体的に明らかにする事項

イ 決議に際し、対象労働者の休日の取得の手続の具体的内容を明らかにすることが必要である。

ロ 1年間を通じ104日以上の休日について、対象労働者に与えることができないことが確定した時点から、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果は生じない。また、1年間を通じ104日以上の休日及び4週間を通じ4日以上の休日の起算日は、高度プロフェッショナル制度の適用の開始日となる。

⑵ 留意事項

イ 適切に休日を取得することが疲労の蓄積を防止する観点から重要であり、確実に休日を取得するため、対象労働者が、あらかじめ年間の休日の取得予定を決定し、使用者に通知すること及び休日の取得の状況を使用者に明らかにすることが望ましい。

ロ 使用者は、疲労の蓄積を防止する観点から、長期間の連続勤務とならないよう休日を適切に取得することが重要であることについて、対象労働者にあらかじめ周知することが望ましい。

5 法第41条の2第1項第5号に掲げる事項関係

⑴ 当該事項に関し具体的に明らかにする事項

決議に際し、法第41条の2第1項第5号に規定する措置(以下「選択的措置」という。)について、同号イからニまでに掲げる措置のうちいずれの措置をどのように講ずるかを具体的に明らかにすることが必要である。

⑵ 留意事項

イ 委員は、法第41条の2第1項第5号に掲げる事項に関し決議するに当たり、同号イからニまでに掲げる措置のいずれの措置を講ずることとするかについて、対象となり得る労働者の意見を聴くことが望ましい。

ロ 対象事業場(対象業務が存在する事業場をいう。以下同じ。)に複数の対象業務が存在する場合、委員は、当該対象業務の性質等に応じて、対象業務ごとに選択的措置を決議することが望ましい。

ハ 選択的措置として法第41条の2第1項第5号ニに掲げる健康診断の実施を決議した場合には、使用者は、これを労働者に確実に受けさせるようにするとともに、健康診断の結果の記録、健康診断の結果に基づく当該対象労働者の健康を保持するために必要な措置に関する医師の意見の聴取、当該医師の意見を勘案した適切な措置等を講ずることが必要である。

6 法第41条の2第1項第6号に掲げる事項関係

⑴ 当該事項に関し具体的に明らかにする事項

イ 決議に際し、法第41条の2第1項第6号に規定する措置(以下「健康・福祉確保措置」という。)について、則第34条の2第14項に規定する措置のうちいずれの措置をどのように講ずるかを具体的に明らかにすることが必要である。

ロ 対象労働者については、使用者が対象業務に従事する時間に関する具体的な指示を行わないこととされているが、使用者は、このために当該対象労働者について、労働契約法(平成19年法律第128号)第5条の規定に基づく安全配慮義務を免れるものではない。

⑵ 留意事項

委員は、把握した対象労働者の健康管理時間及びその健康状態に応じて、対象労働者への高度プロフェッショナル制度の適用について必要な見直しを行うことを決議に含めることが望ましい。例えば、健康管理時間が一定時間を超えた労働者については高度プロフェッショナル制度を適用しないこととすることなどが考えられる。

7 法第41条の2第1項第7号に掲げる事項関係

⑴ 当該事項に関し具体的に明らかにする事項

イ 決議に際し、法第41条の2第1項第7号の「同意の撤回に関する手続」について、撤回の申出先となる部署及び担当者、撤回の申出の方法等その具体的内容を明らかにすることが必要である。

ロ 使用者は、本人同意を撤回した場合の配置及び処遇について、本人同意を撤回した対象労働者をそのことを理由として不利益に取り扱ってはならない。

ハ 本人同意の撤回を申し出た対象労働者については、その時点から高度プロフェッショナル制度の法律上の効果は生じない。

⑵ 留意事項

委員は、本人同意を撤回した場合の撤回後の配置及び処遇又はその決定方法について、あらかじめ決議で定めておくことが望ましい。当該撤回後の配置及び処遇又はその決定方法については、使用者が意図的に制度の要件を満たさなかった場合等本人同意の撤回に当たらない場合には適用されないよう定めることが適当である。

