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みなさん、こんにちは。

公的年金の支給額を抑える「マクロ経済スライド」が2020年度(令和2年度)に発動することが明らかになりました。
発動は、2005年度の制度スタート以来、2015年度、2019年度に続き3回目です。

マクロ経済スライドとは、少子高齢化の進展に応じて、年金額の伸びを抑制し、将来世代の給付水準を維持するためのものです。

まる子「マクロ経済スライドって何?」
友蔵「まる子がおばあちゃんになったとき年金をもらえるように、ワシたちの年金をちょっと減らして、貯金しておく仕組みじゃ」
ま「まる子へのお小遣いってことかな?」
友「そうじゃよかわいいまる子へのお小遣いじゃ」
ま「それなら今欲しいねシシシ」
友「・・」

賃金水準や物価水準が上昇時に、マクロ経済スライドは発動します。
制度制定以来、デフレ基調が続き発動条件を満たさない年が多かったのですが、この2年は連続で発動しています。

2015、2019年度は、前年度の消費税引上げによる物価上昇が要因となりましたが、今回も物価上昇の寄与した部分が大きいです。

その詳細をまとめます。

2020年(令和2年度)の年金額はいくら?

総務省から、1月24日、「平成30年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)が公表されました。
これを踏まえ、令和2年度の年金額は、法律の規定により、0.2%プラスで改定されます。

結果、老齢基礎年金の満額は、次の通りとなります。

781,700円(780,900円×1.001=781,680.9円→781,700円)
年金の端数処理の仕方はこちら

改定率が1倍を超えたのは初めてのような気がします。

まる子「なんで、780,900円×改定率なんて計算するの?わたしゃ、かけ算は苦手だよ」
 友蔵「昔は法律に直接年金額を明記しておったのじゃが、改定の都度、法改正で国会通すのが面倒だったのじゃよ。だから、法律には、計算式だけ明記して、自動改定する仕組みにしたんじゃ」

月額の場合は次のとおりです。

国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分)→65,141

厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)→220,724 円

 

年金額の改定ルール

年金額の改定は、物価変動率、名目手取り賃金変動率がともにプラスで、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合には、年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともに名目手取り賃金変動率を用いることが法律により定められています。

まる子「なんでお給料をもとにするの?物価の方が高いよね?」
友蔵「ワシの年金は、ヒロシの給料から払われているからじゃ。ヒロシの給料があんまり上がっていないのに、ワシの年金が増えすぎると、ヒロシのこづかいがへって、新しい釣具も買えんじゃろ」
まる子「お父さんの給料はあんま上がらないからね~」
ヒロシ「うん?オレの給料がなんだって?」

下の図表の6パターンのうち、⑥にあたります。

今回、年金額改定に用いる物価変動率(0.5%)が名目手取り賃金変動率(0.3%)よりも高いため、新規裁定年金・既裁定年金ともに名目手取り賃金変動率(0.3%)を用います。

さらに令和2年度は、名目手取り賃金変動率(0.3%)にマクロ経済スライドによるスライド調整率(▲0.1%)が乗じられることになり、改定率は0.2%プラスとなります。

まる子「なんか毎月勤労統計ってやつで毎日大騒ぎだけど、おじいちゃんがもらっている年金にも関係があるの?」
友蔵「それが関係ないんじゃよ。」
まる子「なんで?」
友蔵「マクロ経済スライドで用いる名目手取り賃金変動率は、毎月勤労統計のデータではなく、標準報酬の平均額で算定しているからじゃよ」

条文上の表現にすると、前年度の改定率×(名目手取り賃金変動率×調整率×前年度の特別調整率)で計算します。

数字を当てはめると、

平成31年の改定率(0.999)×(名目手取り賃金変動率(1.003)×調整率(0.999

【計算式】
0.999×(1.003×0.999)=0.999×1.002=1.001

すなわち、マクロ経済スライドの仕組みがなければ、年金額は0.3%増えていたところ、マクロ経済スライドの仕組みにより、▲0.1%とされた結果、0.2%増に”伸びが抑制”された、ということです。

年金額は、毎年度50兆円。
単純計算で50兆円×0.1%=500億円の支出抑制につながることになります。

令和2年度の参考指標

・物価変動率・・・0.5%

・名目手取り賃金変動率・・・0.3%

物価変動率(0.5%・2019の値)×実質賃金変動率(▲0.1%・2016~2018年度の平均)×可処分所得割合変化率(▲0.1%・2017年度の値)

「名目手取り賃金変動率」とは、前年の物価変動率に2年度前から4年度前までの3年度平均の実質賃金変動率と可処分所得割合変化率を乗じたものです。

・マクロ経済スライドによるスライド調整率・・・▲0.1%

マクロ経済スライドによるスライド調整率(▲0.1%)=公的年金被保険者数の変動率(0.2%・2016~2018年度の平均)×平均余命の伸び率(▲0.3%・定率)

「マクロ経済スライド」とは、公的年金被保険者の減少と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率が設定され、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するものです。この仕組みは、平成16年の年金制度改正において導入されたもので、マクロ経済スライドによる調整を計画的に実施することは、将来世代の年金の給付水準を確保することにつながります。

・前年度までのマクロ経済スライドの未調整分・・・▲0.3%

「マクロ経済スライドの未調整分」とは、マクロ経済スライドによって前年度よりも年金の名目額を下げないという措置は維持した上で、調整しきれずに翌年度以降に繰り越された未調整分を指します。
この仕組みは、平成28年の年金制度改正において導入されたもので、マクロ経済スライドによる調整を将来世代に先送りせず、できる限り早期に調整することにより、将来世代の給付水準を確保することにつながります。

2021年度(令和3年度)から年金額はいくらになる?

