皆さん、こんにちは。

2019年社会保険労務士試験の解答・解説です。

手早く論点確認をして頂けるように、問題・解答を併記しています。

問題文の「ここをみれば正誤判断ができる」という部分にマーカーを引いています。

正しい対応関係にはこの色のマーカー誤っている対応関係にはこの色のマーカーをつけています。

正解率は、大原採点サービスをご利用の方の率です。

今回は健康保険法です。

健康保険法

〔問 1〕正解率50%台

保険者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

Cは途中まで◯な感じなので、×判定しづらい。

A 全国健康保険協会(以下本問において「協会」という。)と協会の理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は代表権を有しない。この場合には、協会の監事協会を代表することとされている。

正しい。◯っぽいとしかいえない。

B 保険者等は被保険者の資格の取得及び喪失の確認又は標準報酬の決定若しくは改定を行ったときは、当該被保険者に係る適用事業所の事業主にその旨を通知し、この通知を受けた事業主は速やかにこれを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。

正しい。◯っぽいとしかいえない。

C 健康保険組合の理事の定数偶数とし、その半数は健康保険組合が設立された適用事業所(以下「設立事業所」という。)の事業主の選定した組合会議員において、他の半数は被保険者である組合員の互選した組合会議員において、それぞれ互選する。理事のうち1人を理事長とし、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから、事業主が選定する。

誤り。理事長→理事が選挙する(理事長は事業主が選定する×)。さんざん読ませといて、最後の最後で×。

D 協会の理事長、理事及び監事の任期は3年、協会の運営委員会の委員の任期は2年とされている。

正しい。任期は覚えるのきつい。「大体3年」では駄目?

E 協会は、毎事業年度、財務諸表を作成し、これに当該事業年度の事業報告書及び決算報告書を添え、監事及び厚生労働大臣が選任する会計監査人の意見を付けて、決算完結後2か月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

正しい。
【協会の財務会計日程】
・事業計画及び予算→年度開始前に厚生労働大臣の認可
・決算→5月31日までに完結
・決算報告書→決算完結後2か月以内に厚生労働大臣に提出+承認を受ける

 

〔問 2〕正解率40%台

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

合格者(男性)

Dで仕留めたいが、Cで悩む。

A 被保険者の資格を取得した際に決定された標準報酬月額は、その年の6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年9月までの各月の標準報酬月額とする。

誤り。
【有効期間】
・資格取得が1月1日~5月31日→その年の8月まで
・資格取得が6月1日~12月31日→翌年の8月まで

B 67歳被扶養者保険医療機関である病院の療養病床に入院し、療養の給付と併せて生活療養を受けた場合、被保険者に対して入院時生活療養費が支給される。

誤り。65歳以上+療養病床
・被保険者が受けると→被保険者に対して入院時生活療養費
・被扶養者が受けると→被保険者に対して家族療養費

C 保険者は、訪問看護療養費の支給を行うことが困難であると認めるときは、療養費を支給することができる。

誤り。療養費の対象→「療養の給付若しくは入院時食事療養費入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給」を行うことが困難であると認めるとき等。
「訪問看護療養費」は在宅者のサービスという性格上、療養費の対象とならない。

D 標準報酬月額が28万円以上53万円未満である74歳の被保険者で高額療養費多数回該当に当たる者であって、健康保険の高額療養費算定基準額が44,400円である者が、月の初日以外の日において75歳に達し、後期高齢者医療制度の被保険者の資格を取得したことにより、健康保険の被保険者資格を喪失したとき、当該月における外来診療に係る個人単位の健康保険の高額療養費算定基準額は22,200円とされている。

正しい。75歳到達月は、健保と後期高齢者医療の両方が適用されるため、半額になる。

E 被保険者が死亡したときは、埋葬を行う者に対して、埋葬料として5万円を支給するが、その対象者は当該被保険者と同一世帯であった者に限られる。

誤り。埋葬料の支給対象→生計を維持していた者(同一世帯であった者×)

 

