2019年社会保険労務士試験の解答・解説です。

手早く論点確認をして頂けるように、問題・解答を併記しています。

問題文の「ここをみれば正誤判断ができる」という部分にマーカーを引いています。

正しい対応関係にはこの色のマーカー誤っている対応関係にはこの色のマーカーをつけています。

正解率は、大原採点サービスをご利用の方の率です。

今回は国民年金法です。

国民年金法

〔問 1〕正解率60%台

国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

合格者(男性)

◯の肢が”◯っぽい”としかいえないので、×を消していく消去法。

ア 政府は、政令の定めるところにより、市町村(特別区を含む。)に対し、市町村長(特別区の区長を含む。)が国民年金法又は同法に基づく政令の規定によって行う事務の処理に必要な費用2分の1に相当する額を交付する。

誤り。政府は、政令の定めるところにより、市町村(特別区を含む。)に対し、市町村長が国民年金法又は国民年金法に基づく政令の規定によって行う事務の処理に「必要な費用を交付する」。
「基礎年金の給付費用は2分の1」とのたすき掛け。

イ 国民年金法第10章「国民年金基金及び国民年金基金連合会」に規定する厚生労働大臣の権限のうち国民年金基金に係るものは、厚生労働省令の定めるところにより、その一部を地方厚生局長に委任することができ、当該地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

正しい。国民年金基金及び連合会の権限委任ラインは、厚生労働大臣→地方厚生局長→地方厚生支局長。日本年金機構はラインに乗らない。

ウ 保険料納付確認団体は、当該団体の構成員その他これに類する者である被保険者からの委託により、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報を当該被保険者に通知する義務を負う。

誤り。保険料納付確認団体→「保険料滞納事実」を確認・通知。
「ねんきん定期便」とのたすき掛け。

エ 国民年金原簿には、所定の事項を記録するものとされており、その中には、保険料4分の3免除保険料半額免除又は保険料4分の1免除の規定によりその一部につき納付することを要しないものとされた保険料に関する事項が含まれる。

正しい。もちろん、一部免除だけではなく、全額免除の情報も載せる。

オ 国民年金基金は、被保険者の委託を受けて、保険料の納付に関する事務を行うことができるとされており、国民年金基金に未加入の者の保険料の納付に関する事務であっても行うことができる

誤り。国民年金基金が受託する保険料の納付事務→国民年金基金の加入員に係るものに限る。よって、国民年金基金は、基金未加入の者の納付に関する事務を行うことはできない。

A(アとウ)B(アとオ)C(イとエ)D(イとオ)E(ウとエ)

 

〔問 2〕正解率70%台

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

合格者(男性)

基本のCで仕留めたい。しかし、疲れと時間がジワリ・・

A 傷病について初めて医師の診療を受けた日において、保険料の納付猶予の適用を受けている被保険者は、障害認定日において当該傷病により障害等級の1級又は2級に該当する程度の障害の状態にあり、保険料納付要件を満たしている場合でも、障害基礎年金が支給されることはない

誤り。初診日に、納付猶予の適用を受けている被保険者でも、障害状態に該当し、納付要件を満たしていれば、障害基礎年金が支給される。

B 遺族基礎年金の受給権者であるが、死亡した被保険者の兄の養子となったとしても、当該子の遺族基礎年金の受給権は消滅しない

誤り。遺族基礎年金の受給権者である子→直系血族又は直系姻族以外の者の養子になると失権→本肢の場合、傍系血族(被保険者の兄)との養子縁組のため、受給権は消滅する。

C 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた配偶者は、その当時日本国内に住所を有していなかった場合でも、遺族基礎年金を受けることができる子と生計を同じくしていれば遺族基礎年金を受けることができる遺族となる。なお、死亡した被保険者又は被保険者であった者は遺族基礎年金の保険料納付要件を満たしているものとする。

正しい。遺族基礎年金の受給要件に、国内居住要件は設けられていないため。

D 老齢基礎年金の支給を停止すべき事由が生じた日の属する月の翌月にその事由が消滅した場合は、当該老齢基礎年金の支給を停止しない

誤り。「支給停止事由発生日と消滅日が同じ月に属する場合」は、年金給付の支給は停止されない→翌月に事由が生じた場合は、その翌月の分の支給は停止される。

E 老齢基礎年金の受給権者に対して支給する国民年金基金の年金は、当該老齢基礎年金がその全額につき支給を停止されていなくても、400円に当該国民年金基金に係る加入員期間の月数を乗じて得た額を超える部分に限り、支給を停止することができる。

