皆さん、こんにちは。
2019年社会保険労務士試験の解答・解説です。
手早く論点確認をして頂けるように、問題・解答を併記しています。
問題文の「ここをみれば正誤判断ができる」という部分にマーカーを引いています。
正しい対応関係にはこの色のマーカー、誤っている対応関係にはこの色のマーカーをつけています。
正解率は、大原採点サービスをご利用の方の率です。
今回は厚生年金保険法です。
厚生年金保険法
〔問 1〕正解率70%台
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
こういうのでいいんだよ。という選択肢が多く、ホッとする。
A 昭和36年4月2日以後生まれの男性である第1号厚生年金被保険者(坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。)は特別支給の老齢厚生年金の支給対象にはならないが、所定の要件を満たす特定警察職員等は昭和36年4月2日以後生まれであっても昭和42年4月1日以前生まれであれば、男女を問わず特別支給の老齢厚生年金の支給対象になる。
正しい。 【特別支給の老齢厚生年金の支給対象】 ・男子の1号期間→~S36.4.1 ・女子の1号期間→~S41.4.1 ・男子の2~4号期間→~S36.4.1 ・女子の2~4号期間→~S36.4.1 ・特定警察職員等→~S42.4.1 ・坑内員・船員→~S41.4.1 |
B 厚生年金保険法第86条第2項の規定により厚生労働大臣が保険料の滞納者に対して督促をしたときは、保険料額に所定の割合を乗じて計算した延滞金を徴収するが、当該保険料額が1,000円未満の場合には、延滞金を徴収しない。また、当該保険料額に所定の割合を乗じて計算した延滞金が100円未満であるときも、延滞金を徴収しない。
正しい。 【延滞金が徴収されない場合】 ・督促状の指定期限までに完納→延滞金は徴収されない ・公示送達→延滞金は徴収されない ・徴収金額1,000円未満→延滞金は徴収されない ・延滞金100円未満→延滞金は徴収されない |
C 老齢厚生年金の額の計算において、受給権者がその権利を取得した月以後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としないこととされているが、受給権取得後の受給権者の被保険者であった期間については、被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとする。
正しい。いわゆる退職改定の条文。 【退職改定】 ・要件→資格を喪失し、かつ、1か月経過すること ・計算基礎→喪失月の前月まで ・改定時期→資格喪失日(退職等の場合は退職日)から起算して1か月経過日の属する月 |
D 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合であっても、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間を有していない場合には、特別支給の老齢厚生年金の受給権は生じない。
正しい。 【被保険者期間の要件】 ・6か月→脱退一時金 ・1年→特別支給の老齢厚生年金 ・5年→脱退手当金 ・20年(240か月)→加給年金 ・44年→長期加入 |
E 平成26年4月1日以後に被保険者又は被保険者であった者が死亡し、その者の夫と子に遺族厚生年金の受給権が発生した。当該夫に対する当該遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、当該夫が国民年金法の規定による遺族基礎年金の受給権を有する場合でも、60歳に到達するまでの間、その支給を停止する。
誤り。60歳到達までの間も、支給停止はしない。 【遺族厚生年金の支給停止】 ・夫(遺族基礎年金の受給権を有しない)、父母又は祖父母→60歳到達まで停止。 ※夫(遺族基礎年金の受給権を有する)→停止はない なお冒頭の「平成26年4月1日以後に」は飾り。平成26年4月に施行された改正後の条文で解答してください、という意味しかない。 |
〔問 2〕正解率80%台
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
Cが◯とは思うけど、29年9月とか、30年9月とかは、確証はない、という手応えがない感じで選ぶ正解肢
A 厚生年金保険の標準報酬月額は標準報酬月額等級の第1級88,000円から第31級620,000円まで区分されており、この等級区分については毎年3月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の4月1日から、健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。
誤り。 【標準報酬月額の等級区分の改定】 ・毎年3月31日→全被保険者の標月平均額の100分の200相当額が最高等級の標月を超える ・改定時期→その年の9月1日(4月1日×)から |
B 被保険者の使用される船舶について、当該船舶が滅失し、沈没し、又は全く運航に堪えなくなるに至った場合には、事業主は当該被保険者に係る保険料について、当該至った日の属する月以降の免除の申請を行うことができる。
誤り。船舶が滅失等→保険料を納期前にすべて徴収することができる(保険料の免除の申請×) |