〔問 3〕正解率50%台

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

Eで仕留めたいが、みんなの苦手「高額介護合算療養費」ということもあり、正解率は高くない。

A 国に使用される被保険者であって、健康保険法の給付の種類及び程度以上である共済組合の組合員であるものに対しては、同法による保険給付を行わない

正しい。共済の組合員は健保の被保険者であるが、事実上は共済の掛け金を払い、共済から給付を受けており、実質的には除外されている。

B 保険料徴収の対象となる賞与とは、いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として3か月を超える期間ごとに支給されるものをいうが、6か月ごとに支給される通勤手当は、賞与ではなく報酬とされる。

正しい。
【通勤費】
・通勤手当→報酬○
・年4回以上支給されない通勤費→報酬○
・6か月ごとに支給される定期券→報酬○
※通勤費関係→とにかく報酬○

C 保険者から一部負担金等の徴収猶予又は減免の措置を受けた被保険者が、その証明書を提出して保険医療機関で療養の給付を受けた場合、保険医療機関は徴収猶予又は減免された一部負担金等相当額については、審査支払機関に請求することとされている。

正しい。
例えば、3割負担の場合、7割部分が、保険者から審査支払機関(診療報酬支払基金等)を経由して、保険医療機関に支払われる。請求先は審査支払機関。
したがって、2割負担に減免された場合、8割部分が、保険者から審査支払機関(診療報酬支払基金等)を経由して、保険医療機関に支払われる。請求先は審査支払機関。

D 被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。保険外併用療養費の支給対象となる先進医療の実施に当たっては、先進医療ごとに、保険医療機関が別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合していることを地方厚生局長又は地方厚生支局長に届け出るものとされている。

正しい。「保険外併用療養費を支給する。」で終わらず、さらに文章が続くタイプの問題で悩ませる。

E 高額介護合算療養費は、一部負担金等の額並びに介護保険の介護サービス利用者負担額及び介護予防サービス利用者負担額の合計額が著しく高額である場合に支給されるが、介護保険から高額医療合算介護サービス費又は高額医療合算介護予防サービス費が支給される場合には支給されない

誤り。負担額を按分して、健康保険負担分は高額介護合算療養費、介護保険負担分は高額医療合算介護サービス費等として、それぞれ支給される。

 

〔問 4〕正解率40%台

健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

合格者(男性)

正解の組み合わせは基本論点も、未出題論点で揺らぶられる

ア 代表者が1人法人の事業所であって、代表者以外に従業員を雇用していないものについては、適用事業所とはならない

誤り。法人は必ず強制。社長も被保険者。

イ 厚生労働大臣は、保険医療機関の指定をしないこととするときは、当該医療機関に対し弁明の機会を与えなければならない。

正しい。◯っぽいとしか。

ウ 出産手当金を受ける権利は、出産した日の翌日から起算して2年を経過したときは、時効によって消滅する。

誤り。
【消滅時効の起算日】
・出産手当金→労務に服さなかった日ごとにその翌日から
・出産育児一時金→出産した日の翌日から

エ 傷病手当金一部制限については、療養の指揮に従わない情状によって画一的な取扱いをすることは困難と認められるが、制限事由に該当した日以後において請求を受けた傷病手当金の請求期間1か月について概ね10日間を標準として不支給の決定をなすこととされている。

正しい。「へ~そうなんだ」としかいえない。

オ 政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の承認を受けた健康保険組合は、介護保険第2号被保険者である被保険者に関する保険料額を、一般保険料額と特別介護保険料額との合算額とすることができる。

正しい。承認健康保険組合→介護保険料の定額制(特別介護保険料額)が可能。

 

A(アとイ)B(アとウ)C(イとエ)D(ウとオ)E(エとオ)

 

〔問 5〕正解率40%台

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

「Cで×、次の問題へ、」になってしまう問題

A 労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)の任意適用事業所に使用される被保険者に係る通勤災害について、労災保険の保険関係成立の日前に発生したものであるときは、健康保険により給付する。ただし、事業主の申請により、保険関係成立の日から労災保険の通勤災害の給付が行われる場合は、健康保険の給付は行われない。