誤り。「400円」ではなく「200円」である。

 

〔問 3〕正解率80%台

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

合格者(男性)

Bは基本だが事例問題。目がスベると失点するかも。

A 国民年金基金は、厚生労働大臣の認可を受けて、他の国民年金基金と吸収合併するためには、吸収合併契約を締結しなければならない。当該吸収合併契約については、代議員会において代議員の定数の4分の3以上の多数により議決しなければならない。

誤り。「4分の3以上」ではなく「3分の2以上」である。吸収合併進めやすく。

B 死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料4分の1免除期間48月有している者であって、所定の要件を満たす被保険者が死亡した場合に、当該被保険者の死亡により遺族基礎年金又は寡婦年金受けることができる者がなく、当該被保険者に死亡一時金の支給対象となる遺族があるときは、その遺族に死亡一時金が支給される。

正しい。保険料4分の1免除期間は4分の3評価→48か月×4分の3で36か月。死亡一時金の支給要件を満たす。

C 学生納付特例による保険料免除の対象となる期間は、被保険者が30歳に達する日の属する月の前月までの期間に限られる。

誤り。学生納付特例の期間については、年齢による限定はない。免除で年齢制限があるのは納付猶予の50歳未満。

D 付加保険料の納付は、産前産後期間の保険料免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間の各月について行うことができない

誤り。産前産後の免除期間は保険料納付済期間扱いされるため、付加保険料の納付を行うことができる

E 平成11年4月1日生まれの者が20歳に達したことにより第1号被保険者の資格を取得したときは、平成31年4月から被保険者期間に算入される。

誤り。年齢到達は誕生日の前日→平成11年4月1日生まれの者が20歳に達するのは平成31年3月31日→「平成31年3月」から被保険者期間に算入

 

〔問 4〕正解率40%台

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

事例風味Eが正解肢。疲れているときは辛いか。

A 被保険者(産前産後期間の保険料免除及び保険料の一部免除を受ける者を除く。)が保険料の法定免除の要件に該当するに至ったときは、当該被保険者の世帯主又は配偶者の所得にかかわらず、その該当するに至った日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属するまでの期間に係る保険料は、既に納付されたものを除き納付することを要しない

正しい。
【法定免除】
・産前産後期間の免除が優先される
・世帯主及び配偶者の所得は関係なし
・免除期間は該当(申請×)の前月~当月
・すでに納付した分は還付されない(前納分は還付される)
という論点盛りだくさん問題。

B 死亡一時金を受けることができる遺族が、死亡した者の祖父母と孫のみであったときは、当該死亡一時金を受ける順位は孫が優先する。なお、当該祖父母及び孫は当該死亡した者との生計同一要件を満たしているものとする。

正しい。順番は、配偶者→子→父母→祖父母→兄弟姉妹。よって孫>祖父母。※2019/9/18修正

C 65歳に達し老齢基礎年金の受給権を取得した者であって、66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求しなかった者が、65歳に達した日から66歳に達した日までの間において障害基礎年金の受給権者となったときは、当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない

正しい。
【他の年金受給権を有する場合】
65歳から66歳までの間に、他の年金受給権を取得→申出できない
・66歳に達した日後に、他の年金受給権を取得→申出できる
・65歳に達したときに、他の年金受給権が消滅→申出できる
※65歳到達時に失権する年金(抜粋)→寡婦年金、特別支給の老齢厚生年金
・付加年金、老齢厚生年金→申出できる

D 昭和31年4月20日生まれの者が、平成31年4月25日に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をした場合において、当該支給繰上げによる老齢基礎年金の額の計算に係る減額率は、12%である。

正しい。昭和31年4月20日生まれの者→平成31年4月25日に請求→63歳の4月で請求→63歳4月~65歳到達月(4月)の前月(65歳3月)は24か月→24か月×5/1000=12%が減額率。

E 死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間を5年と合算対象期間を5年有する夫が死亡した場合、所定の要件を満たす妻に寡婦年金支給される。なお、当該夫は上記期間以外に第1号被保険者としての被保険者期間を有しないものとする。

