社労士試験の試験科目は10科目。科目別の難易度と攻略法。

みなさん、こんにちは。
金沢博憲(社労士24)です。

この記事では、社労士試験の科目別攻略法をご紹介します。

社労士試験の科目数は10科目

社労士試験の試験科目は10科目です。

「労働基準法」「労働安全衛生法」「労働者災害補償保険法」「雇用保険法」「労働保険料徴収法」「健康保険法」「国民年金法」「厚生年金保険法」「社会保険に関する一般常識」です。

 

内容の難しさと得点の取りやすさが必ずしも一致しないのも面白い傾向といえます。

例えば、傾向として、労働基準法は取り組みやすい内容ですが、いざ試験では点差がつかない科目です。
一方、厚生年金保険法は、内容の難しさは各科目で一番ですが、試験では、一番得点が取りやすい科目です。

また、各科目の特性を表すあだ名(笑)も参考にしてください。→動画版はこちら

各科目別の特徴と攻略法

それでは、科目別の配点や攻略法をみていきましょう。

科目名称の横にある★は、得点効率を表しています。

得点効率

★★★→得点効率が高い。得点源にしたい科目
★★☆→得点効率は中くらい。
★☆☆→得点効率が低い。あまり時間をかけすぎないこと。

それでは科目毎にみていきましょう。

労働基準法 ★★☆

■選択※1 ■択一※2

※1 選択式は「労働基準法・労働安全衛生法」で1問(5点)、そのうちの3点が労働基準法です。
※2 択一式は「労働基準法・労働安全衛生法」で10問(10点)、そのうちの7問が労働基準法です。

金沢 博憲金沢 博憲

時間泥棒

会社員の方にとって身近な法律であることや、条文の読みやすさなどから、取り組みやすい内容です。
また、多くの場合、最初の科目となることから、時間的余裕があるうちに学習することができます。

しかし、社労士試験の7割は「保険の仕組み」の勉強です。
ということでいえば、
労働基準は、試験対策上は、実は端っこの法律の位置づけとなります。
ただ、内容的に身近なので、勉強のウォーミングアップとしては最適ですが、のめり込んで時間をかけすぎるのは避けたいところです。

時間外・休日労働やフレックスタイム制、年次有給休暇等の重要な項目は、しっかりおさえましょう。
ただし、本試験で確実に高得点を取ることは難しい科目ですので、深入りし過ぎないようにしてください。
判例は、テキストや演習・模擬試験で取り上げたものについて、結論重視で覚えましょう。

選択式では3点中、1~2点は「最高裁判例」から出題されているため、判例対策も必須です。

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ただの最高裁判例まとめ

学習し始めは、「労基得意!、年金苦手…」が、合格レベルに近づくと「年金得意!労基怖い…」となるのもあるあるです。

怖い理由は、基準点割れの怖さです。

労基の難しさは、判例とか通達ではなくて、受験生の半分以上が得点できる平凡でありがちな問題を、絶対に、何がなんでも、例外なく、得点しなければならないという点です。
選択も択一も、1ミスで、基準点を割る怖さ。
基準点補正をされずらい。

他の科目でもその傾向はあります、労基は顕著です。

 

動画解説版

労働安全衛生法 ★☆☆

■選択※1 ■択一※2

※1 選択式は「労働基準法・労働安全衛生法」で1問(5点)、そのうちの2点が安衛法です。
※2 択一式は「労働基準法・労働安全衛生法」で10問(10点)、そのうちの3問が安衛法です。

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暗記科目の皮を被った暗記科目

 労働安全衛生法は
・馴染みやすさ★☆☆
・得点効率★☆☆
な科目です。

つまらない上に勉強時間に得点が比例しません。

択一は「安全衛生管理体制」「健康管理」を軸に学習。
選択は浅く×広く「条文」押さえ。

択一で3点中1点、選択で2点中1点とれたら御の字です。

短時間で切り上げましょう。

動画解説版

労働者災害補償保険法 ★★☆

■選択 ■択一※1

※1「労働者災害補償保険法・労働保険料徴収法」で10問(10点)、そのうちの7問が労働者災害補償保険法です。

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フグ汁

点が取れるかどうか、年によってばらつきがあります。
水物科目です。

労災には未出題の判例や通達が山のようにあります。
それを追いかけているとかりそめの成長実感を得られるが、その分、中心がスカスカになる”知識のドーナツ化”の弊害の方が大きくなります。
だれもが取れる基本論点や要所を何回も繰り返して定着させることが大事です。

「会社の給食のフグ汁を食べてアタると労災か」など、災害事例の問題が出題されることも特徴です。
それらをパターン化して得点源にするのは容易ではないです

高得点狙いをせず、知っていれば解ける論点を固めましょう。
択一は徴収法でカバーできるので基準点割れの心配は少ないです。

序盤の災害の事例はあっさり目にして、 中盤・後半の保険給付や特別加入者、特別支給金などに注力しましょう。。

動画解説版

雇用保険法 ★★☆

■選択 ■択一※1

※1「雇用保険法・労働保険料徴収法」で10問(10点)、そのうちの7問が雇用保険法です。

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数の暴力

苦手意識を持つ方が多くいらっしゃるようですが、給付の数が多く、それに伴い用語がたくさん登場することに原因です。
まずは、給付の体系を意識して、給付の対象者や用語をしっかり整理することから始めてください。

 