正しい。通勤災害は業務災害以外の災害→健康保険の給付対象→しかし、労災から給付がでる場合は健保から給付しない、という関係。
したがって、通勤災害につき労災から給付がでない場合は、健保から給付がでる。

B 健康保険法の被扶養者には、被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるもの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するものを含む。

正しい。
・被保険者の事実上の配偶者の父母及び子→生計維持&同居なら被扶養者。

C 被扶養者としての届出に係る者(以下「認定対象者」という。)が被保険者と同一世帯に属している場合、当該認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、当該世帯の生計の状況を総合的に勘案して、当該被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当する。

正しい。「年間収入を上回らない場合には、~」の箇所で「2分の1でしょ!はいガチガチの×!」と判断してしまう問題。
年収基準は、同居の場合、原則2分の1未満だが、例外的に年間収入を上回らない場合(世帯の生計維持の中心的役割を果たしている)も該当する。

D 被保険者が、心疾患による傷病手当金の期間満了後なお引き続き労務不能であり、療養の給付のみを受けている場合に、肺疾患心疾患との因果関係はないものとする。)を併発したときは、肺疾患のみで労務不能であると考えられるか否かによって傷病手当金の支給の可否が決定される。

正しい。傷病手当金の支給期間は同一傷病につき1年6か月。
傷病が異なれば、傷病ごとに1年6か月受給可能。

E 資格喪失後、継続給付としての傷病手当金の支給を受けている者について、一旦稼働して当該傷病手当金が不支給となったとしても、完全治癒していなければ、その後更に労務不能となった場合、当該傷病手当金の支給が復活する

誤り。継続給付は、文字通り受給が「継続」していなければならない。1日でも不支給の日があると、その後復活することはない。

 

〔問 6〕正解率50%台

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

合格者(男性)

正解肢は基本条文であるも、未出題の「条文ベタ貼り」を◯と判断するのは結構難しい。

A 全国健康保険協会は政府から独立した保険者であることから、厚生労働大臣は、事業の健全な運営に支障があると認める場合には、全国健康保険協会に対し、都道府県単位保険料率の変更の認可を申請すべきことを命ずることができるが、厚生労働大臣がその保険料率を変更することは一切できない

誤り。厚生労働大臣が変更申請命令→協会が申請しない→大臣は、社会保障審議会の議を経て、都道府県単位保険料率を変更することができる。

B 保険料の先取特権の順位は、国税及び地方税優先する。また、保険料は、健康保険法に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。

誤り。保険料等の先取特権の順位は、国税及び地方税に「次ぐ」。「優先する」だと、保険料が税に勝つ、という意味になるため×。

C 日雇特例被保険者の保険の保険者の業務のうち、日雇特例被保険者手帳の交付、日雇特例被保険者に係る保険料の徴収及び日雇拠出金の徴収並びにこれらに附帯する業務は、全国健康保険協会が行う。

誤り。本肢の業務は「厚生労働大臣」が行う。
【役割分担】
・保険給付の業務→全国健康保険協会(市町村に委託)
・日雇特例被保険者手帳の交付→厚生労働大臣(市町村が行うこととする)
・保険料の徴収→厚生労働大臣
・日雇拠出金の徴収→厚生労働大臣

D 厚生労働大臣は、全国健康保険協会と協議を行い、効果的な保険料の徴収を行うために必要があると認めるときは、全国健康保険協会に保険料の滞納者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該滞納者に係る保険料の徴収を行わせることができる

正しい。協会は本来、保険料徴収業務を行わないが、滞納者については厚生労働大臣にさせられることがある。

E 任意継続被保険者は、保険料が前納された後、前納に係る期間の経過前において任意継続被保険者に係る保険料の額の引上げが行われることとなった場合においては、当該保険料の額の引上げが行われることとなった後の期間に係る保険料に不足する額を、前納された保険料のうち当該保険料の額の引上げが行われることとなった後の期間に係るものが健康保険法施行令第50条の規定により当該期間の各月につき納付すべきこととなる保険料に順次充当されてもなお保険料に不足が生じる場合は、当該不足の生じる月の初日までに払い込まなければならない。