C 厚生年金保険の保険料率は段階的に引き上げられてきたが、上限が1000分の183.00に固定(統一)されることになっている。第1号厚生年金被保険者の保険料率は平成29年9月に、第2号及び第3号厚生年金被保険者の保険料率は平成30年9月にそれぞれ上限に達したが、第4号厚生年金被保険者の保険料率は平成31年4月12日時点において上限に達していない。
正しい。私立共済は成熟度が低い(受給者が少ない)ため、元々保険料率は低めに設定されている。 ・第1号厚生年金被保険者→1000分の183.0 ・第2号厚生年金被保険者→1000分の183.0 ・第3号厚生年金被保険者→1000分の183.0 ・第4号厚生年金被保険者→1000分の157.7から一定率を控除 |
D 被保険者であった妻が死亡した当時、当該妻により生計を維持していた54歳の夫と21歳の当該妻の子がいた場合、当該子は遺族厚生年金を受けることができる遺族ではないが、当該夫は遺族厚生年金を受けることができる遺族である。
誤り。妻の死亡当時に55歳以上ではない夫は、遺族厚生年金を受けることができる遺族とはならない。 【遺族厚生年金の遺族の範囲】 ・妻の要件→特になし ・夫、父母or祖父母→死亡当時55歳以上(支給開始は60歳から) ・子or孫→「18歳年度末or20歳未満で1・2級」、かつ未婚 |
E 育児休業期間中の第1号厚生年金被保険者に係る保険料の免除の規定については、任意単独被保険者は対象になるが、高齢任意加入被保険者はその対象にはならない。
誤り。本肢の免除は、高齢任意加入被保険者も対象となる。育休の保険料免除は「働いている方」向けの制度。高齢任意加入被保険者も使用関係がある被保険者→免除がある。例えば、3歳未満の養子を養育しているケースが想定。 |
〔問 3〕正解率40%台
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
Aが正解→「日ではなくて前日」。五肢の中で間違っているのここだけ。ウォーリーを探せ、のような・・
A 傷病に係る初診日に厚生年金保険の被保険者であった者であって、かつ、当該初診日の属する月の前々月までに、国民年金の被保険者期間を有しない者が、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、障害認定日後から65歳に達する日までの間に、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至った場合、その期間内に、障害厚生年金の支給を請求することができる。
誤り。事後重症による障害厚生年金→障害認定日後65歳に達する日の「前日」までの間に該当&請求 |
B 傷病に係る初診日に厚生年金保険の被保険者であった者が、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、その後64歳のときにその傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至った場合、その者が支給繰上げの老齢厚生年金の受給権者であるときは、障害厚生年金の支給を請求することはできない。
正しい。事後重症による障害厚生年金→繰上げ支給の老齢厚生(基礎)年金の受給権者は65歳扱いされるため、請求不可。 |
C 障害等級1級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の額の計算の例により計算した額(当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。)の100分の125に相当する額とする。
正しい。これを誤りとしてしまうかも。「老齢厚生年金の額の計算の例により」とは、「報酬比例の計算式」という意味しかなく、「給付乗率の生年月日読み替えがある」意味は含まれていない。 |
D 障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、遺族厚生年金の支給要件について、死亡した当該受給権者の保険料納付要件が問われることはない。
正しい。 【納付要件問われる】 ・短期要件→被保険者が死亡 ・短期要件→被保険者であった者+資格喪失後+初診日(喪失日×)から起算して5年経過前に死亡 【納付要件問われない】 ・短期要件→1級or2級(3級×)の障害厚生年金の受給権者が死亡 ・長期要件→老齢厚生年金の受給権者(納付済期間+免除期間+合算対象期間=25年以上に限る)である者が死亡 ・長期要件→納付済期間+免除期間+合算対象期間=25年以上である者が死亡 |
E 障害厚生年金の受給権者である特定被保険者(厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者をいう。)の被扶養配偶者が3号分割標準報酬改定請求をする場合における特定期間に係る被保険者期間については、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となった特定期間に係る被保険者期間を改定又は決定の対象から除くものとする。
正しい。 夫が障害厚生年金の受給権者の場合 ・原則→3号分割請求できない ・障害厚生年金の額の計算の基礎になっていない期間がある場合→その期間部分は3号分割請求できる →夫の障害厚生年金の額が減らない範囲内での分割請求は可能。 |
〔問 4〕正解率70%台
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
法定16業種を厳しくついてくる問題。分かったよ、覚えればいいんだろ!