誤り。寡婦年金の支給要件期間(10年)は「第1号被保険者の期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間」→合算対象期間は含まれない→保険料納付済期間5年と合算対象期間5年では10年に満たない→寡婦年金は支給されない

 

〔問 5〕正解率50%台

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

合格者(男性)

正解肢Cは初出。消去法で絞れるかどうか。

A 被保険者の資格として、第1号被保険者国籍要件国内居住要件及び年齢要件すべてを満たす必要があるのに対し、第2号被保険者及び第3号被保険者国内居住要件及び年齢要件を満たす必要があるが、国籍要件を満たす必要はない

誤り。第1号被保険者に国籍要件はない。第2号被保険者に国内居住要件・年齢要件はない。第3号被保険者に国内居住要件はない。

B 老齢基礎年金の支給の繰上げについては国民年金法第28条において規定されているが、老齢基礎年金の支給の繰下げについては、国民年金法附則において当分の間の措置として規定されている。

誤り。老齢基礎年金の支給の繰上げについては「国民年金法附則第9条の2において当分の間の措置として」規定されている。老齢基礎年金の支給の繰下げについては「国民年金法第28条において」規定されている。

C 合算対象期間及び学生納付特例の期間を合算した期間のみ10年以上有する者であって、所定の要件を満たしている者に支給する振替加算相当額の老齢基礎年金については、支給の繰下げはできない

正しい。振替加算は繰り下げできない→振替加算相当額の老齢基礎年金は、実態は振替加算→振替加算と同様に繰り下げできない。

D 基礎年金拠出金の額の算定基礎となる被保険者は、第1号被保険者にあっては保険料納付済期間、保険料4分の1免除期間、保険料半額免除期間又は保険料4分の3免除期間を有する者であり、第2号被保険者及び第3号被保険者にあってはすべての者である。

誤り。第2号被保険者については、「20歳以上60歳未満の者」を基礎年金拠出金の額の算定基礎とする。
【基礎年金拠出金の算定基礎】
・第1号被保険者→保険料納付済期間or一部免除期間を有する者
(全額免除or未納者→除かれる)
※「免除期間を有する者は除かれる」ときたら×
第2号被保険者→20歳以上60歳(65歳×)未満
・第3号被保険者→すべての者

E 受給権者が、正当な理由がなくて、国民年金法第107条第1項に規定する受給権者に関する調査における命令に従わず、又は当該調査における職員の質問に応じなかったときは、年金給付の額の全部又は一部につき、その支給を一時差し止めることができる

誤り。命令拒否等→年金給付の額の全部又は一部につき、その支給を「停止することができる」。

 

〔問 6〕正解率70%台

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

時間もなくて、疲れているときでも、秒速で解答を特定したい問題。

A 脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求することができるが、当該審査請求は時効の中断に関しては裁判上の請求とみなされる

誤り。脱退一時金に関する処分に不服がある者は、「社会保険審査会」に対して審査請求をすることができる。オチではなく、前フリの方に引掛けがあるというキ◯ク系。

B 障害基礎年金の受給権者に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金が支給されるが、当該前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金の受給権を取得したときは、従前の障害基礎年金の受給権消滅する。

正しい。
【併合認定】
・従前→障害基礎年金の受給権者
・後発→障害基礎年金の支給事由が発生
・効果→従前の障害基礎年金→消滅する
※従前が旧法の障害年金→消滅しない

C 被保険者又は被保険者であった者の死亡前に、その者の死亡によって遺族基礎年金又は死亡一時金受給権者となるべき者故意に死亡させた者には、遺族基礎年金又は死亡一時金は支給しない

正しい。
【絶対的給付制限】
・故意に障害→支給しない(しないことができる×)
故意に死亡させた→支給しないor消滅する
※自殺の場合→支給される

D 遺族基礎年金の受給権は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、消滅する。

正しい。
【絶対的給付制限】
・故意に障害→支給しない(しないことができる×)
故意に死亡させた→支給しないor消滅する
※自殺の場合→支給される

E 国民年金法第30条第1項の規定により、障害認定日において障害等級に該当した場合に支給する障害基礎年金の受給権の発生日障害認定日であるが、同法第30条の2第1項の規定によるいわゆる事後重症による障害基礎年金の受給権の発生日はその支給の請求日である。

正しい。
【障害基礎年金の権利発生日・支給開始】
・原則→障害認定日・その翌月
・事後重症→請求日・その翌月
・基準傷病→該当日・請求月の翌月

 