体系を把握した上で、中身の用語や数字をきっちり押さえてしまえば、得意科目にすることも可能です。

動画解説版

労働保険料徴収法 ★★★

■選択 なし ■択一※1

※1「労働者災害補償保険法・労働保険料徴収法」10問のうちの3問及び「雇用保険法・労働保険料徴収法」10問のうちの3問、あわせて6問が労働保険料徴収法です。

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地味&得点源

内容的には、地味です。
ただし、実務に直結する内容です。

テキストが薄い割には、配点が6点と美味しい科目です。
過去問のリピート率も高く、得点が読みやすいです。
選択式での出題がないため、「細かいところを念のため抑える」という勉強をせずにすみます。

択一は労災、雇用とセットになっているため、それぞれの科目での基準点割れを回避するセーフティーネットとして機能します。

水物傾向がある労働科目の中で良心的存在と言えます。
得点源にしましょう。

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労働に関する一般常識 ★☆☆

■選択 ■択一※1

※1「一般常識」で10問(10点)、そのうちの5問が労働に関する一般常識です。

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非常識界の常識

選択労一が、この試験の最終関門といわれます。

法令、統計、労務管理と、出題範囲が広範で、掴みどころがありません。
一般常識も、世間一般の一般常識ではなく、専門家たる社労士としての一般常識ですから、世の中的には、非常識な内容になります。

択一については、法令から3問、統計から2問がトレンドです。
法令は、労働契約法、社会保険労務士法からの出題が多いです。
・社会保険労務士法→99.9%でる
・労働契約法→8割方でる
他の法令は、ここ数年の法改正を新聞の見出しレベルで浅く押さえておきましょう。

統計については、択一のほか、近年選択式で必ず出題されます。

統計の概要と数値の相場を押さえておきましょう。
統計対策が、受験勉強の最後の試練になることが多いです。
ここではとても書ききれないので、以下にまとめておきます。

また、令和3年試験で選択式で出題された厚生労働白書や助成金についても注意が必要です。

  • 令和3年版厚生労働白書→こちら
  • 雇用関係助成金の全体像と概要→こちら

選択式の過去の出題実績は次のとおりになっています。

 

動画解説版

健康保険法 ★★★

■選択 ■択一10

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激厚テキスト

社会保険3科目の土台になる科目です。
そのため、テキストも一番厚くなります。
健康保険法で学習した内容が、国民年金法、厚生年金保険法で活きます。

健康保険で土台を固めておくと、年金で楽ができます。 健康保険法は本試験10点分を超える価値があります。

また、健康保険法を含め、社会保険主要3科目は、1科目で10点の配点がある時点で良コスパです。
例えば、労働基準法や労災保険はどんなに頑張っても7点しか取れませんからね。
1科目で最高10点とれるのはかなりでかいです。

ただし、過去未出題の問題や難問も出題されることが多い科目であり、健康保険自体は点が伸びないことがよくあります。

社会保険の科目の縁の下の力持ちの科目といえるでしょう。

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国民年金法 ★★★

■選択 ■択一10

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生年月日ク○野郎

経過措置がてんこ盛りのため仕組みの複雑です。
ただし、問題は、労働科目に比べパターン化しています。

理解にこだわるあまり苦手意識をもってしまうのは悪手です。

結論先行(過去問の○×が判断つくよう)の学習を進めましょう。
それを継続することで理解はあとから付いてきます。

継続するために、有効な方法が”毎日年金”です。
試験科目の後半で登場するため、試験までに着手できる日数が単純に短くなります。
この接触機会の少なさが根本的な苦手意識の原因です。

はじめて年金に触れた日から本試験の前日まで毎日短い時間でもいいので、年金に触れ続けましょう。

各被保険者の要件や各給付の支給要件、支給額等の基本事項をしっかりマスターして年金に対する苦手意識を払拭しましょう。

動画解説版

厚生年金保険法 ★★★

■選択 ■択一10

金沢 博憲金沢 博憲

映画版ジャイアン

内容が最も難しいですが、本番では最も得点が取りやすい科目です。

健康保険法や国民年金法で学習した知識で、厚生年金保険の半分はカバーできます。

内容を難しくしている原因は、老齢厚生年金です。
しかし、出題されるのは10問中1問か2問。
仮に老齢厚生年金で点が取れなくても、他の項目で十分高得点が可能です。
老齢厚生年金と適度な距離感をもって学習することが攻略のコツになります。

また、厚生年金保険法の学習をすることが、健保、国民年金の復習にもなり、その意味でコスパ最高です。

動画解説版

社会保険に関する一般常識 ★★☆

■選択 ■択一※1

※1「一般常識」で10問(10点)、そのうちの5問が社会保険に関する一般常識です。

金沢 博憲金沢 博憲

気力の限界

独立科目になっていない社会保険関連諸法令(国民健康保険法や介護保険法、児童手当法、確定拠出年金法など)が出題対象になっており、範囲が広いです。

とはいえ、法令からの出題が中心であり、労一に比べ得点はしやすいです。
労一の得点が読みづらい分、択一式の科目別の基準点確保のために、社一で安定的な点を確保したいところです。

過去問が少ないため、テキスト読み込みの優先順位が高いです。

医療保険は健康保険、企業年金は年金制度の知識と連携させておさえましょう。

一番のネックは、最後の科目であることです。
厚生年金保険を乗り越えて気力も尽き果てたところで社一に入ることが多く、なかなか集中できません。

厚生年金保険法と直前対策期の合間に挟まれる「ビルの谷間のラーメン屋」のような存在です。

スケジュールが押せ押せになると、社一が巻きが入って手薄になりやすい傾向があります。

全体的なスケジュール管理を行って、社一の勉強期間をしっかり確保しましょう。

動画解説版

執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

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