A 常時5人以上の従業員を使用する個人経営の畜産業者である事業主の事業所は、強制適用事業所となるので、適用事業所となるために厚生労働大臣から任意適用事業所の認可を受ける必要はない。
誤り。第1次産業(農林水畜産業)は法定業種に含まれない→適用事業所となるために厚生労働大臣から任意適用事業所の認可を受ける必要がある。 |
B 個人経営の青果商である事業主の事業所は、常時5人以上の従業員を使用していたため、適用事業所となっていたが、その従業員数が4人になった。この場合、適用事業所として継続するためには、任意適用事業所の認可申請を行う必要がある。
誤り。物の販売(青果商)は法定16業種→個人経営+5人以上で強制適用→4人以下になると任意適用の擬制→認可申請の手続きなしで、適用事業所として継続。 |
C 常時5人以上の従業員を使用する個人経営のと殺業者である事業主は、厚生労働大臣の認可を受けることで、当該事業所を適用事業所とすることができる。
誤り。と殺業は法定16業種→個人経営+5人以上で強制適用→認可がなくても適用。と殺・・確かに工場っぽいが・・ |
D 初めて適用事業所(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る。)となった事業所の事業主は、当該事実があった日から5日以内に日本年金機構に所定の事項を記載した届書を提出しなければならないが、それが船舶所有者の場合は10日以内に提出しなければならないとされている。
正しい。事業所・事業主関係は原則5日、船舶は10日(ただし変更だけ→速やかに)。 |
E 住所に変更があった事業主は、5日以内に日本年金機構に所定の事項を記載した届書を提出しなければならないが、それが船舶所有者の場合は10日以内に提出しなければならないとされている。
誤り。事業所・事業主関係は原則5日、船舶は10日(ただし変更だけ→速やかに)。押さえ分けしなきゃ駄目なのか・・ |
〔問 5〕正解率40%台
厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
エは◯。オも◯っぽいが「申出をした」が気になって選びづらい。
ア 離婚の届出をしていないが、夫婦としての共同生活が営まれておらず、事実上離婚したと同様の事情にあると認められる場合であって、両当事者がともに当該事情にあると認めている場合には、いわゆる合意分割の請求ができる。
誤り。本肢の場合は、合意分割の請求ができる場合として定められていない。 【合意分割の対象】 ・離婚をしたとき ・婚姻の取り消しをしたとき ・事実婚関係にある人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき |
イ 離婚の届出をしていないが、夫婦としての共同生活が営まれておらず、事実上離婚したと同様の事情にあると認められる場合であって、両当事者がともに当該事情にあると認めている場合に該当し、かつ、特定被保険者(厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者をいう。)の被扶養配偶者が第3号被保険者としての国民年金の被保険者の資格を喪失している場合でも、いわゆる3号分割の請求はできない。
誤り。本肢の場合、3号分割の請求ができる。 【3号分割の対象】 ・離婚をしたとき ・婚姻の取り消しをしたとき ・事実婚関係にある人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき |
ウ 適用事業所に使用される70歳未満の被保険者が70歳に達したときは、それに該当するに至った日の翌日に被保険者の資格を喪失する。
誤り。70歳未満の被保険者が70歳に達したときは、それに該当するに至った「日」に被保険者の資格を喪失する。喪失時期→年齢到達はその日。 |
エ 適用事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないもの(厚生年金保険法第12条各号に該当する者を除く。)が高齢任意加入の申出をした場合は、実施機関への申出が受理された日に被保険者の資格を取得する。
正しい。 【適用事業所の事業所に使用される者】 ・適用事業所の事業所+70歳以上+老齢or退職の給付の受給権を有しない ※生年月日の要件なし、年齢の上限なし、障害・遺族の給付は関係なし ・取得の手続→実施機関に申出 ・取得日→申出日 |
オ 適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないもの(厚生年金保険法第12条各号に該当する者を除く。)が高齢任意加入の申出をした場合は、厚生労働大臣の認可があった日に被保険者の資格を取得する。
正しい。「申出をした場合」というのは、「認可申請をした場合」という意味で使っている模様。 【適用事業所の事業所以外の事業所に使用される者】 ・適用事業所の事業所以外の事業所+70歳以上+老齢or退職の給付の受給権を有しない ※生年月日の要件なし、年齢の上限なし、障害・遺族の給付は関係なし ・取得の手続→事業主の同意+厚生労働大臣の認可 ・取得日→認可があった日 |
A(アとイ)B(アとエ)C(イとウ)D(ウとオ)E(エとオ)
〔問 6〕正解率70%台