〔問 7〕正解率50%台

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

BかDで悩む

A 政府は、国民年金事業の実施に必要な事務を円滑に処理し、被保険者、受給権者その他の関係者の利便の向上に資するため、電子情報処理組織の運用を行うものとし、当該運用の全部又は一部を日本年金機構に行わせることができる。

正しい。電子情報処理組織は、オンラインで手続き等のやり取りできるシステムとかそんな感じ。

B 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子出生したことにより、被保険者又は被保険者であった者の妻及び子が遺族基礎年金の受給権を取得した場合においては、当該遺族基礎年金の裁定の請求書には連名しなければならない。

正しい。妻子いずれとも同時に受給権者になるから連名で請求。

C 未支給の年金を受けるべき者の順位は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の3親等内の親族の順位とされている。

正しい。◯すぎる◯。

D いわゆる事後重症による障害基礎年金は、同一の傷病による障害について、旧国民年金法による障害年金、旧厚生年金保険法による障害年金又は共済組合若しくは日本私立学校振興・共済事業団が支給する障害年金の受給権を有していたことがある者についても、支給される

誤り。事後重症による障害基礎年金→同一傷病による障害年金の受給権を有していたことがある(一度失権、の意味)→再度、障害状態に該当しても権利は復活しない。

E 第3号被保険者資格取得の届出が、第2号被保険者を使用する事業主又は国家公務員共済組合地方公務員共済組合若しくは日本私立学校振興・共済事業団に受理されたときは、その受理されたときに厚生労働大臣に届出があったものとみなされる。

正しい。
【第3号被保険者に係る届出の経由】
・第3号被保険者の届出→事業主又は共済組合等が受理厚生労働大臣への届出みなし
・事業主又は共済組合等→受理した届書等を速やかに(14日以内×)厚生労働大臣に提出
・事業主→事務の一部(全部×)を健康保険組合(健保協会×)に委託できる

 

〔問 8〕正解率50%台

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

合格者(男性)

Dも基本だが、事例風味と時間・スタミナ不足で判断を誤らせる

A 学生納付特例の期間及び納付猶予の期間を合算した期間を10年以上有し、当該期間以外に被保険者期間を有していない者には、老齢基礎年金は支給されない。なお、この者は婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合も含む。)したことがないものとする。

正しい。学生納付特例期間と納付猶予期間は年金額ゼロ円ゆえ。

B 日本国籍を有している者が、18歳から19歳まで厚生年金保険に加入し、20歳から60歳まで国民年金には加入せず国外に居住していた。この者が、60歳で帰国し、再び厚生年金保険に65歳まで加入した場合、65歳から老齢基礎年金が支給されることはない。なお、この者は婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合も含む。)したことがなく、上記期間以外に被保険者期間を有していないものとする。

正しい。20歳前の厚生年金保険の期間と、60歳以後の厚生年金保険の期間のみを有する=合算対象期間のみ有する→老齢基礎年金の支給要件上の保険料納付済期間や保険料免除期間を有さない→老齢基礎年金の年金額ゼロ円のため、支給しない。

C 老齢厚生年金を受給中である67歳の者が、20歳から60歳までの40年間において保険料納付済期間を有しているが、老齢基礎年金の請求手続きをしていない場合は、老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をすることで増額された年金を受給することができる。なお、この者は老齢基礎年金及び老齢厚生年金以外の年金の受給権を有していたことがないものとする。

正しい。この場合、65歳から67歳までの通常額の年金をさかのぼって受給するか、繰り下げ申出して、翌月から増額された年金を受け取るか、どちらかを選択することになる。

D 67歳の男性昭和27年4月2日生まれ)が有している保険料納付済期間は、第2号被保険者期間としての8年間のみであり、それ以外に保険料免除期間及び合算対象期間を有していないため、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない。この男性は、67歳から70歳に達するまで3年間についてすべての期間、国民年金に任意加入し、保険料を納付することができる

誤り。67歳(昭和27年4月2日生まれ)→昭和40年4月1日以前生まれのため特例による任意加入が可能→加入できるのは老齢基礎年金の受給権を取得するまで→すでに8年加入済であるので、加入できるのは最大2年