8 法第41条の2第1項第8号に掲げる事項関係

⑴ 当該事項に関し具体的に明らかにする事項

決議に際し、法第41条の2第1項第8号の対象業務に従事する対象労働者からの苦情の処理に関する措置(以下「苦情処理措置」という。)について、苦情の申出先となる部署及び担当者、取り扱う苦情の範囲、処理の手順、方法等その具体的内容を明らかにすることが必要である。

⑵ 留意事項

イ 労使委員会において、苦情処理措置について決議するに当たり、委員は、使用者や人事担当者以外の者を申出先となる担当者とすること等の工夫により、対象労働者が苦情を申し出やすい仕組みとすることが適当である。

ロ 取り扱う苦情の範囲については、委員は、高度プロフェッショナル制度の実施に関する苦情のみならず、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度等高度プロフェッショナル制度に付随する事項に関する苦情も含むものとすることが適当である。

ハ 苦情処理措置として、労使委員会が事業場において実施されている苦情処理制度を利用することを決議した場合には、使用者は、対象労働者にその旨を周知するとともに、当該実施されている苦情処理制度が高度プロフェッショナル制度の運用の実態に応じて機能するよう配慮することが適当である。

9 法第41条の2第1項第9号に掲げる事項関係

使用者は、本人同意をしなかった場合の配置及び処遇について、本人同意をしなかった労働者をそのことを理由として不利益に取り扱ってはならない。

10 法第41条の2第1項第10号に掲げる事項関係

⑴ 当該事項に関し具体的に明らかにする事項

法第41条の2第1項第10号に規定する「前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項」として、則第34条の2第15項第1号から第4号までにおいて、次の事項が労使委員会の決議事項として定められている。

イ 決議の有効期間の定め及び当該決議は再度決議をしない限り更新されない旨

ロ 労使委員会の開催頻度及び開催時期

ハ 常時50人未満の労働者を使用する事業場である場合には、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師を選任すること。

ニ 本人同意及びその撤回、合意に基づき定められた職務の内容、支払われると見込まれる賃金の額、健康管理時間の状況、法第41条の2第1項第4号に規定する措置(以下「休日確保措置」という。)、選択的措置、健康・福祉確保措置及び苦情処理措置の実施状況に関する対象労働者ごとの記録並びにハの選任に関する記録を、イの有効期間中及びその満了後3年間保存すること。

⑵ 留意事項

イ 委員は、⑴イの有効期間について、1年とすることが望ましい。

ロ ⑴ロの開催頻度及び開催時期について、法第41条の2第2項の規定による報告の内容に関し労使委員会において調査審議し、必要に応じて決議を見直す観点から、少なくとも6箇月に1回、当該報告を行う時期に開催することとすることが必要である。また、委員は、決議を行った後に当該決議の内容に関連して生じた当該決議の時点では予見し得なかった事情の変化に対応するため、委員の半数以上から決議の変更等のための労使委員会の開催の申出があった場合は、⑴イの有効期間の中途であっても決議の変更等のための調査審議を行うものとすることを決議において定めることが適当である。

11 その他決議に関する事項

労使委員会が決議を行うに当たっては、委員が、高度プロフェッショナル制度の適用を受ける対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容を十分理解した上で、行うことが重要である。

このため、労使委員会が決議を行うに先立ち、使用者は、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容について、労使委員会に対し、十分に説明することが適当である。また、委員は、使用者がこれらの制度を変更しようとする場合にあっては労使委員会に対し事前に変更内容の説明をするものとすることを労使委員会において決議することが適当である。

第4 労使委員会の要件等労使委員会に関する事項

労使委員会の要件等に関し対象事業場の使用者並びに当該事業場の労働者、労働組合及び労働者の過半数を代表する者並びに委員が留意すべき事項等は、次のとおりである。

1 労使委員会の設置に先立つ話合い

対象事業場の使用者及び労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)又は労働組合は、法第41条の2第1項の規定により労使委員会が設置されるに先立ち、設置に係る日程、手順、使用者による一定の便宜の供与がなされる場合にあってはその在り方等について十分に話し合い、定めておくことが望ましい。その際、委員の半数について同条第3項において準用する法第38条の4第2項第1号に規定する指名(以下「委員指名」という。)の手続を経なければならないことに鑑み、これらの手続を適切に実施できるようにする観点から話合いがなされることが望ましい。特に、同号に規定する労働者の過半数で組織する労働組合がない場合において、使用者は、過半数代表者が必要な手続を円滑に実施できるよう十分に話し合い、必要な配慮を行うことが適当である。