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
Eは基本だが、Bと悩む
A 行方不明となった航空機に乗っていた被保険者の生死が3か月間わからない場合は、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、当該航空機の到着予定日から3か月が経過した日に当該被保険者が死亡したものと推定される。
誤り。死亡推定は、「行方不明となった日」に死亡したものと推定される。 【死亡の推定】 ・船舶○、飛行機○→他の乗り物(自動二輪車など)は× ・生死不明期間→3か月○(6か月×) ・死亡推定時期→沈没した「その日」○(翌日×、3か月経過日×) |
B 老齢厚生年金の受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、当該受給権者の所在が3か月以上明らかでないときは、速やかに、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないとされている。
誤り。本肢の届書は、受給権者の所在が「1か月」以上明らかでないときに提出しなければならない。 【年金受給権者等に係る届出義務】 ・受給権者が1か月以上所在不明→世帯主等は届書を提出 ※提出されない場合→支払差し止め |
C 被保険者は、老齢厚生年金の受給権者でない場合であっても、国会議員となったときは、速やかに、国会議員となった年月日等所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないとされている。
誤り。国会議員→被保険者ではないが、在職老齢年金の仕組みの適用があるため、老齢厚生年金の受給権者である場合は届け出必要。一方、老齢厚生年金の受給権者でない場合は、届け出不要。 |
D 障害等級1級又は2級の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者は、当該障害厚生年金の加給年金額の対象者である配偶者が65歳に達したときは、10日以内に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないとされている。
誤り。 【加給年金額対象者不該当届】 ・原則→10日以内 ・年齢到達(配偶者が65歳に達した等)→不要 |
E 被保険者が故意に障害を生ぜしめたときは、当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は支給されない。また、被保険者が重大な過失により障害を生ぜしめたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
正しい。 【絶対的給付制限】 ・故意に障害→支給しない(しないことができる×) ・故意に死亡させた→支給しない 【相対的給付制限】 ・故意の犯罪行為→全部又は一部を行わないことができる ・重大な過失により→全部又は一部を行わないことができる ・正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないこと→全部又は一部を行わないことができる |
〔問 7〕正解率80%台
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
定番のD
A 被保険者が産前産後休業終了日の翌日に育児休業等を開始している場合には、当該産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定は行われない。
正しい。産休明け→そのまま育休に移行する場合、保険料の免除が継続するため、標準報酬月額を改定する必要性がない。 |
B 実施機関は、被保険者が現に使用される事業所において継続した3か月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日以上であるものとする。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。
正しい。随時改定の条文表現。著しく高低を生じた月の翌月とは、3か月目の翌月(4か月目)の意味。 |
C 被保険者の報酬月額について、厚生年金保険法第21条第1項の定時決定の規定によって算定することが困難であるとき、又は、同項の定時決定の規定によって算定された被保険者の報酬月額が著しく不当であるときは、当該規定にかかわらず、実施機関が算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。
正しい。保険者算定の条文表現。 |
D 配偶者に対する遺族厚生年金は、その配偶者の所在が1年以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子の申請によって、申請の日からその支給を停止する。
誤り。本肢の場合、「所在が明らかでなくなった時にさかのぼって」、その支給が停止される。 |
E 遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について労働基準法第79条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から6年間、その支給を停止する。