年金額の改定ルールは、賃金>物価(賃金上昇が物価上昇を上回る)を想定して、

・新規裁定→賃金スライド
・既裁定→物価スライド

となっています。

しかし、現実にはそうなった試しがありません。
世の中、物価>賃金(物価上昇が賃金上昇を上回る)という状況が続いているためです。

今後、短時間労働者の適用拡大が進み、実質賃金の押し下げ傾向が続くと考えると、これからも「物価>賃金」基調で推移する可能性が高いです。

この、 「物価>賃金」の場合の年金額の改定ルールが令和3年度から変わる。

「物価>賃金」の場合、現役世代の負担増を抑えるため、賃金水準の変動に”完全”に連動させる形になります。

比較画像を御覧ください。

例えば、物価上昇>0>賃金下落の場合。

・現在→改定なし
受け手「物価上がったから生活が大変。年金増やしてほしい」
支え手「給料減ったから生活が大変。年金減らしてほしい」
政府「間をとって増減なしとします」

・令和3年度~→賃金下落分と連動させる

以上を踏まえると、2021年度(令和3年度)の年金額は、いくらになるのか。

日銀展望による2020年度(年金は”年”の指数だが)の消費者物価の上昇率見通しは1.0%。

実質賃金は、短時間労働者への適用拡大が一層進むと考えると上昇は考えづらい。
▲0.1%くらいか。

となれば、2021年度も「物価>賃金」構造となり、「賃金スライド」が適用される可能性が高い。

可処分所得割合変化率は、厚生年金保険保険料の引き上げが完了したので多分ゼロ。

そして、名目手取り賃金変動率は、物価変動率(1.0%)×実質賃金変動率▲(0.1%)×可処分所得割合変化率(0)で計算→0.9%。

マクロ経済スライド調整率は、公的年金被保険者数変動率×▲0.3%(平均余命の伸び・固定)
短時間労働者への適用拡大で、公的年金被保険者の数は0.2%くらいか。
とすると、0.2%×▲0.3%で、2020年度と同じ▲0.1%

結果、0.9%が▲0.1%されて、2021年度の年金額は0.8%増。

正解は来年1月中旬発表!

 

マクロ経済スライドをわかりやすく解説した動画

マクロ経済スライドについてのゼロから知りたい方はこちらの動画がオススメです。

 

国民年金保険料について

国民年金の保険料は、平成16年の制度改正により、毎年段階的に引き上げられてきましたが、平成29年度に上限(平成16年度価格水準で16,900円)に達し、引き上げが完了しました。

その上で、平成31年4月から、次世代育成支援のため、国民年金第1号被保険者(自営業の方など)に対して、産前産後期間の保険料免除制度が施行されることに伴い、令和元年度分より、平成16年度価格水準で、保険料が月額100円引き上がり17,000円となりました。

実際の保険料額は、平成16年度価格水準を維持するため、国民年金法第87条第3項の規定により、名目賃金の変動に応じて毎年度改定され、以下のとおりとなります。

  令和2年度 令和3年度
法律に規定された保険料額 17,000円 17,000円
実際の保険料額 16,540円 16,610円

在職老齢年金について

令和2年度の在職老齢年金の支給停止調整変更額などについては、令和元年度から変更ありません。

60歳台前半の在職老齢年金は、厚生年金保険法附則第11条に規定されており、令和2年度の場合でいうと、賃金(賞与込み月収。以下同じ)と年金の合計額が、支給停止調整開始額(28万円)を上回る場合には、賃金の増加2に対し年金額を1支給停止し、賃金が支給停止調整変更額(47万円)を上回る場合には、増加した分だけ年金を支給停止します。

60歳台後半と70歳以降の在職老齢年金については、厚生年金保険法第46条に規定されており、賃金と年金の合計額が、支給停止調整額(47万円)を上回る場合には、賃金の増加2に対し年金額を1支給停止します。

支給停止調整開始額(28万円)は新規裁定者の年金額の改定に応じて、支給停止調整(変更)額(47万円)については名目賃金の変動に応じて、それぞれ改定することが法律に規定されています。

  令和元年度 令和2年度
60歳台前半(60歳~64歳)の
支給停止調整開始額
28万円 28万円
60歳台前半(60歳~64歳)の
支給停止調整変更額
47万円 47万円
60歳台後半(65歳~69歳)と
70 歳以降の支給停止調整額
47万円 47万円

 

まとめ

・2020年度の年金額は0.2%増。

・物価>賃金>0のため、賃金変動率をベースに計算。

・マクロ経済スライドが3回目の発動。

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格(旧上級)コース」を担当致しております。
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