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皆さん、こんにちは。

社会保険労務士試験で出題が予想される「最高裁判例」総まとめです。

判例の出題傾向、アプローチ

最高裁判例は、労基の選択・択一、労災の選択・択一、労一の択一で出題可能性があります。

・選択式対策としては、キーワードを押さえる。
・択一式対策としては、「有効か無効か」、「適法か違法か」の結論が大事。結局はマルかバツしかない。深入り厳禁。

労働に関する判例

付加金に関する判例(平成27年5月19日)

 労働基準法114条の付加金の請求については,同条所定の未払金の請求に係る訴訟において同請求とともにされるときは,民訴法9条2項にいう訴訟の附帯の目的である損害賠償又は違約金の請求に含まれるものとして,その価額は当該訴訟の目的の価額に算入されない

合格者(男性)

訴訟手数料の計算基礎に、付加金の額は含めない、ということ。

 

山梨県民信用組合事件(退職金請求事件)(平成28年2月19日)

就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様,当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,判断されるべきである。

合格者(女性)

退職金が減額されることを、十分理解して頂いた上での判子でないと、労働条件の変更に同意してもらったということにならないよ、ということ。

 

行橋労基署長事件(遺族補償給付等不支給処分取消請求事件)(平成28年7月8日)

 労働者が,業務を一時中断して事業場外で行われた研修生の歓送迎会に途中から参加した後,当該業務を再開するため自動車を運転して事業場に戻る際に,研修生をその住居まで送る途上で発生した交通事故により死亡したことが,労働者災害補償保険法1条,12条の8第2項の業務上の事由による災害に当たるとされた事例

合格者(男性)

諸事情から、歓送迎会は事業活動に密接に関連するものであることから、当該事故の際に事業主の支配下にあったと判断された事案です

 

福原学園事件(労働契約上の地位確認等請求事件 )(平成28年12月1日)

 私立大学の教員に係る期間1年の有期労働契約は,①当該労働契約において,3年の更新限度期間の満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは,これを希望する教員の勤務成績を考慮して当該大学を運営する学校法人が必要であると認めた場合である旨が明確に定められており,当該教員もこのことを十分に認識した上で当該労働契約を締結したものとみることができること,②大学の教員の雇用については一般に流動性のあることが想定されていること,③当該学校法人が運営する三つの大学において,3年の更新限度期間の満了後に労働契約が期間の定めのないものとならなかった教員も複数に上っていたことなど判示の事情の下においては,当該労働契約に係る上記3年の更新限度期間の満了後に期間の定めのないものとなったとはいえない

合格者(男性)

労働者側の主張は①「有期契約期間=試用期間」である、したがって②有期契約期間終了により当然に無期雇用契約に移行とする、というものでしたが、認められませんでした。その理由は、「3年で期間が満了する」ことについて当事者間の合意があったものとみることができるから、というものです。この判例と逆の結論になったのが次の判例です。その分岐は「合意」です。

神戸弘陵学園事件( 地位確認等 )(平成2年6月5日)

労働者の新規採用契約においてその適性を評価し、判断するために期間を設けた場合には、右期間の満了により右契約が当然に終了する旨の明確な合意当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である。
 試用期間付雇用契約により雇用された労働者が試用期間中でない労働者と同じ職場で同じ職務に従事し、使用者の取扱いにも格段異なるところはなく、試用期間満了時に本採用に関する契約書作成の手続も採られていないような場合には、他に特段の事情が認められない限り、当該雇用契約は解約権留保付雇用契約であると解するのが相当である。

合格者(男性)

本件では、採用時に「一応最初は1年だけど、30年でも40年でもウチで働いてほしい」といったことを社長から口頭で伝えられたそうです。労働者が働き続けることができると期待してもおかしくありません。すなわち「期間満了により契約が終了する旨の合意が認められる」という状況がありませんでした。結果、「有期契約期間=試用期間」という判断が示されました

国際自動車事件(賃金請求事件)(平成29年2月28日)

 歩合給の計算に当たり売上高等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨の賃金規則上の定めが公序良俗に反し無効であると判断するのみで,当該賃金規則における賃金の定めにつき,通常の労働時間の賃金に当たる部分と労働基準法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができるか否かや,そのような判別をすることができる場合に,当該賃金規則に基づいて割増賃金として支払われた金額が同条その他の関係法令に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かについて審理判断することなく未払賃金の請求を認容すべきものとした原審の判断には,割増賃金に関する法令の解釈適用を誤った結果,審理を尽くさなかった違法がある。

合格者(女性)

「割増賃金が判別できないから無効」なら分かる。でも「歩合給から割増賃金を控除する」っていう理由だけで無効とはいえないよ。通常の賃金と割増賃金が判別できているかどうかをしっかりと審議して、という差し戻し判断。

医療法人康心会事件(地位確認等請求事件 )(平成29年7月7日)

 医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていたとしても,当該年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分が明らかにされておらず,通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができないという事情の下では,当該年俸の支払により,時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということはできない

  

合格者(男性)

労使の合意があっても、年収1700万円でも関係ない。とにかく「判別できるか」が重要、という判断。

 

社会保険に関する判例

特別支給の老齢厚生年金決定取消請求事件(平成29年4月21日)

厚生年金保険法附則8条の規定による老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)について厚生年金保険法(平成24年法律第63号による改正前のもの)43条3項の規定による年金の額の改定がされるためには,被保険者である当該年金の受給権者が,その被保険者の資格を喪失し,かつ,被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失(現在は退職日)した日から起算して1月を経過した時点においても,当該年金の受給権者であることを要する
 

合格者(女性)

原告の主張「9月30日に退職改定の要件を充したから9月分の特別支給の老齢厚生年金の額を増やして欲しい」。最高裁判断「9月17日に65歳に達して特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅している。9月30日時点ですでに受給権者ではない。だから退職改定もない。」

障害年金請求事件(平成29年10月17日)

厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)47条に基づく障害年金の支分権(支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利)の消滅時効は,当該障害年金に係る裁定を受ける前であっても,厚生年金保険法36条所定の支払期が到来した時から進行する。
  
 

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執筆/資格の大原 社会保険労務士講座

金沢 博憲金沢 博憲

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