誤り。前月末日に充当→不足が生じた場合→もう前納したことにならない→普通にその月10日までに納付してね。

 

〔問 7〕正解率70%台

健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

合格者(男性)

正解肢は頻出論点の組み合わせで、今回の健康保険の中では比較的得点しやすい。

ア 厚生労働大臣は、保険医療機関又は保険薬局の指定の申請があった場合において、当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が、健康保険法その他国民の保健医療に関する法律で、政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるときは、その指定をしないことができる

正しい。
【保険医療機関等の指定拒否】
・指定取消→5年を経過しない
医療関係法令に違反罰金の刑
・法令問わず違反→禁固以上の刑
・社会保険料の滞納処分→3か月(6か月×)以上にわたり社会保険料のすべて(一部×)を滞納

イ 被保険者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、保険者は、その被保険者が当該指定訪問看護事業者に支払うべき当該指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該指定訪問看護事業者に支払うことができる。この支払いがあったときは、被保険者に対し訪問看護療養費の支給があったものとみなす

正しい。訪問看護療養費は建前現金給付→しかし実態は現物給付→その条文表現。
保険者「被保険者に支給するはずの7割分は、事業者に払っとくから。」

ウ 入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料及び家族出産育児一時金の支給は、その都度、行わなければならず、毎月一定の期日に行うことはできない

誤り。
【保険給付の支払い】
・原則→その都度
・傷病手当金及び出産手当金(日毎に権利発生)→毎月一定の期日に支給する

エ 全国健康保険協会管掌健康保険に係る高額医療費貸付事業の対象者は、被保険者であって高額療養費の支給が見込まれる者であり、その貸付額は、高額療養費支給見込額90%に相当する額であり、100円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。

誤り。高額医療費貸付事業の貸付額→高額療養費支給見込額の「80%」。
高額療養費(現金給付)の支給申請から支払いまでの間に数ヶ月あるため、そのつなぎとして支給される。保健事業・福祉事業の一つ。

オ 指定訪問看護事業者は、当該指定に係る訪問看護事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があったとき、又は当該指定訪問看護の事業を廃止し、休止し、若しくは再開したときは、厚生労働省令で定めるところにより、20日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

誤り。指定訪問看護事業者の変更・廃止・休止・再開→「10日以内」。「へ~そうだんだ」としかいえない。

 

A(アとイ)B(アとエ)C(イとウ)D(ウとオ)E(エとオ)

 

〔問 8〕正解率50%台

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

Bの事例で惑わされるのと、正解肢のEがごちゃごちゃ長文で途中から目がスベる

A 退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるものは報酬又は賞与として扱うものではないが、被保険者の在職時に、退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対償としての性格が明確であり、被保険者の通常の生計にあてられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として、報酬又は賞与に該当する。

正しい。
【退職手当】
・「退職時に」支払われるもの→報酬or賞与×
・在職時に「一時金として」支払われるもの→報酬or賞与×
・在職時に「報酬に上乗せ」して支払われるもの→報酬or賞与○

B 産前産後休業期間中における保険料の免除については、例えば、5月16日に出産(多胎妊娠を除く。)する予定の被保険者が3月25日から出産のため休業していた場合、当該保険料の免除対象は4月分からであるが、実際の出産日が5月10日であった場合は3月分から免除対象になる。

正しい。
・5/16出産予定→出産予定日以前42日から産後56日は「4/5~7/11」→3/25から休業していても4月分から免除
・5/10出産→出産日以前42日から産後56日は「3/30~7/5」→3/25から休業していたので3月分から免除

C 保険者は、毎年一定の期日を定め、被保険者証の検認又は更新をすることができるが、この検認又は更新を行った場合において、その検認又は更新を受けない被保険者証は無効である。