E 障害基礎年金を受給中である66歳の女性昭和28年4月2日生まれで、第2号被保険者の期間は有していないものとする。)は、67歳の配偶者(昭和27年4月2日生まれ)により生計を維持されており、女性が65歳に達するまで当該配偶者の老齢厚生年金には配偶者加給年金額が加算されていた。この女性について、障害等級が3級程度に軽減したため、受給する年金を障害基礎年金から老齢基礎年金に変更した場合、老齢基礎年金と振替加算が支給される。

正しい。振替加算→障害基礎年金を受けることができるときは停止→しかし、障害基礎年金が全額停止(3級に軽減など)されている場合、振替加算は加算。
【振替加算の調整】
~老齢基礎年金の受給権者が~
・老齢厚生年金(240か月以上)or退職共済年金(240か月)を受けることができる
→振替加算は行われない
・障害基礎年金or障害厚生年金or障害共済年金を受けることができる
→振替加算は支給停止
障害基礎年金等の支給が「全額」停止の場合→振替加算は支給停止されない
【その他】
・老齢基礎年金の受給権者とその配偶者が離婚→振替加算は支給停止されない

 

〔問 9〕正解率70%台

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

合格者(男性)

目が滑る中でもどうにかもぎ取りたい問題

A 厚生年金保険法に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して当該障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年が経過したことにより、平成6年10月障害基礎年金を失権した者が、平成31年4月において、同一傷病によって再び国民年金法に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当した場合は、いつでも障害基礎年金の支給を請求することができ、請求があった月の翌月から当該障害基礎年金が支給される。

誤り。「いつでも」が誤り。
平成6年11月9日前に、障害等級の3級以上に不該当のまま3年を経過したことを理由に、障害基礎年金等の受給権が消滅した者のうち、同一の傷病により、平成6年11月10日から65歳に達する日の前日までの間に障害等級の2級以上に該当した者65歳到達日の前日までの
間に障害基礎年金の支給を請求できる。
障害基礎年金の平成6年改正(失権ルール改定)に伴う経過措置。

B 合算対象期間を25年以上有し、このほかには被保険者期間を有しない61歳の者が死亡し、死亡時に国民年金には加入していなかった。当該死亡した者に生計を維持されていた遺族が14歳の子のみである場合、当該子は遺族基礎年金を受給することができる

誤り。
保険料納付済期間や免除期間を有した上で、保険料納付済期間+免除期間+合算対象期間で25年以上あれば、遺族基礎年金の要件を満たす。本肢の場合は、合算対象期間のみを有する→遺族基礎年金の要件を満たさない。

C 昭和61年2月、25歳の時に旧国民年金法による障害年金(障害福祉年金を除く。以下同じ。)の受給権を取得した者が、平成31年2月、58歳の時に事故により別の傷病による障害基礎年金の受給権が発生した場合、前後の障害の併合は行われず、25歳の時に受給権を取得した旧国民年金法による障害年金(受給権発生時から引き続き1級又は2級に該当する障害の状態にあるものとする。)と58歳で受給権を取得した障害基礎年金どちらかを選択することになる。

誤り。旧法の障害年金+障害基礎年金での併合認定が行われる→その上で、旧法の障害年金と併合認定された障害基礎年金のどちらかを選択する。
【併合認定】
・従前→障害基礎年金の受給権者
・後発→障害基礎年金の支給事由が発生
・効果→従前の障害基礎年金→消滅する
※従前が旧法の障害年金→消滅しない

D 平成31年4月に死亡した第1号被保険者の女性には、15年間婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある第1号被保険者の男性との間に14歳の子がいた。当該女性が死亡時に当該子及び当該男性を生計維持し、かつ、所定の要件が満たされている場合であっても、遺族基礎年金の受給権者当該子のみであり、当該男性は、当該子と生計を同じくしていたとしても遺族基礎年金の受給権者になることはない

誤り。夫には事実上の婚姻関係がある者も含まれる→本肢の男性は、遺族基礎年金の受給権者となることができる。

E 20歳前傷病による障害基礎年金を受給中である者が、労災保険法の規定による年金たる給付を受給できる(その全額につき支給を停止されていないものとする。)場合、その該当する期間、当該20歳前傷病による障害基礎年金は支給を停止する。