なお、過半数代表者が適正に選出されていない場合や監督又は管理の地位にある者について委員指名が行われている場合は当該労使委員会による決議は無効であり、過半数代表者は則第6条の2第1項各号に該当するよう適正に選出されている必要がある。また、労使を代表する委員それぞれ1名計2名で構成される委員会は労使委員会として認められない。

2 法第41条の2第1項及び関係省令に基づく労使委員会の運営規程

⑴ 労使委員会の要件として、則第34条の2の3において準用する則第24条の2の4において、労使委員会の招集、定足数、議事その他労使委員会の運営について必要な事項に関する規程(以下「運営規程」という。)が定められていること、使用者は運営規程の作成又は変更について労使委員会の同意を得なければならないこと等が規定されている。この運営規程には、労使委員会の招集に関する事項として決議の調査審議のための委員会、決議に係る有効期間中における制度の運用状況の調査審議のための委員会等定例として予定されている委員会の開催に関すること及び必要に応じて開催される委員会の開催に関することを、議事に関する事項として議長の選出に関すること及び決議の方法に関することを、それぞれ規定することが適当である。

⑵ 運営規程において、定足数に関する事項を規定するに当たっては、労使委員会が決議をする場合の委員の5分の4以上の多数による議決とは、労使委員会に出席した委員の5分の4以上の多数による議決で足りるものであることに鑑み、全委員に係る定足数のほか、労使を代表する委員それぞれについて一定割合又は一定数以上の出席を必要とし、これらを満たさない場合には議決できないことを定めることが適当である。

3 労使委員会に対する使用者による情報の開示

⑴ 決議が適切に行われるため、使用者は、労使委員会に対し、決議のための調査審議をする場合には、第3の11において使用者が労使委員会に対し十分に説明するものとすることが適当であるとされている対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容に加え、高度プロフェッショナル制度が適用されることとなった場合における対象業務の具体的内容を開示することが適当である。

⑵ 委員が、当該対象事業場における高度プロフェッショナル制度の実施状況に関する情報を十分に把握するため、使用者は、労使委員会に対し、健康管理時間の状況、休日確保措置の実施状況、選択的措置の実施状況、健康・福祉確保措置の実施状況、苦情処理措置の実施状況及び労使委員会の開催状況を開示することが適当である。

なお、対象労働者からの苦情の内容及びその処理状況を労使委員会に開示するに当たっては、使用者は対象労働者のプライバシーの保護に十分留意することが必要である。

⑶ 運営規程においては、使用者が開示すべき情報の範囲、開示手続、開示が行われる労使委員会の開催時期等必要な事項を定めておくことが適当である。

使用者が開示すべき情報の範囲を定めるに当たっては、健康管理時間の状況や休日確保措置の実施状況に関し使用者が開示すべき情報の範囲について、対象労働者全体の平均値だけではなく、その分布を示すなど対象労働者の個別の状況が明らかになるものとすることが適当である。

4 労使委員会と労働組合等との関係

⑴ 労使委員会は、法第41条の2第1項において「賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会」とされている。この労働条件に関する事項についての労使委員会による調査審議は、決議に基づく高度プロフェッショナル制度の適正な実施を図る観点から行われるものであり、労働組合の有する団体交渉権を制約するものではない。

このため、運営規程においては、労使委員会と労働組合又は労働条件に関する事項を調査審議する労使協議機関との関係を明らかにしておくため、それらと協議の上、労使委員会の調査審議事項の範囲を定めておくことが適当である。

⑵ 法第41条の2第3項において準用する法第38条の4第5項の規定に基づき、労使委員会において、委員の5分の4以上の多数による議決により同項に掲げる規定(以下「特定条項」という。)において労使協定に委ねられている事項について決議した場合には、当該労使委員会の決議をもって特定条項に基づく労使協定に代えることができることとされている。

このため、運営規程においては、労使委員会と特定条項に係る労使協定の締結当事者となり得る労働組合又は過半数代表者との関係を明らかにしておくため、これらと協議の上、労使委員会が特定条項のうち労使協定に代えて決議を行うこととする規定の範囲を定めておくことが適当である。

 

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格(旧上級)コース」を担当致しております。
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