正しい。◯っぽいなとしかえいない。

D 資格喪失後の継続給付としての傷病手当金を受けるためには、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったことが要件の1つとされているが、転職等により異なった保険者における被保険者期間(1日の空白もなく継続しているものとする。)を合算すれば1年になる場合には、その要件を満たすものとされている。なお、これらの被保険者期間には、任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者の期間は含まれないものとする。

正しい。
【転職で保険者が変わっても通算するもの】
・継続給付の要件になる1年の期間
・70歳以上の高額療養費(年間)の自己負担額
・高額介護合算療養費の自己負担額

E 傷病手当金は、労務不能でなければ支給要件を満たすものではないが、被保険者がその本来の職場における労務に就くことが不可能な場合であっても、現に職場転換その他の措置により就労可能な程度の他の比較的軽微な労務に服し、これによって相当額の報酬を得ているような場合は、労務不能には該当しない。また、本来の職場における労務に対する代替的性格をもたない副業ないし内職等の労務に従事したり、あるいは傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の労務に服することにより、賃金を得るような場合その他これらに準ずる場合も同様に労務不能には該当しない

誤り。
・比較的軽微な労務に服し、相当額の報酬を得ている→労務不能に該当しない
・本来の労務の代替的性格をもたない労務に従事する場合→労務不能に該当する
・一時的に軽微な他の労務に服する→労務不能に該当する

 

〔問 9〕正解率60%台

健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

合格者(男性)

ウを軸に、相手探しは「イは×だから、オが多分◯なんだろう」思考

ア 被保険者の1週間の所定労働時間の減少により資格喪失した者が、事業所を退職することなく引き続き労働者として就労している場合には、任意継続被保険者になることが一切できない

誤り。適用事業所に使用されなくなったため、又は、「適用除外事由に該当したため」被保険者の資格を喪失した者→任意継続被保険者になることができる。
例えば、特定4分の3未満短時間労働被保険者→週20時間を下回って資格喪失した場合などなど。

イ 任意継続被保険者が、健康保険の被保険者である家族の被扶養者となる要件を満たした場合、任意継続被保険者の資格喪失の申出をすることにより被扶養者になることができる。

誤り。任意継続被保険者には「申出」で喪失することはできない。保険料を滞納することによって喪失→被扶養者になることができる。

ウ 同一の事業所においては、雇用契約上一旦退職した者1日の空白もなく引き続き再雇用された場合、退職金の支払いの有無又は身分関係若しくは職務内容の変更の有無にかかわらず、その者の事実上の使用関係は中断することなく存続しているものであるから、被保険者の資格も継続するものであるが、60歳以上の者であって、退職後継続して再雇用されるものについては、使用関係が一旦中断したものとみなし、当該事業所の事業主は、被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出することができる

正しい。
【いったん退職し、嘱託として再雇用された者】
・原則→資格は継続する(資格の得喪は生じない)
・60歳以上の者→喪失届及び取得届を提出することが可能(標準報酬月額を即月リセットするため)

エ 3か月間の報酬の平均から算出した標準報酬月額(通常の随時改定の計算方法により算出した標準報酬月額。「標準報酬月額A」という。)と、昇給月又は降給月以後継続した3か月の間に受けた固定的賃金の月平均額昇給月又は降給月前の継続した12か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月の間に受けた非固定的賃金の月平均額加えた額から算出した標準報酬月額(以下「標準報酬月額B」という。)との間に2等級以上の差があり、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合であって、現在の標準報酬月額と標準報酬月額Bとの間に1等級以上の差がある場合は保険者算定の対象となる。

誤り。数少ない法改正からの出題。「12か月」ではなく「9か月」。
「昇給月前の9か月の非固定的賃金」と「昇給月以後の3か月の非固定的賃金」の合計額で、非固定的賃金の年間平均を算出。

オ 4月、5月、6月における定時決定の対象月に一時帰休が実施されていた場合、7月1日の時点で一時帰休の状況が解消していれば、休業手当等を除いて標準報酬月額の定時決定を行う。例えば、4月及び5月は通常の給与の支払いを受けて6月のみ一時帰休による休業手当等が支払われ、7月1日の時点で一時帰休の状況が解消していた場合には、6月分を除いて4月及び5月報酬月額を平均して標準報酬月額の定時決定を行う。