正しい。
【二十歳前による障害基礎年金特有の支給停止】
労災保険の障害補償年金を受けることができるとき
※労災保険の障害補償年金が全額停止されている場合→障害基礎年金は停止されない
・刑事施設、労役場等に拘禁されている一定のとき
・少年院等に収容されている一定のとき
※障害者福祉施設に入所しているとき→障害基礎年金は停止されない
・日本国内に住所を有しないとき
・受給権者の前年の所得が、一定額を超えるとき

 

〔問 10〕正解率20%台

保険料に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

合格者(男性)

順解きならラスト問題。時間もスタミナもない中、長文を一見して「あ・・もう無理・・」。気力、体力の限界っ・・

A 令和元年8月保険料の免除(災害や失業等を理由とした免除を除く。)を申請する場合は、平成29年7月分から令和2年6月分まで申請可能であるが、この場合、所定の所得基準額以下に該当しているかについては、平成29年7月から平成30年6月までの期間は、平成28年の所得により、平成30年7月から令和元年6月までの期間は、平成29年の所得により、令和元年7月から令和2年6月までの期間は、平成30年の所得により判断する。

正しい。
・申請免除期間は2年1か月(最長2年2か月)まで遡る→令和元年8月申請→平成29年7月分から令和2年6月分
・所得は、各免除年度の前年所得で判定する。
平成29年7月~平成30年6月→平成28年の所得
平成30年7月~令和元年6月→平成29年の所得
令和元年7月~令和2年6月→平成30年の所得

B 国民年金の保険料の前納は、厚生労働大臣が定める期間につき、6月又は年を単位として行うものとされていることから、例えば、昭和34年8月2日生まれの第1号被保険者が、平成31年4月分から令和元年7月分までの4か月分まとめて前納することは、厚生労働大臣が定める期間として認められることはない

誤り。4か月分の前納も可能。
【前納期間】
・原則→6か月又は年(最長2年)を単位
大臣が定める期間のすべての保険料をまとめて前納する場合6か月又は年を単位として行うことは要しない

C 平成31年4月分から令和2年3月分まで付加保険料を前納していた者が、令和元年8月国民年金基金の加入員となった場合は、その加入員となった日付加保険料を納付する者でなくなる申出をしたとみなされるため、令和元年7月分以後の各月に係る付加保険料を納付する者でなくなり、請求により同年7月分以後の前納した付加保険料が還付される。

誤り。本肢の場合、令和元年「8月以後」の各月に係る付加保険料を納付する者でなくなる。
・基金の加入員となった者→加入員となった日に付加保険料を納付する者でなくなる申出をしたものとみなす。
・付加保険料を納付する者でなくなる申出をすると→申出をした日の属する月の前月以後の各月に係る保険料を納付する者でなくなる
※ただし、すでに納付されたもの及び前納されたものは除く。すなわち納付した者とする→ただし、基金加入員となった日の属する月以後のものは除く。すなわち基金加入月以後に納付する者でなくなる

D 令和元年10月31日出産予定である第1号被保険者(多胎妊娠ではないものとする。)は、令和元年6月1日に産前産後期間の保険料免除の届出をしたが、実際の出産日令和元年11月10日であった。この場合、産前産後期間として保険料が免除される期間は、令和元年10月分から令和2年1月分までとなる。

誤り。本肢の場合、「令和元年9月から同年12月まで」の保険料が免除される期間となる。
・予定月(10月)基準→令和元年9月から同年12月まで→4か月分免除
・現実の出産月(11月)基準→令和元年10月から令和元年1月まで→4か月分免除
いずれにしろ、4ヶ月分免除であることに変わりない→9月分を改めて徴収とか面倒くさいので、予定月基準のままで免除する。

E 平成27年6月分から平成28年3月分まで保険料全額免除期間(学生納付特例の期間及び納付猶予の期間を除く。)を有し、平成28年4月分から平成29年3月分まで学生納付特例の期間を有し、平成29年4月分から令和元年6月分まで保険料全額免除期間(学生納付特例の期間及び納付猶予の期間を除く。)を有する者が、令和元年8月に厚生労働大臣の承認を受け、その一部につき追納する場合は、学生納付特例の期間の保険料から優先的に行わなければならない

誤り。
①平成27年6月分~平成28年3月分の保険料全額免除期間
②平成28年4月分~平成29年3月分の学生納付特例
③平成29年4月分~令和元年6月分の保険料全額免除期
→①が②より前にあるため①と②の追納は、どちらか選択→「②から優先」とは限らない。

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

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