正しい。なお、相手が労災遺族補償年金の場合は、遺族補償年金が減額調整。 |
〔問 8〕正解率50%台
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
Bが正解。条文は基本だが、事例風味で惑わせる
A 厚生労働大臣は、住民基本台帳法第30条の9の規定による遺族厚生年金の受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができない場合には、当該受給権者に対し、所定の事項を記載し、かつ、自ら署名した届書を毎年指定日までに提出することを求めることができる。
正しい。機構保存本人確認情報の提供を受けることができない場合=国外在住。住基ネットで生存確認することができないため、ペーパー提出で確認。 |
B 月給制である給与を毎月末日に締め切り、翌月10日に支払っている場合、4月20日に育児休業から職場復帰した被保険者の育児休業等終了時改定は、5月10日に支払った給与、6月10日に支払った給与及び7月10日に支払った給与の平均により判断する。
誤り。育児休業等終了時改定は、「育児休業等終了日の翌日が属する月以後3か月間に受けた」報酬の総額がベース→本肢の場合、育児休業等終了日の翌日(職場復帰日)=4月20日→「4月・5月・6月の間に支払われた給料」の平均により判断→7月は算定対象外。 |
C 事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所のことを特定適用事業所というが、初めて特定適用事業所となった適用事業所(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る。)の事業主は、当該事実があった日から5日以内に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。
正しい。特定4分の3未満短時間労働者が被保険者になる大企業、それが特定適用事業所。初めて特定適用事業所に該当した場合は5日以内に届出。適用事業所の新規適用届と同じ筋。 |
D 厚生年金保険法施行規則第14条の4の規定による特定適用事業所の不該当の申出は、特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者及び70歳以上の使用される者(被保険者であった70歳以上の者であって当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するものをいう。)の4分の3以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意を得たことを証する書類を添えて行わなければならない。
正しい。500人以下になったから、特定適用事業所から外れたい場合→労働者側の4分の3以上の同意があれば可能。 4人以下になったから、適用事業所から外れたい場合→労働者側の4分の3以上の同意があれば可能、というのと筋は同じ。 |
E 加給年金額が加算された障害厚生年金の額について、当該加給年金額の対象になっている配偶者(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。)が65歳に達した場合は、当該加給年金額を加算しないものとし、その該当するに至った月の翌月から当該障害厚生年金の額を改定する。
正しい。なお、配偶者が大正15年4月1日以前生まれ→配偶者65歳以後も加給年金の加算が続く。 |
〔問 9〕正解率70%台
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
正解肢Aは過去問。ただし複雑なケースのため、消去法で選ぶことも
A 夫の死亡により、前妻との間に生まれた子(以下「夫の子」という。)及び後妻に遺族厚生年金の受給権が発生した。その後、後妻が死亡した場合において、死亡した後妻に支給すべき保険給付でまだ後妻に支給しなかったものがあるときは、後妻の死亡当時、後妻と生計を同じくしていた夫の子であって、後妻の死亡によって遺族厚生年金の支給停止が解除された当該子は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
正しい。夫の子→後妻の子ではないが、「後妻の未支給」を請求できるという特例 画像は、社労士24直前対策の解説画面。 |
B 障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、16歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに当該受給権は消滅する。一方、障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、19歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、20歳に達したときに当該受給権は消滅する。
誤り。19歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合→そのときに当該受給権は消滅する。「20歳に達したとき」に消滅するのは、ずっと2級以上に該当している場合。 |