正しい。4・5月の報酬の平均を「9月以降において受けるべき報酬」として定時決定を行う。
【4月~6月に一時帰休で休業手当】
・7月に一時帰休解消→休業手当等を受けた月を除き、通常の給与を受けた月における報酬の平均により算出
・7月に一時帰休解消+4月・5月・6月のすべてで休業手当等→直近の標準報酬月額による
・7月に一時帰休解消していない→休業手当等を含めて4月・5月・6月の報酬月額の平均

 

A(アとイ)B(アとエ)C(イとウ)D(ウとオ)E(エとオ)

 

 

〔問 10〕正解率60%台

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

Cは定番だが、事例風味にして揺さぶってくる

A さかのぼって降給が発生した場合、その変動が反映された月(差額調整が行われた月を起算月として、それ以後継続した3か月間(いずれの月も支払基礎日数が17日以上であるものとする。)に受けた報酬を基礎として、保険者算定による随時改定を行うこととなるが、超過支給分の報酬がその後の報酬から差額調整された場合、調整対象となった月の報酬は、本来受けるべき報酬よりも低額となるため、調整対象となった月に控除された降給差額分を含まず、差額調整前の報酬額で随時改定を行う。

正しい。差額昇給は有名だが、差額降給がきた。
まず、ちょっと何言っているかわからない文章。「~保険者算定による随時改定を行うこととなる。なお、この場合、超過支給分の報酬が~」という文章なら意味が通りやすいか。
例えば、6月に「5月までさかのぼって30万円→25万円に降給」と決定→「5月の降給差額分5万円」が超過支給分→「5月の降給差額分5万円」を6月の報酬で調整→6月の実際の報酬は、6月の降給分5万円と「5月の降給差額分5万円」が調整されて20万円になる→しかし、「5月の降給差額分5万円」は含まずに、6月は25万円として算定=差額調整前の報酬額で算定、の意味。

B 被保険者の長期にわたる休職状態が続き実務に服する見込がない場合又は公務に就任しこれに専従する場合においては被保険者資格を喪失するが、被保険者の資格を喪失しない病気休職の場合は、賃金の支払停止は一時的であり、使用関係は存続しているため、事業主及び被保険者はそれぞれ賃金支給停止前の標準報酬に基づく保険料折半負担し、事業主はその納付義務を負う。

正しい。「無給中も保険料負担・納付義務はある」を難しくいってみたversion。

C 給与計算の締切り日が毎月15日であって、その支払日が当該月の25日である場合、7月30日で退職し、被保険者資格を喪失した者の保険料は7月分まで生じ8月25日支払いの給与(7月16日から7月30日までの期間に係るもの)まで保険料を控除する。

誤り。7月30日に退職→その翌日である7月31日が被保険者資格を喪失→喪失月の前月である「6月分」までの保険料納付義務あり。

D 全国健康保険協会管掌健康保険における同一の事業所において、賞与7月150万円12月250万円翌年3月200万円であった場合の被保険者の標準賞与額は、7月150万円12月250万円3月173万円となる。一方、全国健康保険協会管掌健康保険の事業所において賞与が7月150万円であり、11月健康保険組合管掌健康保険の事業所へ転職し、賞与が12月250万円翌年3月200万円であった場合の被保険者の標準賞与額は、7月150万円12月250万円3月200万円となる。

正しい。
・ずっと協会で累計される→協会(7月150万円+12月250万円+3月200万円=600万円)で「上限573万円」をオーバー→573万円-(7月150万円+12月250万円)→3月は173万円
・協会、11月から組合→保険者変わると累計されない→「上限573万円」をオーバーしない。協会の(7月150万円)と組合の(12月250万円+3月200万円=450万円)として算定。

E 介護休業期間中標準報酬月額は、その休業期間中に一定の介護休業手当の支給があったとしても、休業直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬に基づき算定した額とされる。

正しい。育児休業中も同様。

 

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執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

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