C 老齢厚生年金と雇用保険法に基づく給付の調整は、特別支給の老齢厚生年金又は繰上げ支給の老齢厚生年金と基本手当又は高年齢求職者給付金との間で行われ、高年齢雇用継続給付との調整は行われない。
誤り。高年齢求職者給付金との間では行われない。一方、高年齢雇用継続給付との調整は行われる。 |
D 被保険者期間が6か月以上ある日本国籍を有しない者は、所定の要件を満たす場合に脱退一時金の支給を請求することができるが、かつて、脱退一時金を受給した者が再入国し、適用事業所に使用され、再度、被保険者期間が6か月以上となり、所定の要件を満たした場合であっても、再度、脱退一時金の支給を請求することはできない。
誤り。要件満たす限り、何度でも支給を請求することはできる。ブライアン・シコースキーのように。 |
E 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、その妻の有する遺族厚生年金に当該子の加給年金額が加算される。
誤り。遺族厚生年金に子の加算額はない。胎児出生の場合は、将来に向かって、子に遺族厚生年金の受給権が発生する。 |
〔問 10〕正解率80%台
厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
オが絶対◯。相手方はアかウ。アが◯っぽい、ウは絶対×、ならばアとオかな、という選び方。
ア 第1号厚生年金被保険者又は厚生年金保険法第27条に規定する70歳以上の使用される者(法律によって組織された共済組合の組合員又は私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者を除く。)は、同時に2以上の事業所(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る。)に使用されるに至ったとき、当該2以上の事業所に係る日本年金機構の業務が2以上の年金事務所に分掌されている場合は、その者に係る日本年金機構の業務を分掌する年金事務所を選択しなければならない。
正しい。なお、選択届の期限→10日以内。 |
イ 船員たる被保険者であった期間が15年以上あり、特別支給の老齢厚生年金を受給することができる者であって、その者が昭和35年4月2日生まれである場合には、60歳から定額部分と報酬比例部分を受給することができる。
誤り。本肢の者は、船員・坑内員特例により「62歳」から定額部分と報酬比例部分を受給することができる。 【支給開始年齢】 ・35年4月2日~37年4月1日→報酬62歳+定額62歳+加給62歳 |
ウ 障害厚生年金の支給を受けている者が、当該障害厚生年金の支給要件となった傷病とは別の傷病により、障害手当金の支給を受けられる程度の障害の状態になった場合は、当該障害厚生年金と当該障害手当金を併給することができる。なお、当該別の傷病に係る初診日が被保険者期間中にあり、当該初診日の前日において、所定の保険料納付要件を満たしているものとする。
誤り。障害手当金の障害の程度を定める日において、厚生年金保険法の年金たる受給権者である場合には、障害手当金は支給されない→それぞれ別の傷病であっても、障害厚生年金と障害手当金を併給することはできない。 【障害手当金の支給調整】 ・厚生年金保険の年金たる保険給付→障害手当金は不支給 ・国民年金の年金たる給付→障害手当金は不支給 ・当該傷病による労働基準法の障害補償→障害手当金は不支給 ・当該傷病による労災保険の障害補償給付→障害手当金は不支給 |
エ 64歳である特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額及び特別支給の老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)を12で除して得た額との合計額が47万円を超えるときは、その月の分の当該特別支給の老齢厚生年金について、当該合計額から47万円を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額が支給停止される。
誤り。65歳前在老と65歳以後在老の「たすき掛けで×」問題。 【在職老齢年金の支給停止基準額】 ・65歳前(原則)→{(総報酬月額相当額+基本月額)-28万円}×1/2×12 ・65歳以上→{(総報酬月額相当額+基本月額)-47万円}×1/2×12 |
オ 適用事業所の事業主は、第1号厚生年金被保険者であって、産前産後休業期間中や育児休業期間中における保険料の免除が適用されている者に対して、当該休業期間中に賞与を支給した場合は、賞与額の届出を行わなければならない。
正しい。産休・育休中の賞与→保険料は免除されても、将来の給付額には反映される→届出が必要。 |
A(アとエ)B(アとオ)C(イとウ)D(イとエ)E(ウとオ)
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執筆/資格の大原 社会保険労務士講座
「時間の達人シリーズ社労士24」「経験者合格コース」を担当致しております。
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